モダンマッスルの旗手といわれて久しい現行ダッジチャレンジャーだが、昨年から生産中止のアナウンスがいつ発令されてもおかしくない状況になっている。だが、次なる新型車(クーダとの噂)との兼ね合いもあってか(まだ実際には売れているし)、今のところ生産は継続されている。
実際チャレンジャーは2008年に登場しているから、今年で6年目。モデルライフとしては、「まあこんなところ」といった感じで、あせって生産中止にする必要はない年月である。
パフォーマンス的にも、最上級モデルとなるV8「392」「RT」、V6「SXT」とどれをとっても一流レベルであり、古さを感じさせるモノではない。また、チャレンジャーのみMTモデルがセレクトできるのもポイントであり(チャージャーは選べない)、スポーツモデルとしての存在感はまだまだ十分に高い。
モダンマッスルとしては、チャレンジャーの他にマスタングやカマロが存在するが、チャレンジャーは意外にも旧車好きに愛されているという不思議なクルマでもある。現代的なリメイクを受けてはいるが、旧チャレンジャーを思い起こさせるデザイン的な魅力が一番高いからかもしれないのだが。
で、そうした旧車愛好世代からも好かれる現行チャレンジャーのモデル末期的お勧めグレードとして紹介したいのが、V6エンジン搭載のSXTグレードである。
搭載されるエンジンは3.6リッターV6、305hp、最大トルク268lb-ftを発生させるニューエンジン。コイツは5速ATと組み合わされ、かなり活発な走りを楽しませてくれる。というのも、これ以前の旧V6(250hp)から50hp以上のパワーアップを果たしているからだ。
さらにV6モデルとはいえ、基本となるチャレンジャーのスタイルにほとんど違いはない。だからこそ、V6=下位グレードといった引け目を感じることなく乗れるのである。加えて、金額的な差額(V8比で200万円は安いか)でオリジナルカスタムを施すなんてことも可能であるし。
ここで紹介しているチャレンジャーは、そうしたお勧めグレードをベースにしたライトカスタムの1台。ベースとなる2013年型新車のV6 SXTプラスにSRT8のフロントスポイラーを装着。足回りは、H&Rのダウンサスでローダウンに22インチホイールを組み合わせている。このホイールはバイパーに装備されるホイールである。
新車のチャレンジャーに乗るのは久しぶりであったが、乗ってみてちょっと驚いたことがあった。それはボディの剛性感が非常に高いこと。旧モデルには何度も乗っていたが、その時感じた感触とは比べ物にならないほどの高品質感を醸し出していた(内装の立て付けも年々グレードアップしているのだろう)。
しかも動き出しの感触が、一回り以上小さいクルマに乗っているかのごとく軽やか。前から知っていたが、このV6モデルは、トップグレードのV8 392と比較して160キロ弱車重が軽い。それも効いているのだろうが、ATとのマッチングが良いV6エンジンモデルの特性でもあるのだろう。
しかもこのV6、街中程度の走行ならV8モデルに引けを取らないくらいの豊潤な低速トルクを発し、鈍さをまったく感じさせない。速度にして40キロ程度から80キロ程度までなら、逆にV6の小気味良さの方が際立つのではないか、そんな感じがするくらいの瞬発力である。
だからこそ、そういった使い方をするオーナーさんなら、あえてV8モデルをチョイスしなくても十分に楽しめるだろうし、たとえば旧車乗り(70年代のチャレンジャー乗りならなおカッコいいが)のセカンドカーとしても十分に事足りはずである。それに305hpのV6なら、余力はないがパワーを使い切れる楽しみもあり、腕のたつ方なら、ワインディングで思いっきり振り回せるかもしれないし(22インチのグリップ力は凄いからどんどん踏み込んでいける)。
ちなみに、筆者はV8モデルを否定しているわけではないので誤解のないように。最強モデルが手に入るなら迷わず手に入れるべき、というのが本心である。だが、その場合はチャレンジャーのみチョイスできる「MTモデル」を選ぶべき。6.4リッターV8NAエンジンは、MTで操ってこそ旨味が味わえると感じているからである(あくまで個人的嗜好だが)。
だから(ある意味極論だが)、最強モデルをMTで味わえないのなら、ATで乗りたいというのなら、搭載されるエンジンはV6でも十分ではないか。しかもスタイル的にはSRTパーツで固められていて、ルックス的には十分にアグレッシブなのだから……。このベルエアのチャレンジャーに試乗して、一層そう感じた次第である。
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