今現在、日本で著名なフルサイズバンといえば、シボレーエクスプレス、GMCサバナ、フォードエコノライン、ダッジラムという4車種である。だがそのうち、新車で購入できるのはGM系とフォードの3台だけで、ダッジラムについては2003年モデルのを最後に生産終了となっている(いまだに中古車は人気だ)。ちなみにその後、ダッジからはスプリンターという名のバンが発売されているが、デザイン的にも機能的にも完全な商用バンといった感じで、中身もダッジの皮を被ったメルセデスであり、アメリカンな感じはまるでなくなってしまっている。
と同時にフォードエコノラインが2014年モデルで生産終了となり、フォードトランジットという名のモノコックボディのフルサイズバンにモデルチェンジすることが伝えられている。すなわち、今後新車で買えるフルサイズバンは、GM系の2台だけ、ということになる。
だが…。悲しいことにそのGM系2台の処遇がまだはっきりしない。ある情報によれば、エクスプレスのパッセンジャーバンが2015年で生産終了すると言われており(カーゴはまだ残る)、そうなれば現行の「V8+フレームボディ」のパッセンジャー系フルサイズバンは全滅することになってしまう。
のっけからあまり縁起の良い話ではないが、まあ仮にGM系2台が生産終了し「V8+フレームボディ」系の新車が手に入らなくなっても、程度良好の中古車が手に入る素地があるから、まだまだ焦る必要はないのかもしれないが。
というのも、現行エクスプレス&サバナは、03年モデルを機にフルモデルチェンジが行われ、エンジンバリエーション、シャシーおよびエクステリアと、全域にわたりリニューアルされ、モノが格段に良くなっている。中でもステアリング形式がインテグラル式からラック&ピニオン式に変わったことで抜群の安定感が得られるようになる等走りの性能も折り紙付きだ。
2003年にフルモデルチェンジが行われ、現行モデルに進化したエクスプレス&サバナ。AWDが追加される等、相当なリファインが行われたおかげもあって、2014年になってもまだ通用するパフォーマンスを持っている。だが、パッセンジャーバンとはいえ、ノーマル状態だと少々殺風景な気がするのは致し方ない。
エクスプローラー社によって装飾されたインテリア。ブラック一色のインパネに、デナリブラックのウッドを使い仕上げている。全体的に質素なノーマルインテリアが、劇的に雰囲気を変えている。ブラックウッドの質感はかなり高く、サバナによく似合っている。
搭載される5.3リッターV8エンジンは310hp、最大トルク334lb-ftを発生させ、それを4速ATで駆動する。ノーマルボディから各部に装飾が施されているから重量増は否めないが、それでも出だしからスムーズに加速し、60キロ当たりから120キロ辺りまでの速度域なら気持ちよく走れる。さすがアメリカンV8。中速域のパンチ力はかなり充実している。
搭載されるエンジンは、5.3リッターV8。シャシーおよび足回りは大幅に見直され、これまでFR一辺倒だったモデルラインナップに、新たにAWDが加えられた。これに伴い、ボディ各部が補強され剛性がアップ。さらに径の太いスタビライザーの採用やブレーキ性能の向上で、走行の質感が格段に上がっているのである。
一方、エクステリアは、当時のシボレートラックシリーズ共通のツリ目のヘッドライトをはじめ、グリル、バンパー、フードにいたいるまで大幅なリニューアルが施される。そしてこれまで片側だけだったサイドドアが、このモデルからオプションで両側サイドドアを設定でき、使い勝手を一段と向上させている。特に左側から乗降する機会の多い日本では、このドアは重宝するに違いない。
実際に走らせてみると、2トンを越えるボディを軽々と走らせ、高回転まで一気に回るエンジンであることが分かる。さらに柔軟性に富み、街中から高速までをも十分にこなすだけの力を持っている。また、その際のV8サウンドが高級感に溢れ、普段日本製ミニバンで聞き慣れているエンジンの音は比べモノにならないほどの快音を発する。
さらにシャシーはAWDとなり、各部の剛性がアップ、それは街中をある程度走っただけでもすぐに認識できるほどである。ボディは、両側サイドドアを装着しているにもかかわらず、キシミ音ひとつ発しないガッチりしたもので、ステアリングも適度の重さを保ちつつ正確であり、全体としてバンとは思えない身のこなしを演じるのである。
だからこそ、こうした素晴らしい出来があるからこそ、耐久性が上がり、程度の良い中古車がこれから先もまだまだ手に入るだろうが、 新車を手に入れるなら、あと少しの猶予しか残っていないことは覚えといたほうが良い。
抜群に心地よい大柄なレザーシート。まるでソファーのようである。レザーの質感が非常に高く、ステッチ等の工作精度の高さにも感心する。単なる張り替えではない、ブランド品としての価値観さえ感じるほどである。
セカンドシートには、パッセンジャーが最大限にくつろげるキャプテンシートが採用される。当然ながら、サードシートへのアクセスも楽になる。肉厚の柔らかいレザーシートは、ほんとソファーのように心地よい。
サードシートは、フルフラットになるためにソファーベッドのように使用することが可能である。折りたたみ&スライドが電動で可能となる。
ロールーフでもご覧のような雰囲気で、セカンドシート以降に乗車する人間を癒してくれる。だが…。ここに関しては、ハイルーフを見てしまうと若干色褪せるかもしれないが(笑)
現行エクスプレス&サバナは、非常に硬質なバンである。だからこそ走りの質感が高く、ちょっと古い味わいを感じさせるフォードエコノラインとは全く異なる性質の持ち主である。例えばそれは、現行カマロとマスタングとの違いといってもいいかもしれない。
まさに現代的アレンジが加えられたバンであるからこそ、手に入れようとすればするほど、次なる欲が湧いてくる。たとえばエクスプレスじゃなく、サバナを選ぶとか…。たとえばノーマルモデルじゃなく、コンバージョンモデルが欲しくなるとか…。
ここで紹介するサバナ エクスプローラーリミテッドは、そんなオンリーワンな欲望を満たす、最高級の1台である。
エクスプローラーとは、アストロ時代から繰り広げられたコンバージョンメーカー同士の凌ぎ合いを制し、豪華クルーザーのごときフルサイズバンを制作するプロ集団である。とくに出来栄えとクオリティの高さには定評があり、まさしく唯一無二のコンバージョンを制作してくれる。
最初に取材したサバナエクスプローラーは、ロールーフの1台であり、個人的に「ドライバーズカーとして所有するならこれだな」と一目ぼれしたほどカッコイイ。
黒い弾丸のごとき硬質かつスタイリッシュにデザインされたエクスプローラー。サイドフェンダーに設けられたエアベントもアグレッシブなアクセントとして効いている。ロールーフは、非常にシャープな印象をもたらすために、豪華さを押し出すよりも、スタイリッシュなカッコ良さがにじみ出る。
分割タイプの6本スポーククローム20インチホイールが、全体の印象を引き締める。大径クロームフロントグリルと相まって、ブラック&クロームのコンビネーションがキマっている。
エクスプローラー社が製作した車両のみに装備されるデザインロゴ。デザイン上のアクセントとなっている。
ブラックのボディに大きなフロントグリルとボディサイドに装飾されているアグレッシブなエアベント、そして20インチホイールのデザインや車高等の見事なバランスがもたらすアメ車ならではの大迫力。まるで「黒い弾丸」のごとき引き締まった全体の雰囲気は、現行サバナだからこそ出せる味だろう。
搭載される5.3リッターV8エンジンは310hp、最大トルク334lb-ftを発生させ、それを4速ATで駆動する。出だしからスムーズに加速し、勢いに乗ればそれこそ他車を圧倒するほどの速度域まで一気に加速する。街中でも高速でもロールは少なく、AWDの足と3.4メートルのロングホイールベースがもたらす直進安定性の高さは、それこそちょっとしたSUVを超えるほどのフラットライド感を実現するのである。
ハンドリングも、想像以上にキレ良く、かつ反応が素早く、さらにシッカリ感が高いために、大柄のバンであるということを忘れてしまうほど軽快に走らせることが可能である。アメ車好き、バン好き、そして走りに安定感を求める向きには、最高の1台に違いない。
一方で、「インテリアこそエクスプローラーの真骨頂」と言えるほど、素晴らしい空間アレンジを実現している。7名乗車の3列シートであるが、室内空間には圧倒的なスペースがあり、まるで「4列シートでもOKかも」と思わせるほど広々としている。そこにブラックウッドを全面的に配し、そのウッドと組み合わされるように配された各種ルームライトとイルミネーションのコラボ。そして豪華絢爛かつ上質なレザーシート。
まさにムードある落ち着いた「大人のファーストクラス」を演出しているのには、正直驚いた。しかも、その昔アストロ等でよく見た安物コンバージョンとは全くの別次元。さすがの質感に脱帽である。
LEDイルミネーションの他に15インチフリップダウンモニター&ブルーレイプレーヤー等が装備され、乗員をもてなしてくれる。
ロールーフでも頭上にウッドとLEDが組み合わされたイルミネーションルームライトが装備される。心地よい空間演出がなされている。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES