昨年までは「タマがない」といわれていたSRT8だが、昨今、2014、2015年あたりの車検を迎えた車両たちが一気に市場へ流れ、複数のタマが確認されているという。
ブルートでも、リンカーンナビゲーターに乗っていたオーナーさんがSRT8に乗り換えたりと、かなりの反響があるSUVでもあるという。
聞けば、「SRT8だけは別物」という認知があるらしく、「アメ車らしさ」を求める方々にはかなりの人気あるということで、その後に入庫した2015年型を取材させてもらった。
2015年型のディーラー車。走行3.9万キロ弱。ホワイトのボディカラーにキャメルカラーのダコタレザーの組み合わせ。ディーラー車らしくフルノーマル車である。
この型のSRT8は2012年に登場し、2014年モデルでマイナーチェンジが行われており、そのマイナーチェンジ後のモデルたちの人気が特に高い。
その理由のひとつがデザイン。オフをイメージさせるジープらしくなく、野性的なフォルムをまとったマスク。フロント正面から見た強面感は圧倒的であり、特にフロントマスク、ヘッドライト周りの造形が変わったことにより、一層凄みが増している。
搭載されるエンジンは6.4リッターV8HEMIで、468ps、最大トルク63.6kg-mを発生させる。このエンジンで0-60mph(約100km/h)までの加速はわずか4.8秒、ゼロヨン加速13秒台中盤と、当時の世界中のSUVの中でもダントツの数字であった。
SRT-8専用のエクステリアには各部にエアロが装着され、車高をダウン、エアダクトがただならぬ雰囲気を醸し出す。足元にはブレンボ製ブレーキ(フロント6ピストン、リア4ピストン、ローターはフロント15インチ、リア13.8インチ)と20インチホイールを装着する 。
一方インテリアは、クロームパーツとカーボン素材を組み合わせたスポーティなもの。ピラーにはスエード布が貼られ、高級車としての質感も圧倒的に高い。シートは、ホールド性に優れたSRT-8専用のバケットシートが奢られる。
で、ディーラー車の右ハンドルであるが、まったく違和感なく着座できる。聞けば、「(やはり)左ハンドルが欲しい」というユーザーさんも多くいるということだが、直輸入した場合のプライスや走行距離を考えれば、「右ハンドルでも致し方なし」という。
それでもクセのない右ハンドルであるから、そういった部分においては、まったく普通にドライブ可能である。
それにしてもジープらしくないSUVである。スターターボタンを押した瞬間にチャレンジャーやチャージャーを連想させる獰猛さ。重低音サウンドを轟かせ、極太ステアリングと硬質なシートがSUVであることを忘れさせる。
しかも走り出した瞬間のガチガチな硬質感。だがそれをまったく苦にしない強固なボディが与えられている。これまで複数のアメリカンSUVに試乗してきたが、これほどの感触はフルサイズSUVでは味わえない。ちょっと想像を絶するマシンである。
このグラチェロSRT8に試乗した複数の人間から聞いた話だが、普通に乗った限りの印象としては、ドイツ車のハイチューンマシンのような印象という。筆者も同感だし、このフィーリングが400万円台の中古車で味わえるなら超お得だし。それこそドイツ系のマシンであれば倍の額はするだろう。
このクルマ、単なるジープブランドのトップモデルと思わず、モパー系のハイパフォーマンスSUVと思えば超納得である。しかも大排気量V8NAエンジンが搭載され、フルサイズSUVよりも約300kg軽く、50馬力パワーが多いのだから、その速さといったら!
ということで、SRT8の人気の秘訣はハッキリしており、この凄みが欲しければ現状SRT8しかないのである(デュランゴもあるが、アチラは1000万円を超える)。だから今後も人気は続くであろう個体だけに、取材車両のような程度良好な一台を早めに入手するのが賢明だと思うのである。
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