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一世代前のアメ車オーナーは必見!

ブレーキ・チューニング考察

アメ車特有のブレーキ難を解消する

アメ車のブレーキに一抹の不安を感じる人は多いという。2005年前後までのアメ車の場合は、特にチューニングでクルマを速くしたい、という願望を持たずとも何とかならないか? という希望を持つ方が多くいると聞く。そんな方々のためのブレーキ・チューニング講座。是非参考にしてください。

更新日:2012.07.25

文/編集部 写真/編集部

取材協力/パシフィックコーストハイウエイ TEL 048-422-4399 [ホームページ]

ノーマルブレーキベースのチューニングは?

 ブレーキ・チューニングの考察。まず誰もが一番最初に検討するのがブレーキパッドの交換だろう。パッド交換は低予算で気軽に行えるので人気がある。しかし、パッド交換には落とし穴があるので注意をしなければいけない。
 ひと昔前に比べてパッドの性能も向上し温度変化による利きの変化は少なくなってはいるが、高温時の性能を良くすると低温時が弱くなるという傾向はあまり変わっていない。ストリート用といって販売をされている物でも大抵はスポーツ性を求めているので、街乗りではイマイチという物が多い。
 しかし温度がある程度上がれば利きが良くなるので、こういったパッドを取り上げて利かない、とは一概には言えないので注意が必要である。つまりパッド選びで注意すべき点は、パッドの特性を理解し、自身の要求(使い方)に合ったものを選ぶことである。当然ながら、低温時から利くバッドだって発売されているから、単純に一般走行時での利きを良くするなら、そういったパッドを選べばいいのである。
 ちなみに、当たり前だが良く利くパッドは減りも早い。またホイールにススが多くこびりつく。余談だがホイールが汚れたドイツ車を良く見かけるが、それが原因であることが多いのだ。
 ここからは、スポーツ走行が希望のオーナー向けになる。もしくはエンジン、吸気系などをチューニングしてパワーアップをしたアメ車など。
 パッド交換を済ませてさらに上を目指す人はブレーキホースをステンレスメッシュに交換すると良い。踏力がダイレクトに伝わるために制動力が損なわれず、レスポンスが向上し操作性も良くなる。ホース交換時にブレーキフルードをDOT4に交換すればベーパーロックの限界点も上げられる。またローターに加工を施せばパッドのクリーニング効果とガス抜き効果が得られ、耐フェード性能も上がる。
 しかしこれらブレーキチューニングは、やはり温度上昇時の性能を効果的に上げることは出来るが、低温時の制動力アップはそれ程望めないのが現実である。
 例えば車重の重いアメリカンSUVの場合、タイヤ外径のインチアップやホイール交換での重量増しによって、制動力が不足しがちとなってくるので、限界点を上げるよりも重量のある車体をいかに止められるかが重要になる。
 温度の影響を受けずに強力なストッピングパワーを求めるならばパッドの受圧面積を増やすか、ローター径を大きくするしかない。パッド面積を増やすとピストンの面積も増やさなくてはいけなくなりキャリパーとローターを大型化する必要が出てくる。つまり街乗りでの効きを本当に良くしたければ最終的にはブレーキを大型化するしかないのである。
 今回はSSBC社のブレーキキットを装着したが、ビッグブレーキなら、メーカー問わず低温から高温まで確実な制動力をもたらしてくれるだろう。

ノーマルブレーキのパッドの材質を変更することで、制動力をアップさせ、耐フェード性、フィーリング、コントロール性をアップさせることができる。材質は、各メーカーによりけりだが、カーボンメタリックを使用するなど、社外品のパッドも進化を遂げている。

パッドを交換したのちに検討すべき、ステップアップ。それはフルードの交換。ノーマルトレイルブレイザーに使用されているDOT3をDOT4のフルードに換えることで、沸点を上げることができ、ベーパーロック現象(フルードが沸騰し、気泡が混入することでタッチがスポンジーになる)を防ぐことができる。

ノーマルで使用されているブレーキホース(ゴム)では、ホースの膨張により踏力がダイレクトに伝わらない。ところが、ステンメッシュのホースに換えることで、踏力がダイレクトになり(膨張率はゼロ)、制動力、フィーリングが格段に向上する。

ローター加工はドリルド加工とスリット加工の2つが主流であり、ドリルドは表面積が増えるので冷却性が向上するが、ホール部分からクラックが入ることがある。スリットは冷却性能は劣るが、耐久性は高い。パッドのクリーニング効果はどちらも同じようなもので、一般道での使用ならばどちらでも問題ない。

ビッグ・ブレーキの装着

 上記で説明したブレーキチューニングの方法、それはあくまでも「ノーマルブレーキ」の限界値を上げるものであり、たとえばそれは2リッターエンジンを極限までチューニングしてレブリミットを上げたようなものである。つまり、ピーキーな性能、つまり低速では乗り難いが、高速域になると抜群に楽しい、みたいなモノである。ちょっと例えが極端すぎるかもしれないが、そんな感じである。
 しかしそれは楽しい反面、低速での扱いやすさや乗りやすさは、排気量に余裕のあるV8エンジンには、実は敵わない。やっぱり余裕があることに越したことはないからである。つまり、街乗りでの制動力を安定して上げたければ、方法は一つ。キャリパーやローターを大型なモノに交換してしまうことだ。
 ちなみに、ビッグブレーキの装着は、見た目の凄さもさることながら、実際の制動力アップがもの凄い。それはエンジンチューニングに費用を投じ、数十馬力アップさせるよりも体感の度合いが強い。感覚的には、ノーマルエンジンを一気にレーシングエンジンに載せ換える感覚に近いかもしれない。そのくらいの差が体感できるのだ。

SSBCブレーキコンバートキット
ビレット削り出しのキャリパー本体にステンレス製のピストンという仕様。一切の無駄を省き、必要最低限のコストで最大の成果を発揮する逸品。カラーはレッド、ブラック、ブルー、イエロー、シルバーのパウダーコートの中から選択可能。

右のノーマルのローターと比較するとSSBCのローターはかなり大きい。

今回装着した車両は、以前にノーマルブレーキでのチューニングにトライしていた。それでもさらなるスポーツ走行向けに大型化を実施した。

4ピストンキャリパーを装着するため、キャリパーの外径が大きくなり、ホイールの選定が難しくなるという要素があるのだが、利きは一変する。

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