更新日:2015.04.27
文/石山英次 写真/古閑章郎
取材したエクスプローラーは、2014年型V6 LIMITEDと2010年型V8 エディバウアー。ともに4WDということでSUVファンにとっては憧れのモデル。とくに旧モデルは、認定中古車とはいえまだ2万5000キロという走行距離の短さが非常に魅力的に映る。
新旧を同時に乗る比べることは初めてだが、明らかにカタチが異なる。モデルチェンジ当初は賛否両論あり「まだ目が慣れない」といった方も多かったという。フォード江戸川店のマネージャー、松下氏によれば、「当時の反応、とくに拒絶ぶりは、結構ありましたかね(笑)」という。
ただ、そういった方々も整備等でディーラーに行くたびに、また路上で新型とすれ違うたびにだんだんと見慣れてきたからか、徐々に「そろそろ乗り換えるか」と現行モデルへの乗り換え需要が高まっていったという。
まずは旧モデルから試乗させてもらった。この旧型モデルは、2006年から2010年まで製造された型。2006年のモデルチェンジ時にデザイン及びエンジンパワー等に進化がもたらされ一気に変化したモデルである。
エディバウアーということで明るいレザーの内装が一層雰囲気を高め、着座位置の高さに当時のアメリカンSUVを思い起こす。とはいえ、乗り込むとステアリングやペダル類の位置関係や見晴らしの良さ及び四隅の感覚のつかみやすさは健在であり、道具としての使いやすさと快適性がうまい具合に調和されていることが認識できる。
旧型フレームボディといえば、古くて重くて…というようなネガティブな印象を持つかもしれないが、車重は2230kg。のちに試乗する現行V6 LIMITEDがじつは2170kgだったりするから、実質大人一人分の違いである。というか、旧型とはいえ、いかにシッカリ作られていたかということの証明でもある。
くわえてV8エンジン搭載の6速ATだったりするから、動力性能に不満はまったくない。しかも遠くに聞こえるドロドロ音。この年代でもすでに静粛性にこだわっており、遮音材等の作りにも長けているため、V8サウンドが遠くに聞こえるから、言いようによっては「上品」とも表現できる。
とはいえ、アクセルオンでは猛然とスピードを上げていくだけの十分なパワーがあり、さすがV8と唸らされる一面もある。ちなみに搭載されるエンジンは4.6リッターV8で296ps、最大トルク41.5kg-mを発生させる。
この300ps近いパワーを支える足回りは、4輪独立のサスペンションがしなやかに動き、安定感ある良好な乗り心地が特徴である。
フレームボディの旧型モデルだが、オンロードでの乗り心地がこれまたシッカリとチューニングされており、粗さをあまり感じさせないのはさすがである。パワーオンでの後ろから蹴られるようなダッシュの感覚も残っており、乗ると郷愁に浸れるところがまた良かったりする。
ステアリングの切れもよく、ブレーキも思ったように効くので、背の高いことを必要以上に気にする必要がなく、とくに100キロ以下で悠然と走っている時に感じる穏やかさ&滑らかさに改めてアメ車としての、そしてエクスプローラーとしての魅力感じたのである。
ちなみにこの年代のエクスプローラーには、4WDモードにセンターデフロックやローレンジを持っていることもあり、本格的なオフロードでの4WD走行もお手の物である。
旧型モデルとはいえ、SUVとしての機能とそれをあらゆる状況下で快適に移動させようとする設計理念はこの時代のモデルでも不変であり、改めてアメリカンSUVとしての魅力を再発見させてくれるのである。
新型がデビューした2011年5月。それまでのフレームボディ+FRベースがモノコックボディ+FFベースに様変わりした。そしてそれまであったV8エンジンが消滅し、V6エンジン&直4エコブーストエンジンの構成となり、多くの人々を驚かせた。
だが、そこに至る経緯を聞き、実際に試乗することで、フォードの狙いが分かってからというもの、少なくとも筆者的には絶賛の1台であり、機会があれば是非一度は所有したい候補ベスト10にラインナップされている。
このクルマのキーポイントは、「北米マーケットを中心に中米、中東、欧州等90カ国以上に提供される」ということ。つまり、ワールドワイドなマーケットに流通させるSUVであるということ。
すなわちそれは、インターナショナルになるがゆえに「アメリカ的個性を減らし万人受けするSUVにしなければならない」ということを意味している。こういう流れは、アメ車にとって脅威である。かつてビッグ3のバッジをつけた対アジア向けSUVの記憶が蘇る…。
だが、エクスプローラーは違っていた。というか、やっぱりフォードはわかっている。全米一売れているSUVを最大限現代化させはするが、あくまで「エクスプローラーはエクスプローラーでなくてはならない」と。
だから、上記のようにモノコックボディを用いFFベースとしながらも4WDをセッティングし、そこに力強いV6エンジンを組み合わせることで旧モデルオーナーを留意させ、一方で新たに直4エコブーストターボエンジンとFFを組み合わせ、未来型のアメリカンSUVを提示してみせた。
そしてそこに載せるボディは、5m×2mのボリューム感であり、今風のCUV的な雰囲気を持ちつつも、やはり根底にはエクスプローラーとしてのアメリカ的サイズ感に洗練されたデザインが描かれている。
とはいえ、やはり最初は目が慣れるまでに時間がかかったことは間違いない…。
だが、実際に乗ると、常に驚きを提供してくれ、すべてにおいて抜群に洗練されたアメリカンSUVの未来像を見ているようで、あのモデルチェンジは「変化というよりは進化だったのだ」と確実に納得させてくれるのである。
試乗したV6 LIMITEDは、2種類あるV6ラインナップの上級グレードとなり、ボディ同色のフロントグリルやレザーシート等、装備の充実度が高いモデル。その分車重は若干重くなり2170kgというが、搭載される3.5リッターV6エンジンのパワーで難なく走りきれる。
294ps、最大トルク35.2kg-mを発生させるV6エンジンは、その動きに過不足ない十分なパワー&フィーリングを示してくれ、なめらかなステアリングフィールやシャシー性能、そしてブレーキ、また車体全体の動きに非常にマッチしてくれ、とにかく「洗練」というワードで満たされる。
4WDということもあり、車体全体に重厚感を感じさせ、旧型よりも若干着座位置が低く目線が低くなったことによる安心感と相まって、まさに理想的なオールラウンダーとしての役割を果たしてくれる。
たとえば筆者のようにほとんど都内の移動がメインで時に高速を使いはするが常に100キロ圏内の移動がほとんど、というような方々にはFFベースの直4モデルこそが理想だろう。
だが一方で4人以上の家族がいて、年中ドライブや旅行等で長距離高速移動をするという方なら、全席快適なエクスプローラーが魅力的であり、くわえてV6+4WDならあらゆる状況下で優雅かつ安楽に目的地にたどり着けること間違いない。
フォードの場合、メーカー直系の認定中古車があるわけだから、安心して中古車を手に入れられるだけに、オススメだろう。というか実際この型の中古車の動きはかなりいいというから、良さに気づいた方々がたくさんいるということである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES