クルマ好きになればなるほど、「自分でなにかやる」的な衝動に駆られることが多い。メカニズム的な話でいえば、たとえばオイル交換。ボディ的な話でいえば、たとえば洗車etc。
その昔、さまざまなカー雑誌を読みあさっていたが、その頃からDIYのオイル交換や洗車系の記事は定番企画であり、毎年のように雑誌の中身を飾っていたのは言うまでもない。
だが一方でDIYのオイル交換って、入れるオイルさえ決めてしまえばあとはやること一緒、のような感じだったのだが、洗車に関しては記事によって若干中身のテイストが違っていたのが読者目線として非常に腹立たしかったのを覚えている。
ワックスはいいからかけるべき、コンパウンドはダメ、いや、ワックスはなるべくかけないのがいい、コンパウンドできれいにするのがいい…etc。一体どれが正解なんだ?
じつは筆者はだいの洗車好きで、過去自分の愛車はすべて自ら洗車していたし、タワー駐車場を借り、雨の日は乗らなかったりして、月一ワックスがけをしていたのだが、その時分からボディのキズや小キズを気にするあまり自分でミニバフ&コンパウンドがけをしているほどだった。
さらにワックスはカルナバロウのなんとかいう高級品を買い、エンジンルームの際の部分にまでワックスをかけていたのが懐かしい。
だが、それから数年が経ちアメ車業界に携わるようになって18年、ひとつの認識として、「アメ車乗りのボディケア」に関する認知の低さがあった。
もちろん、コーティングしたりスタンド手洗い洗車でケアしている方も多数いるのだが、細かな塗装ボディの表面の小キズにこだわるオーナーさんは、アメ車以外の他国車ユーザーよりも圧倒的に少ない(気がする)のである。
そもそも、アメ車自体の塗装のクオリティが低いこともあるのだろう。実際、塗装レベルでいえば、ポルシェやベンツやBMWといったドイツ勢が圧倒的に高く、アメ車の場合、そういった世界レベルのクオリティに追いついたのはここ10年程度の話である。
だからというわけではないかもしれないが、ユーザーからボディケアに関する話を聞くことはほとんどない。
ということもあって、お盆休みに水洗い洗車について取材してみた。単なる水洗いだが、こだわるとこだわらないとでは結構な違いがあることがわかったのである。
まず前提として、洗車には水が必要であるから蛇口ホースの使用できる場所を確保する。そしてなるべく日陰で行うのが望ましい。
ピーカン時だと、水でボディを濡らしている時点から部分的にかわいていき、水じみや汚れ地味のあとがこびりついて残ってしまうから気をつけるようにしたい。万が一、そういった晴れの日に行う場合は、水を濡らすのも部分部分行ない作業を進めていく方法が良い。
ということで、日陰作業を前提に話を進めていく。まずボディ全体をまんべんなく濡らす。使用するのは、バケツ、ウエス、セーム、洗剤、スポンジ等。
ウエスはコストコなどで量販されているもので全然かまわない。こだわるなら、ウエスのタグはとった方がいいし、繊維の縫い目がボディに当たらないように使用するのがいい。こだわるなら、どちらも細かな傷になるからである。
洗剤は各自自分で所有しているものでいい。今回はグレアの洗車シャンプーを使用する。このシャンプーの特徴は、汚れ落としと輝きの両方が得られるシャンプーであること。
なお、洗車後のワックスは基本的にNGというスタンスである。ワックスはロウでできるものが多く、夏の炎天下ではそのロウが溶けボディにこびりつき、塗装表面を攻撃するからである。またコンパウンドを含むワックスもあり、ボディ表面の塗装を削っていることになるので、これまたNGである。
クレイジーカラーズの提唱するボディケアとは、まさにボディ表面の塗装状態を常にいい状態に保つことであり、それ=ボディ表面の塗装を削らない、攻撃しないということになるのである。
だからたとえば、コーティングするにしてもコンパウンドを使用して塗装表面の凸凹を下地処理をするのは絶対にNGなのである。コンパウンド=削る作業であるからこそ、彼らはその凸凹を削るのではなく埋めるのである。
まったくの余談だが、筆者は過去、月一ワックスで自己満足に浸っていたし、コンパウンドでボディを削りまくっていたということになるのだろう(涙)。まさに無知は罪なり…。
閑話休題。
シャンプーのキャップ1杯につきバケツの水4リットル程度の分量でまぜ、泡立てる。基本、汚れ落としは、洗顔と同じで泡で汚れをおとす要領で行うのである。
※なお、水洗いの場合には、水をかけウエスで洗い拭きしながら水を流し、その後再び水を流して終了。終わったらセームで水分を拭き取るだけ。
ボディにグラフィックを貼ったりレーシングストライプが貼られている車両もあるだろうが、その場合でも、同様に水をかけ泡立てたカーシャンプで洗車。スポンジを使用し軽くなでながら汚れを落とし、再び水で洗剤を洗い流す作業を行うのである。
一通りの汚れ落としが終わり水で流したあとは、セームにて水分を拭き取るだけ。聞けば、ボディに一番いいのは、ワックスとかを使わずにこういった水洗いシャンプー洗車をこまめに行うことという。最低月一。できれば二週に一度程度。いわずもがなだが、スタンドの洗車機使用は百害あって一利なしである(その前にアメ車の入るスタンド洗車機もないのだろうが)。
まあ、小キズなんてかまわないし、見た目なんて大して大事ではないから気にしない、というのであればそれはそれで全然ありなのだが、せっかく手に入れた愛車を大切に長く乗りたいというのなら、洗車くらいは自分でやってあげるのがいいのではないかと思う。
なお、高級車ユーザーなどは「スタンドの手洗い洗車にお任せ」という方が多いかもしれないが、彼らは洗車のスペシャリストではないし(それでもきれいに洗車はしてくれるだろうが)、そのクルマに愛着があるわけではないから塗装ボディのコンディションに留意してくれることはない、ということだけは理解していて欲しい。
たかが洗車だが、されど洗車。ボディケアの基本は洗車から始まるのである。磨き、ワックス、コーティング…etc、さまざまなボディケア用語が飛び交うが、それらを語る前に洗車こそ重要と知識を改めるべきである。
アメ車の場合、ボディがデカいとか、フルサイズバンならルーフに届かないとか、いろいろ難儀するかもしれないが、それでも場所や水が確保できるなら、たまには自分でやってみると、愛着だけでなくボディ塗装保護への情熱が高まるかもしれないのである。
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