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[特集]

フォード車と全力で向き合っているFLCグループ

フォード松阪

独自ラインナップを形成し魅力的な最新のフォード車を販売中

フォード日本撤退後5年経った今、元フォード正規ディーラーであったフォード松阪を取材した。

更新日:2021.10.13

文/石山英次 写真/小関一尚

取材協力/フォード松阪 TEL 0598-56-5220 [ホームページ]

寝耳に水だった「撤退」ニュース

 2016年某月、フォードエクスプローラー・タイタニウムの新車発表会が近づく。タイタニウムとは3.5リッターV6ツインターボエンジンを搭載した当時のニューモデル。その準備が行われ、今まさに発表会が、という状況での「フォード日本撤退ニュース」

 全くの寝耳に水だったというフォード松阪の高橋氏は、転職して「まさにこれから」という時だった。

 「新型マスタングがとにかく好調で、続けてV8モデルの発表が迫っていました。同時にエクスプローラーにもツインターボの新型車デビューが間近に迫っている中での撤退ニュースでしたから、とにかく衝撃でした。『なぜ?』。それまで販売好調で追い風が吹いていると感じていた中での一撃でしたからね…」

 その翌日から、撤退ニュースの真偽についてお客様対応に追われる日々になる。ちなみに、上記に挙げたマスタングV8やエクスプローラーV6ツインターボは当然未発表のままだった。

 「あの頃は、本当に大変でした。それまで乗っていた『フォード車を売りたい』というお客様が多く現れました。もちろんディーラーがなくなるという恐怖感があったからでしょう。ですが、そこを越えてこられたお客様は、みな『愛』に変わっていますね(笑)」

 フォード日本撤退後もフォード車に乗っている方々には愛車に愛が芽生え、逆に手放さず一生物にするという感覚が芽生えているという例えである。

 というか、フォード車が好き、フォード車が肌に合うといったクルマ自体の魅力ゆえ手放すことができなった方も多かったのだろう。

▲FLCグループの一翼を担うフォード松阪。広大な敷地内は今なお魅力的なフォードの新車&中古車で埋まっている。

▲店舗内には最新のマスタングコンバーチブルが展示されている。

▲独自に輸入しているUK仕様のマスタングだけあって右ハンドルというのも特徴的だ。

「撤退」を超えると「愛」に変わる

 で、そうした愛が芽生えたのも、フォードジャパン撤退以降も、フォード車を絶やさず、常に全力でオーナーたちを支えてきたFLCの存在があったからに他ならない。

 FLCとは、フォード岐阜、フォード四日市、フォード松阪のグループ3店舗のことをいい、今回取材したのがフォード松阪だが、見てわかる通り、店舗一面がフォード車で埋め尽くされている。

 ショールームには、マスタングコンバーチブルがあり、フォードプーマもあって、それらはすべて右ハンドル。UK仕様ということだが、長年のフォードディーラーとしての技術力を持って、こうした最新車両の整備対応も難なく行なわれている。

 2017年後半から2018年にかけて、まずは右ハンドル仕様のマスタングV8を独自仕入れし、それと同時にエクスプローラーの、当時ディーラーではラインナップされなかった2.3リッター直4エコブーストの4駆モデルを導入。それらは今なお続き、店舗内には30台に迫る新車のエクスプローラーが並んでいる。

 撤退後もフォード車を自社で輸入し販売し続けることで独自性を出し、既存のユーザーにも不安を抱かせないよう、フォード車を絶やさない企業形態を常に模索してきたのである=元フォードディーラーとしての整備対応は万全であり、ピーシーアイによる純正パーツの入手も可能、そこに独自性をプラスして、FLCとしてのフォード車ラインナップを形成しているのである。

▲フォード松阪カーライフアドバイザーの高橋充氏。奥山氏は高橋氏がフォード車を初めて売った方でもあった。

▲元は正規ディーラーだけあって電子デバイスを使った対応やその他アナログ的整備に関しても柔軟に対応できるからこそ、現在取り扱っているUK仕様のフォード車の対応にも難はない。

▲こうした旧年式のフォードエクスプローラーの整備対応も行う。

FLC独自のラインナップを形成

 一転、マスタングに関しては、2014年以前の旧モデルへの希望も多く、そうした希望を叶える厳選中古車も用意する。

 くわえて、マスタングに関しては、現行型の右ハンドルを積極的に導入し、クーぺ、コンバーチブルにとどまらず「ブリット」「マッハ1」といった限定モデルも導入しているから素晴らしい。

 「つい先日も福島の方にブリットを納車しましたし、北海道の方にはクーガを収めています。マッハ1に関しては今後入荷予定です」

 今やFLCのこうした活動は日本中で認知されつつあり、日本中のフォード車ファンから引き合いがあるというのである。

 そんなFLCのフォード松阪でマスタングを購入した奥山氏に話を聞いた。

▲一方でUK仕様の右ハンドルマスタングの納車整備も行っている。

▲店舗裏側に在庫されているフォードエクスプローラー。FLCグループ全体の在庫ということだが、今なおこのモデルの新車が買えるのはFLCグループのみと言っても過言ではない。

二十歳で憧れのマスタングを購入

 奥山氏は、18歳で免許証を取得し、初めての車両がフォードフィエスタだった。そしてその時対応してくれたのが高橋氏だったのだ。

 「実は転職後の初めてのフォード車のお客様が奥山氏でした(笑)、それ以来のお付き合いです」と高橋氏。

 高橋氏は、その後奥山氏一家の全クルマを見立てるほど懇意となり、奥山氏の父、母、弟のクルマを納車。奥山氏もフィエスタ購入から2年後の2016年7月にマスタング購入を決めている。まさしくフォード日本撤退時期と重なっている。

 「2016年6月に相談を開始しました。『マスタングに乗り換えたい』と。そして7月には購入を決定し、8月に納車。その納車約1ヶ月後に『撤退』のニュースですから、とにかく驚きました」

 奥山氏は、映画『ニード・フォー・スピード』を見て以来、主人公の乗るシェルビーに憧れ、あえての旧型マスタングを希望した。そして高橋氏はFLCのネットワークを駆使して程度良好なディーラー車ベースの2013年型マスタング5リッターV8モデルを提案し、そのまま購入へと繋がったのである。

 「新型モデルも出ていましたが、自分は旧型一択でした。箱型ボディがカッコイイ。購入した個体はホイールが交換されている以外はすべて純正ノーマルのままでした。ホイールも気に入り即決でしたね。購入後は自らセンターストライプを入れた程度で、それ以外は当時のままを維持しています」

▲奥山勝利25歳。18歳で免許証を取得しすぐに購入したのがフォードフィエスタ。その時の担当が高橋氏だった。高橋氏にとっては初めてのフォード車オーナーだった。

▲奥山氏が購入した2013年型マスタング。5リッターV8エンジンを搭載。購入時3.3万キロだった走行距離は5年間で6万キロ超をプラスしている。

▲購入時にはすでにホイールが交換されていたが、それ以外はフルノーマルだった。奥山氏は、購入後自身の希望したサイズ感でセンターストライプを入れている。が、それ以外は純正のまま。

フォード松阪のバックアップ体制が頼もしい

 購入時、約3.3万キロだった走行距離は今現在約9.5万キロへ。多趣味な奥山氏は、海や山への遊びにも連れ出し、道具を積んでキャンプにもマスタングで出かけるというからまさしく「相棒」と呼ぶに相応しい。

 購入後5年が経ち、その間に約6万超の走行距離を刻んだマスタングだが、これまでの間にトラブルは皆無。半年に一度の点検と車検のみで過ごせているという。

 それは、まずはちゃんとした中古車両を見立て販売したこと。また一方で、フォード松阪の整備部がフォードディーラーとして未然にトラブルを防ぐための処置を加えていたからだとも言えるのである。

 「MOJCというマスタングオーナーズクラブの活動に参加したり、仲間とのツーリング等を楽しんだりしています。結婚等の状況変化でマスタングを降りてしまう知人もいたが、自分は乗り潰すまで乗るつもりです。めちゃくちゃ気に入っていますから」

 奥山氏も購入当初は、「撤退」時期と重なり不安を感じたというが、その後もディーラーは残り、実際にはより一層フォード車が充実しているフォード松阪を見て安心できたという。

 くわえて、実際に整備に難を感じたことは一度もないということから維持に不安は全くなくなり、今や潰れるまで乗ると語れるのも、フォード車と全力で向き合っているフォード松阪の万全のバックアップ体制とカーライフアドバイザー高橋氏の存在があってこそなのである。

フォード松阪
■住所:三重県松阪市市場庄町1148-1
■電話:0598-56-5220
■営業時間:10:00~19:00
■定休日:水曜日

▲奥山氏は映画で見たシェルビーGT500に憧れ、同マスクを備える2013から2014年型の中古車を熱望したという。

▲免許取得後のフィエスタからの付き合いである奥山氏と高橋氏。フォード日本撤退後もブレることなくマスタングに乗り続けることができたのは高橋氏のおかげであると奥山氏は語る。

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