更新日:2020.03.25
文/石山英次 写真/ゼネラルモーターズ
コルベットのミッドシップ化を語る時、常に思い出すのが、C7ZR1の存在である。6.2リッターV8LT5エンジン搭載。755hp、最大トルク715lb-ftを発生させるモンスターFR。それはZ06より100hpアップ、ノーマルクーペよりも300hpアップした驚異的なパワーの持ち主。
このZR1は、米国のサーキット、ヴァージニア・インターナショナル・レーシングウェイを走り、なんとフォードGTの市販車記録、2分38秒62を更新し、2分37秒25を叩き出した。FRがMRの記録を更新したのである。
だからコルベットのMR化が発表された時は、個人的には新型MRスポーツカーの登場という理屈で納得していた。コルベットはFR。MRのコルベットはまったく別のスポーツカーであると。
それと同時に、もうひとつ。このFR最終のZR1をもってすら納得しなかったコルベット開発陣は、C8のMR化において、必ずやZR1(755hp)以上のマシンを作るのだろう、ということも予測できたわけである。
ちなみに、ミッドシップにはエンジンやミッションといった重量物を車体中央付近に置くことでマスを車体中央付近に集中させ、駆動輪(リアタイヤ)の荷重を確保することができるメリットがあり、そうすることで回りやすくなる=コーナリングが速くなる(コマの原理を想像すればわかり易い)。
さらにリアに荷重がかかればブレーキング性能も向上し、当然リアが重ければ加速するためのトラクションも良くなる理屈だから、スーパースポーツカーがこぞってミッドシップを採用するのも、巨大なパワーを制御するトラクション&速いコーナリング等といったメリットを得るためである。
で、気になる存在がC8と同時発表されているレーシングバージョン、C8Rの存在である。
このC8Rには、直噴5.5リッターV8エンジンが搭載され500hpを発生させる。市販車のC8が6.2リッターV8搭載で495hpを発生させるわけだから、その差は5hpだけであり、もちろんレースレギュレーション等にも合わせているのだろうが、一体なぜ? という疑問が湧いた。
本国では、このC8Rのエンジンをベースに次期C8のバリエーションモデルが開発されていると噂されている。
まずは「Z06」。直噴5.5リッターV8エンジンにツインターボを組み合わせ800hp以上を発生させる。この時点でC7ZR1を超えている。
さらに「ZR1」。上記Z06ベースにモーターが追加されたハイブリッドモデルで1000hpと言われている。このハイブリッドに関してはすでに2年前に開発されているという情報が出回り、その時点では「C7+ハイブリッド」と言われていたが、実際にはC8でのデビューとなるのだろう。
さらに、このC8ZR1は、1000hpというパワーを制御するためにミッドシップ4WDとなるとの予測も報道されている。
このミッドシップ4WDとは、簡単にいうとホンダNSXと同じ理屈。前輪の左右に独立した2つのモーターを装備し駆動する電動式の四輪駆動システムであり、コーナリング状況に応じて左右のトルク配分を制御できるというもの。
簡単に言うと、トラクションが必要な状況ではフルロックの4WD。だがコーナリング手前からフロントモーター制御+リア2WDとなり、前輪で引っぱりつつ、後ろからも押せる。
その前輪制御をモーターが行い、エンジンとは別制御となるから、普通の4WDスポーツとは根本的に異なり、制御次第では異次元の速さが手に入るということ(かなり概略的説明だが)。それを1000hpのマシンで行うというのだから、どれほどの速さなのか。
今回紹介したC8Rは、今後登場する予定の「Z06」「ZR1」のエクステリアの参考にもなる。恐くリサイズはあるにせよ、エアロ系を含めたボディデザインのほとんどが踏襲されるはずである。
クーペ、コンバーチブルに続く次なるラインナップの登場に期待である。
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