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懐かしのアメ車記事リバイバル

【こんな時代もありました vol.1】アストレード

個人的に記憶に残っている「アメ車業界」および「アメ車カスタム」などの記事を、アップします。今では決して見れない(かもしれない)懐かしき記事です。不定期ですが、ご覧ください。

更新日:2011.07.19

文/ 写真/

アストロにしてアストロにあらず。
キャデラックにしてキャデラックにあらず。
あのアストロの箱形ボディとキャデラック・エスカレードの
大胆なフロントマスクが融合した、理想的なミニバン。その名もアストレード。
アストレードの誕生は、アストロのみならず、
カスタム業界にも新たな可能性をもたらすはずだ。



「旧型アストロをベースに前例のないラグジュアリーなアストロを造ろうと思った。さらにラグジュアリーは最新の車種・モデルを使う、ということが前提(常識)となりつつある昨今、日本でやるなら、しかもアストロをベースにするなら旧型・中古車でもOKではないか、という新しい提案もしたかった」
 その思いの結晶が、旧型アストロにキャデラック・エスカレードフェイスを装着したアストロだった。その名も『アストレード』。
 しかし、このカスタムカーを製作するには、恐ろしいほどの時間と手間とお金がかかった。今までに前例のないカスタムカーを製作するわけだから、見本も設計図も何もない。みずからイラストを描き、パーツを発注し、パーツが届けば、そいつをベース車に合わせてみる。当然、アストロとエスカレードではモノ全体が違うわけだから、ピッタリハマる、なんてことは絶対にない。そしてそいつを何度も繰り返し、ひとつ一つ加工し、必要があれば、他のパーツを流用したり、ワンオフで起こすことを考える。この作業のやりとりに約1ヶ月はかかったという。
 だが、ここまでやっても、当然ながら、うまくは進行しない。予算や時間に限りがあるし、試行錯誤の連続。具体的にいうと、アストロとエスカレードでは、ボディの横幅がまったく違う。さらに、エスカレードのマスクを装着するには、アストロのボンネットでは長さが足りず、そいつを継ぎ足してやらなければならい。当然ながら、ボンネットを継ぎ足せば、それに付随する両フェンダーの長さも足してやらなければならず、また、実際にフェイスの位置決めが終われば、そいつを固定するパーツも造らなければならない。
 このカスタムカーを製作する段階で、実はアメリカではもうすでに、現行型アストロをベースにしたエスカレードフェイスが実際に存在していたという。だが、今回は旧型マスクがベース車両であった。旧型マスクのアストロは、サイドから見ると、ボンネットの傾斜角が現行型よりも強い。つまり、フロントマスクの位置だけを比較すると、旧型マスクの方が現行型よりも下に位置する。この部分の攻略が最大のポイントであり、実際に完成するまでに3ヶ月の時間を要したのである。
 旧型アストロをベースに製作した1号目アストレードが世間一般にお披露目されて以降、実際に多数の反響があったという。そしてその中で誕生したのが、今回紹介する2台のアストロである。これら2台のアストロは、現行型モデルをベースにし、さらにノーマルルーフとハイルーフというベース形状である。つまり、この2台が完成したことによって、新旧アストロをベースにした3台のアストレードが完成したことになる。

当時現行モデルと呼ばれていた、アストロ後期モデル。実物を見ると、まるで純正車のような雰囲気があった。当時記憶によると約80万円から100万円程度の費用を必要としたはずだから、圧倒的な普及率はなかったが、それでもかなりの反響があったという。

コイツをベースにアストレードを製作すると、10センチ程度のバンパーの延長を必要とした。だが旧型マスクは30センチの延長を必要としたから、慣れと経験もあってか、スムーズな作業が可能になった。

ハイルーフベースだと、一瞬だが、エスカレードそのもの、のような見た目の印象を受けたことが記憶に残っている。こうやって今、写真を見てもかなりのインパクト。

顔が変われば、すべてが変わる!

 パッと見の印象は、そんなに変わらないかな、というもの。だが、実際に製作する側にとってみれば、その差は天と地ほどのものがあったという。制作者曰く「1号車を造った経緯もあり、2・3号目は意外とスムーズにいきました。別段違うパーツを使ったわけでもなく、かといってポン付けというわけにはいきませんでいしたが、それでも1号目の苦心のおかげか、ほんとにスムーズでした。そういう意味では慣れもあったかな。強いて違いをあげれば、バンパーの長さ。1号目は旧型をベースとしていたから、30cm程度の延長を必要としましたが、現行モデルベースは10cm程度。新旧見比べれば分かりますが、マスクの位置が、現行型の方が若干高い位置にあるんですよ」
 嬉しい誤算だが、エスカレード・フェイスが装着されたことにより、アストロ本来の持ち味に凄味が加わり、それまで装着していた17、18インチホイールでは物足りなくなり、最終的には20インチホイールを装着することになったという。
 実物を見てホントに驚いたが、違和感なく、まるで純正のような出来映えだった。

1号車として誕生した、旧型ボディベースのアストレード。こうやってみると、旧型でも後期型でもどちらでも問題なくハマるカスタムという感じが、今でもする。

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