TEST RIDE

[試乗記]

2015年モデルに新グレードが登場

キャデラックCTS (CADILLAC CTS)

AWDシステムを持つ「プレミアム」に雪上試乗

キャデラックCTSに4WDシステムをもった「プレミアム」がラインナップに加わった。スタッドレスタイヤを履いたCTSプレミアムを雪上で試乗した。

更新日:2015.02.23

文/椙内洋輔 写真/ゼネラル・モーターズジャパン

走りの実力は歴代キャデラック随一

 三代目と称される現行キャデラックCTSが登場したのが2014年。メルセデスベンツEクラスやBMW5シリーズなどをライバルと公言するだけあって、ボディサイズは一気に5メートル級を誇る。

 さらに理想的な50対50の前後重量配分に設計された軽量&高剛性ボディに、マグネティックライドコントロールやブレンボブレーキ、可変アシスト量制御の電動パワーステアリングといった先進装備を搭載するCTSの走りの実力は、歴代キャデラックの中でも随一というレベルにある。

 加えて搭載される2リッターターボエンジンは、いわゆる最近メジャーなダウンサイジングターボであるのだが、直噴機構と可変バルブタイミング付DOHC4バルブを採用し、インタークーラー付ツインスクロールターボチャージャーを組合わせることで276ps、最大トルク40.8kg-mを発生させる。

 ダウンサイズとはいえかなりのハイチューンユニットに仕上がっており、いったん走りだしてしまえば、そのサイズを感じさせないほどスポーティかつ刺激的な走りが可能である。とくにセダンらしからぬ鼻先の軽さ、ビビッドに反応する回頭性は優れた重量配分のなせる業だろう。

 そんなCTSの2015年モデルが発表された。これまでは「ラグジュアリー」と上級グレードの「エレガンス」という2本立てのラインナップだったが、2015年型からは「ラグジュアリー」とAWDシステムを持つ4WDの「プレミアム」という二種類となったのである。

 ちなみにこの「プレミアム」は旧「エレガンス」と同価格というが、20インチタイヤが標準化されたほか、パーキングアシストに並列駐車機能やスマホのワイヤレス充電機能などが追加されたとあるから、お買い得感が一層高まったといっていい(値下げといってもいいかも)。

ボディは、超高張力鋼板やアルミ、マグネシウムなどが使用され、クラス最軽量の1680kgとなっているが、今回ラインナップに加わった4WDの「プレミアム」は90kg重い1770kgとなる。だが、その差を感じるほどネガティブな動きは微塵も感じさせない。

ボディサイズは、ミッドサイズと言われるが5メートル級を誇る堂々たるもので、ライバルはメルセデスベンツEクラス、BMW5シリーズ、アウディA6など、そうそうたるものであり、ドライバーズカーとして激戦区での戦いが展開されている。

搭載されるエンジンは、ダウンサイジングターボ。新世代エンジンであり、2リッター直噴ターボに可変バルブタイミングが加わり、276psを発生させる。これはBMWやメルセデスベンツ、アウディの2リッターターボエンジンよりも高出力を誇るはいチューンユニットに仕上がっている。

雨や雪、ワインディングなどさまざまな状況で、常に安定した走行が可能であり、ドライバーにとって非常に安心感が高い4WDサポートである。

2015年モデルで4WDモデルが追加

 今回、この4WD機能が追加された「プレミアム」にスタッドレスタイヤを履いた仕様での軽井沢雪上試乗が許された。正直、一般的なアマチュアドライバーにとっては、たぶん絶対に走らないであろう(笑)状況下での試乗に、最初はビビったものだが、走りだしたCTSはいともあっけなく走りきったのだった。

 雪道での鉄則は「急のつく動作は絶対に行わないこと」だが、そういった予備知識をまったく駆使することなく普通に走りきり、4WDであることすら感じさせない走りはさすが最新4WDマシン。

 このCTSの4WDは、フルタイムの4WDではなく、完全なFR状態からフルロックの4WDまでを自在に制御するオンデマンド型ということで、スロットルや車速、舵角などから、クルマ側で(勝手に)前後トルク配分を制御しているのだが、その制御が非常に精巧であるからこそフロントが引っ張る4WD感が希薄であり、必要な状況時だけドライバーをサポートしてくれる印象であった。

 だからこそ4WDゆえのデメリットとも無縁であり、知らされなければ4WDと気づくことさえないかもしれない。

 個人的には、フロント操舵にあまり干渉しないタイプの4WDということで、非常に良い印象が残っている。ただし、車重は電子制御多板クラッチによる4WDシステムのためにFR駆動の「ラグジュアリー」よりも90kg重いというが、その差が感じられるほどのネガティブな動きがなかったのがより好印象に繋がった。

インテリアは、カーボン調のプラスチックやレザー風のビニールと言ったフェイクではなく、各部にリアル素材を使用して作られている。パドルシフトやステアリング本体もマグネシウム素材というこだわりようである。

シートも同様に質感よくホールド性高く、非常に満足感の高いコンフォート性能が与えらている。昔のようなソファー的なシートではなく、硬質な欧州車的フィーリングが特徴。なお、左ハンドル仕様のみの導入となる。

CTSのバッジの横には、4WDであることを示す「4」の文字が加わった。これは新たにラインナップされた「プレミアム」を示す。

都心の雪程度ならまったく苦にならず

 この時期、関東でも降雪予報がよく聞かれるが、このCTS 4WDなら天候をまったく気にする必要がないだろう。

 この「プレミアム」は税込価格699万円ということで、ライバルたる欧州勢と真っ向勝負となるセグメントに属するが、攻撃的なデザインを備えたパワフルでヤンチゃなキャデラックということで、是非とも商戦を勝ち抜いてさらなる進化を果たして欲しいと思う。

 ちなみに、まったくの余談だが、現行キャデラック勢はエアロで武装すると一層クールな印象をもたらすだけに、そういうキャデラック乗りが増えることも同時に期待したい。

最新のオンデマンド4WDによって、雪道などの不安定な路面での安定した走行性能確保というのはもちろんだが、通常走行時のより安心感高い走りを実現することも忘れてはならない。次回は一般道でこの4WDを試してみたい。

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