更新日:2020.05.21
文/編集部 写真/編集部 / motor.1
コルベットは時代を追うごとに様々なデザインテイストを経て現代に至っている。C1、C2、C4、C5、C6、C7は、デザインはそれぞれ異なるが、ある意味では欧州スポーツカー的なデザインを目指したものだと思う。
だがC3だけは、まったく異なるスタイルである(と思っている)。大きく膨らんだフェンダーにロングノーズ&ショートデッキのフォルム。
個人的にもコルベットの中で一番好きな型である。「アメリカ イズ No.1」の象徴。パワー感を見事デザインとして表現したマッチョな傑作スタイル。
これこそアメリカ的オリジナリティだと思う。ときに速さも必要だが、それよりも重要なもの、とくにアメリカ車として重要なものがC3のデザインには詰まっていると常に感じているのである。
だが。日本でわれわれが目にするC3とえいば…。ゴリゴリのエアロに包まれた変形C3。もちろんそれらを認めないというわけではない。だが、いじるにしてもオリジナルの素晴らしさをもう少し残して欲しいと思うわけである。
ちなみにC3コルベットは、68年にデビューし82年まで生産された、歴代コルベットの中でももっとも長い15年という生産期間であり、5年という短命に終わったC2時代と比べれば「パワー」で頂点を極めた時代とも言えるだろう。
500hpを上回るエンジンパワーのポテンシャルを最大限引き出すマッチョなデザイン。空力にも優れたC3は、コルベットの歴史においても「絶頂期」だったのである。
しかし、70年代を境いに大気浄化法改正(マスキー法)によって排ガス規制が一気に強化され、対処法的なエンジンのディチューンがはじまり、中にはトップエンジンの廃止も行われ、一気に牙が抜かれ始めていった。一方デザインにおいても変化が生じ始める。衝突基準の改正によってクロームバンパーの廃止やオープンボディたるコンバーチブルも消滅するのである。
そういう意味では、C3の時代は、力で栄華を極めたアメリカンパワーに満ちたエンジンとデザインで幕開けし、オイルショックの最中で苦悩しつつ、新たな魅力を模索し続けた15年間と言っていいかもしれないのである。
でだ、ここで紹介している1972年型のコルベットC3。何とも素晴らしく、そして美しいフォルム。さらにレーシーな雰囲気に満ちあふれたカスタマイズセンス。日本でいじれば間違いなく竹槍出っ歯風なヤン車風情を醸し出すに違いない(笑)
この車両は、バレットジャクソンのオークションに出展されたC3である。いわゆるプロツーリングマシンで、2015年に48時間レースに出走したC3である(それにしてもプロツーリングって人気があるな、アメリカでは)。
ブライトイエローのボディカラーにブラックパーツが組み合わされた1台。搭載されるエンジンは7リッターV8のLS7改。ホーリー製EFIに始まって、チタンバルブ等が組み込まれたエンジンは推定650hpを発生させ、強化された6速MTが組み合わされる。
制作したRideTech社は、自社のトラックサスペンションを組み込み、調整式ショックやアルミスピンドル、トラクションコントロール等を装備し、6ポッドのウイルウッドの大径ブレーキや軽量鍛造ホイールによって足回りをセッティングしている。
それにしても素晴らしい。というか美しい。いじりものであるのだが、なぜだかそう見せないバランスの良さとでも言おうか。この車両は、オークション出展車だし、そもそもプロツーリング車両としての価値が高すぎて手出しできないだろう。だが、「こんなC3が欲しい」と将来の愛車を妄想することは可能である。
と同時に、これからいろいろなC3をどんどん取材していきたい。いつかはC3、のためにも、現役世代の個体を紹介していこうと考えている。
C7コルベットとランデブー走行をしています。
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