エンジンオイルには、たとえば金属部品を滑らかに動かす潤滑作用があり、高温化した部分の熱を冷ます冷却作用があり、金属摩耗粉(スラッジ)などの異物を洗い流す清浄作用やピストンとシリンダーの隙間をふさぐ密封作用等々があり、その役割を果たしつつ次第に劣化していくために必ず交換しなければならず、各メーカーごとに交換基準および使用オイルの粘土数がある程度決まっている。
アメ車の場合は、大排気量エンジンであることもあり、その性能をフルに発揮させようと思えば「熱」にシビアな部分があり、その一方で日本の道路事情で使用していく過程おいて、低速走行を頻繁に行っているとオイルに熱が十分入らない状態でストップ&ゴーを繰り返していることも多く、オイルの性能を引き出すことなくエンジンに負担をかけていることもあり(外部との温度差によって水滴が発生しやすくなり、腐食の原因にもなる)、いずれにせよオイル管理には十分に注意を払う必要がある。
最近では、エンジンオイル無交換に近いエンジンが欧州車等で開発されメンテナンスフリー的な要素が加味されつつあるが、少なくともアメ車においてはそういった次元では(今のところ)語れない。
ということもあって、大排気量エンジンおよびターボ車向けかつ日本使用を前提に、使用するオイルにこだわっているショップがBCDなのである。
ちなみに、エンジンオイルに記される数字についての認識は、ある程度理解されていると思うがあえて記せば、一般的にオイルは低温時は硬くなり(粘度が増す)、高温時に軟らかくなる(粘度が減る)という性質の持ち主である。
そういった中でたとえば、『5W30』といった表記はどれだけの温度変化に耐えられるかを表しており、『5W30』の『W』はWinterの意味で、その前に付いている『5』は低温時でのオイル粘度を表している。その数字が『15』『10』『5』と小さくなるほど、寒さに強い(低温時でも柔らかい)オイルとなる。一方、後ろの『30』という数字が高温時の粘度を表している。この数字が大きいほど、暑さに強く、高温時でも粘度を保つオイルということになるのである。
ということで、『5W30』と『10W40』を比較してみると、『5W』は『10W』より柔らかく、低温でもエンジンの始動がよくなり、『5W30』より『10W40』の方がオイルが硬いため、エンジンを高回転で回しても硬さを保つことができるので、エンジンを保護する力がよりあると、一般的には言われているのである。したがって、大排気量エンジンなど負荷が大きいエンジンには効果があり、静粛性等にも優れているので、硬いオイルは大排気量やターボ車、スポーツ系のクルマに向いていると言われているのである。
とはいえ、大排気量エンジン車に乗ってはいても常に法定速度を守りつつ、いわゆるちょい乗りメインの方々には、『40』等の硬めのオイルは逆に向かない場合も多く、そう言う意味でオイル選択は難しい場合もあるから、自らの使用範囲を考えた適切なオイルが求められると共にプロによるアドバイスが必要な場合があるのである。
今回取材したBCDでは、BUBUオリジナルのオイルブランドとして登場したトロフィーモーターオイル【TROPHYY.MOTOR OIL】を使用しており、購入後の維持メンテナンスとして注力しているのである。
このトロフィーモーターオイルは、BUBUのこれまでの数十年におけるアメ車販売およびメンテナンスのノウハウを生かした国内ユースを前提とした専用設計品であり、『5W-30』に2銘柄、『5W-40』、そしてなんとHEMI専用の『5W-20』までをラインナップ。
くわえて高回転域を多用するスポーツ走行向きの『5W-50』や超ハイパフォーマンスカーやサーキット走行向け用に『5W-60』を同時にラインナップしており、ダウンサイジングターボから大排気量NAエンジンおよびスーパーハイパフォーマンスカーに至るまでを網羅する。と同時に各種添加材をラインナップし、エンジンオイルおよび燃料系、吸排気系の効率を高めるのである。
ラインナップ詳細は以下のとおり。
『エンジンオイル』
<STREET PERFORMANCE・ストリートパフォーマンス>ラインナップ | 5W-20 | 5W-30 | 5W-40
100%合成油、最新のフルシンセティックオイル。エンジン保護性能、コールドスタート性能を持ち、低揮発性でありながら高負荷時にも油膜破断を防止し、優れた潤滑性を保つレスポンス重視の設計。輸入車の国内使用を想定して専用設計されたシリーズ。
<STREET PERFORMANCE + SPICE・ストリートパフォーマンス + スパイス>ラインナップ | 5W-30
上記製品に独自の添加剤【ナノパフォーマ】を配合し、オイル分子の細分化と均一化が図られ、分子結合が強化されていることが特徴のオイル。これにより卓越したシーリング性能とフリクション軽減が得られ、油温上昇の抑制と安定化、騒音低下と摺動抵抗の低減による摩擦熱発生の抑制と酸化防止につながる。低粘度ながらもピストン気密性が高くなることからダウンサイジングターボ車にも最であり、高いシーリング効果による吹き抜けを防止し、パワーとトルクアップ、ブローバイガスの低減が期待できる。また、ストリートからスプリントレースまで幅広く使用可能である。
<SPORT PERFORMANCE・スポーツパフォーマンス>ラインナップ | 5W-50
独自の添加剤【ナノパフォーマ】を配合し、最新ベースオイルにエステルとPAO(ポリアルフォアレフィン)を配合したフルシンセティックオイル。高粘度指数で低流動点を有する事から、低温流動性と高温安定性に優れた性能を発揮する。高回転を多用するスポーツ走行に適したオイル。
<TRACK PERFORMANCE・トラックパフォーマンス>ラインナップ | 5W-60
ベースオイルに高性能なコンプレックスエステルに独自添加剤【ナノパフォーマ】を追加。エステルオイルは金属摺動部分に付着する特製があることから、コールドスタート~高負荷運転時でも油膜破断しにくく、優れた潤滑性能と低い摩擦係数が特徴。 高温、高負荷運転が持続する状況でも安定した性能を発揮するため、本格的なサーキット走行にお勧め。※ 受注生産品
※『ナノパフォーマ』とは?
オイル分子の細分化・オイル分子の均一化・オイル分子の結合力強化を目的とした特殊技術。これらの特徴を持つナノオイル分子がオイルと金属との隙間を埋め、ベアリング効果や密閉効果をより高める働きが期待でき、エンジン内部の摩擦抵抗が減少し機械的なフリクションロスを最大限抑える。またナノレベルの潤滑皮膜によって金属面が覆われる事により、エンジン内部のシール性と金属同士の摩擦からの保護効果を高める。エンジン内部を痛めることなくオイルフィルターなどの目詰りの心配もなく、塩素系極圧剤も含まないので、金属への攻撃性がないのがポイント。
『トロフィーシリーズ添加材』
<BLACK FACE Stage-1【前処理剤】>【オイルフラッシング剤】
金属とスラッジの間に浸透し、汚れを剥がしやすくする。特にピストンリング周辺のスラッジを取り除く事で、ピストンリングの動きを良くし、ピストン圧縮力の 向上が期待できる。同時にスラッジ付着を予防し、後処理剤【Black Face Stage-2】の処理効果を高める。オイル交換前の古いエンジンオイルに本品を添加し、しばらくアイドリング状態を維持。その後古いオイル一と緒に排出する。
<BLACK FACE Stage-2 【後処理剤】>【オイル添加剤】
摩擦係数0.015を誇る、世界最高峰の潤滑性能と高い耐熱性が特徴。フリクションを低減させるため、低燃費とレスポンスの向上が体感できる。エンジンの耐摩耗性を向上させることで、長寿命化にもつながる。※STAGE-1とSTAGE-2の同時施工を推奨している。
<FUEL SAUCE・フューエルソース>【燃料添加剤】
車両に大きな負担の掛かる国内の交通事情に合わせて開発された洗浄剤。燃料タンクからフューエルライン、インジェクターまでの洗浄効果が望める。高性能な洗浄成分を配合しており、付着したカーボンやワニスを除去し、新車時の性能を取り戻すことが出来る。
※施工は専門ツールと知識が必要なため、サービス工場にて施工必要。
<CARBON DUSTER・カーボンダスター>【吸気系洗浄剤】
日本国内ではストップ&ゴーが多くブローバイガスを多く取り込んでしまう傾向にあるため、汚れがエアインテークマニホールドやバルブ、燃焼室、ピストントップにスラッジとして付着してしまう。これらを短時間で除去する事を目的として開発されており、リキッド分子を独自の技術で細分化し、汚れやカーボンに浸透し、効率良く洗浄を促す。なお走行1万キロに一度程度での施工を推奨している。
当日オイル交換を行う車両は2015年型キャデラックCTS4。新車からすでに3500キロ弱を走行しており、購入後最初のオイル交換という。今回は、ストリートパフォーマンス+スパイス5W-30オイルにBLACK FACE Stage-1と2を施工。
手順は通常のオイル交換とほぼ同じであり、事前にBLACK FACE Stage-1を施しその後リフトに載せ廃油処理を行ない、フィルターを換え、新しい5W-30オイルを入れたのちにBLACK FACE Stage-2を注入する。
取り出したオイルを見ればわかるが真っ黒だった。これは、エンジン内部でできたススや金属粉などのスラッジを取り込み黒くなっているのであって、オイルが正常に働いている証拠ではある。ちなみに、万が一このままオイル交換をしなければ、この黒ずんだオイルがずっとエンジン内部を循環していくことになるから考えただけでもゾッとするだろう。新品の飴色のオイルを見ればさらにその差にゾッとするはずだ。
エンジンオイルは、基本メーカーの取り扱い説明書で交換目安が記されているからそれに従うのが一般的であるが、それ以前の時期でも、たとえば少しハードな走行を繰り返したとか、それに伴い極端に燃費が悪化するとか、エンジン音がうるさいとか、感覚的なものだがそういった事象が起こることでもオイル交換をする必要があるかもしれない。
トロフィーモーターオイルは、日本での使用にこだわった専用設計かつ多彩なラインナップを誇り、街中使用やハード走行中心といった的を絞ったラインナップが素晴らしい。その上で、通常あまり見かけない5W-20や5W-60といったオイルを揃えているところにコダワリを感じるのである。
この交換作業自体は一時間にも満たないものだったが、新車から3000キロ弱走ったオイルの汚れが衝撃的だっただけに、改めてオイル交換の重要性を認識した次第である。
一方でBCDに関して言えば、現地法人を持つことで日本人向けにコンディション良好なアメ車を扱うことで有名だが、今回国内ユース専用の自社オイルを共同開発したことによるアメ車メンテナンスの新機軸を打ち出し、アメ車ファンの味方として購入からその後の維持までを万全の体制で支えてくれるのである。
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