誰にでもある(だろう)乗りたいクルマリスト。その中でも筆者のベスト3に入るジープラングラー。2007年に4ドアモデルのアンリミテッドが登場し一気に順位を上げ、2012年にはエンジンとミッションが進化。それ以降は状況が許せば「いつかはラングラー」という状態が常に続いている(自分の中だけで…)。
ちなみに、ラングラー4ドアにマツダロードスターあたりがセカンドカーとして加われば、クルマ道楽の極み! とまではいかないだろうが、それに近い楽しい日々が送れるだろうと妄想している(笑)。もしくはラングラー2ドアにC7コルベットのMT車という組み合わせも最高じゃないかと。
じつは筆者はかつてはセダンファン、もしくはセダン型ベースのワゴンボディのファンであった。だが、今や道行く車両の半数以上がSUVで埋め尽くされ、あのMINIでさえもクロスオーバーなる不思議なMINIを作り出している。
で、その流れに乗じて各メーカーからはSUVの派生モデルが続々と登場。そんなこんなで街中にSUVとSUVもどきが混在するようになっている。そしていつしか魅力的なセダンやワゴンはどんどん消滅していってしまった。
そんな時、ふと辺りを見渡すとアメ車にはジープがあった。ラングラーがあった。街に溢れるSUVとは一線を画すプリミティブなデザインに本格派の足回り。
ジープ西東京は、都心新宿から西へ発する幹線道路「青梅街道」沿い、西武新宿線「東伏見」駅より徒歩7分に立地する東日本最大のショールーム。その中に最新機器を備えた整備工場があり、熱心な営業マンがいる非常に親しみやすいディーラーである。
前回お世話になった営業の加賀美氏に、今回は旧モデルとなるJK型の中古車についてお話を伺った。一言「とにかく人気が高く、中古車価格も高い」ということであった。
たしかに古臭いと揶揄されそうなメカニズム構造だが、街中で見れば俄然映えるその個性。本物だけが醸し出すデザインや雰囲気が最高に素敵である。
これまた余談だが、筆者の身の回りのモノはアメリカ製品とかつてのアメリカ製品をリスペクトして生まれた日本産レプリカ品とで埋まっている。例えばレッドウイングやホワイツのブーツは複数所有しているし、デニムはデッドストックのリーバイスももちろん所有する。
だからクルマももちろんアメリカ製がいいし、歴史や伝統を感じさせ、さらにはデザインや雰囲気に個性があるもの、そして時を経ても色あせないシンプルさ=「ラングラー」へとたどり着くのである。
ちなみにラングラーに似たような存在としては、メルセデスのゲレンデやローバーのディフェンダーなどもあるから、好みに応じてお好きなものを選べばいいと思う。
で、ラングラー購入の詳細を聞きにジープ西東京に話を聞きに行ったのが前回。直接営業マンさんに話を聞き、見積書をもらい帰宅したわけだが、その時もらった見積もりは新車に関するものであった。
取材したJK型の認定中古車は、2018年型アンリミテッドアルティチュード。走行距離は約3万キロ。搭載エンジンは3.6リッターV6であるが、5速ATと組み合わされる。
2020年型のJL型アンリミテッドサハラ。同じく3.6リッターV6エンジンを搭載するも8速ATが組み合わされる。両者を見比べると若干の違いが明白に。だが、内部構造的には大幅に異なっている。
JL型では、ヘッドライトおよびフォグライト、テールランプ、デイタイムランニングライトのすべてがLED化されている。
若干のクセがあるものの、乗ればすぐに馴れる。そして楽しめる旧JK型。求めるものによっては、いまだ旧型人気が高いということである。
だから今回、中古車を購入するという視点で再び話を聞かせてもらった。というか、いきなり認定中古車である2018年型ラングラー、いわゆるJK型に試乗させていただいた。
なお認定中古車というのは、7年未満 / 8万キロ以内という基準の中で状態のしっかりした車両を各ディーラーが見極め保証付で販売している車両のこと。
ということで、取材車は2018年型ラングラーアンリミテッドアルティチュードの約3万キロ走行車。ボディカラーは安定のホワイトということで、かなり人気の高い車両という。
過去に何度も取材したことがあり乗ったことがあるJKだが、ここ数年はJLばかりを取材していたから実に3年ぶりくらいの試乗である。
さて、走って数分も経たずに「やっぱりいいな」とつぶやく。見た目に若干古さを感じさせるが、乗るとそんなことを忘れるくらいに普通によく走る。走行中にミシミシガタガタといった異音低級音もないし、ブレーキもしっかり効く。
旧モデルのJK型。特別なものに乗っているという醍醐味が得られる。乗員はJKのクセに対してそれなりに合わせる必要があるが、そこに問題がなければ非常に面白い乗り物だろう。
新型のJL型。旧JK型ほどのクセはないが、他メーカーの車両と比較すればまだまだ十分に個性的であり、面白い存在。ステアリングは軽く、ハンドルの切れも良く、今時の外車と同等レベルの質感も備える。
いまだ「この顔がいい」という方も多く、中古車の人気も高い。それによって中古車価格も高騰している。
それ以前のラングラーの世界観を崩すことなく、現代の最新SUVに求められる快適性や安全性、さらには燃費性能等を向上させたJL型。アクの強さは薄れたが、楽しさは健在。
ただし、ハンドルの切れが悪く、慣れるまでは予測以上に切り返しを必要とするから注意が必要であるし、アクセルペダルが若干奥まっていてこれにも慣れが必要だが、それ以外は至って普通に走るし面白い。
搭載されるエンジンは3.6リッターV6で、このエンジンは後に続くJL型にも搭載されているエンジンと同機。ただし、ミッションが5速ATというから8速ATを搭載するJL型よりは燃費効率は悪いという認識が必要だろう。
そんな2018年型ラングラーアンリミテッドの認定中古車価格は、423万6000円(税込)。
「えっ」。試乗を終え、価格を聞いた時の筆者のリアクションである。正直、高いと思った。てか、物凄い高いと思った(笑)
それに対し、営業の加賀美さんは「ですよね! ですが、非常に人気車であり、このくらいの価格でもかなりの勢いで売れていくのがJK型なんです」
質感はそれほど高くはないが、シンプルかつ個性的なインテリア。新型と比較しなければ、ある程度の満足感は得られる。
新型JLのインテリアは激変と言えるかもしれない。二眼式のアナログメーターや7インチのフルカラーディスプレイが採用され、また使われている材質の違いもあり、とにかくインテリアの雰囲気が明るいのが特徴である。
両者を見比べると、大きさの違いはさほど感じないが、実際にはJL型の全長が165ミリ、全幅が15ミリ、ホイールベースが65ミリ拡大さており、それが室内空間の広さにつながっている。
こう見ると、新旧の違いがあまりよくわからないというのも本音。乗ればわかるが、見た目だけであれば旧型の差はあまり大きくないとも言える。
続けて「JK型とJL型を比較して、『やっぱりJK型のデザインがいい』という方が多くいらっしゃるのです」とも。
なるほど。確かに両者を比較すると、若干違う。しかも軍用っぽさという点で見れば、JK型の方に色濃く残っている。そういった点を重視すればJK型に行き着く感じも非常によくわかる。
ちなみに、アクセルペダルの件だが、これは左ハンドル車でも同じように奥まっているという。それは軍用としての使用をも考慮されている関係上、大きめのブーツ等を履いて運転する軍用関係の方々がペダルを踏み間違えないようにあえてそう配置されている。なるほど!
さらに。ボタンを押しレバーを引くドアオープナーであるが、それは野山を駆け巡る軍用車ベース。
茂みの深いブッシュにおいては、取手だけでは走行中に(そのブッシュによって)ドアが空いてしまう危険性がある。だからさらにボタンを追加して2アクション化することで、安全性に配慮しているのである。さすがの軍用ベース!
搭載されるエンジンは、3.6リッターV6DOHC。284ps、最大トルク35.4kg-mを発生させる。5速ATが組み合わされる。
同じく搭載エンジンは3.6リッターV6DOHC。284ps、最大トルク35.4kg-mを発生させる。8速ATが組み合わされる。が、それ以外にボディにアルミニウムやマグネシウムを使用することで軽量化を果たしているから、その分の違いも如実に現れる。
旧JK型のアクセルペダルの位置が若干奥に位置しており、ブレーキペダルとの差異に違和感を感じるが、それもすぐに馴れる程度のもの。
今の時代、ツーアクション必要となるボタン式ドアオープナーはラングラーくらいでしか見当たらない。だが、こういった部分を味わいとして受け入れること自体が旧JK型を楽しむことにつながるのである。
ということで、続けてJL型に試乗。
こちらも走ってすぐに「あ〜、なるほど、全くの別物だな」。出だしから8速ATが効いている。
あえて比較試乗したからわかるJLとJKの違い。率直に言って「JLは何から何まで新しい」
例えば、乗った瞬間に感じるインテリア内の雰囲気。現代的な意匠に包まれ、デジタルとアナログを融合した各メーター類やセンターコンソールを含めた液晶&モニターによって、明るい印象を受ける。
さらにアクセルペダルの違和感は皆無だし、何より一番わかりやすいのがステアリングの軽さと切れの良さ。そして路上に出てわかる乗り味の軽快さと洗練度。
JL型は、現代の最新車両として洗練されているから、同年代の国産車や欧州車と同じような洗練された乗り味が楽しめる。
一方、JK型はその見た目通りの雰囲気と乗り味が味わえるから、ある方にしてみれば「古臭い」となるかもしれないし、逆に「これだ」となるかもしれない両極端な個性を秘めている。
対してJL型の洗練度は、だからこその人気でもあり、他車からの乗り換え需要を多くもたらしている理由でもあるだろうから、これはこれで良いと感じるし、正直、ファミリーカーとして使うなら筆者的にもJL型の洗練度を支持するだろう。
さらに価格。JK型の人気の高さによる価格高は想定外だったが、逆にここまでJKが高額だと、JL型の新車へと流れる可能性も高くなり、実際に筆者も迷う。
が、求めるものとしては、洗練された人気車としてのジープであるからJL型をチョイスすることになるだろう。
ドアパネルやフェンダー、ウインドシールドフレームにはアルミニウムを、スイングゲートの骨格部分や内側パネルにはマグネシウムを用いることで、車両重量の大幅な軽量化を実現。だから非常に軽快。
JL型では、室内空間の拡大により旧JKでの不満のひとつであった後席の背もたれの角度も改善され、居住性が大幅に改善されている。
ジープ西東京に展示されていたラングラールビコン。ジープ西東京に今1台だけあるラングラーの実車である。実は商談中ということで、売れてしまったら展示車がなくなってしまう、というほど新型の人気も高く売れている。
今回あえてJK型の中古車を確認したのは、「安価であればJKか」という思いがどこかにあったからである。実際、ジープ西東京には、独自の販売網により上質なJK型の中古車が集められ、そちらの人気も非常に高いという話を前回伺っていたから、その確認をするつもりであった。
実際、試乗した2018年型のJK型は、3万キロ走行であったが非常に質の高い中古車であり、もちろん中古車であるから若干の使用感はあるものの、即座に納得できるレベルのものであった。
だが。それゆえ人気も高く、価格も高い。正直、新車と同じ長期ローンを使用して購入するなら、JL型との毎月の支払い額が2万円ほどの差もなく、「ならば新車のJL」という思いが強くなる方が多いのではないか。
ちなみに、「どうしてもJK型」という希望があるなら、ジープ西東京の認定中古車はオススメである。新車はある意味どこのディーラーで購入しても同じだが、中古車はまた別であるから、一度確認してみるといいだろう。
ということで、「安価であればJKか」という思いはものの見事に破壊されたわけだが、その一方で今現在のラングラー人気の高さ、ある種のブランド品的な価値が伴い始めたのではないかということを、改めて知ることができたのである。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES