個人的な印象だが、ジープには、なぜか「オタク」というイメージが常につきまとっていた。ジープの凄い歴史はもちろん理解しているつもりだし、めちゃくちゃ凄い岩場をがんがん登ってしまう走破性には感服してしまうが、なぜかそういうこだわりを持つ(語る)人間には変わったやつが多かった(筆者の周りにはですが)。だから興味はもつものの、ジープだけは避けて通っていた。
だが、今回は街中での試乗。「岩場がどうの、オフがどうの」といった話をしなくて済むので、少々気が楽になる。頑丈なラダーフレームに前後ともリジッドの車軸、必要最低限のボディパネルは守りながら、滑らかな6気筒エンジンを積みATと組み合わせ、パワーステアリングもエアコンも備わり、悪天候にも耐えられるから、この時代のジープは、そのまま毎日の足としても使っても何の不自由もない。
キーをひねり、4リッター直6エンジンに火を入れ、Dレンジを選んで走りだす感触は、ちょっと古い時代の乗用車のようだ。走り出すとATの変速ショックが小さく、低速トルクも豊富で、しかも6気筒エンジンは非常に滑らかで、ちょっと感動する。それでも速度を上げるとエンジンは非常にうるさく、高回転はあまり得意ではなさそうな感じがすぐに分かる。だが、実用加速が非常に得意なので、あっと言う間に交通の流れをリードしてしまう。
足回りは、旧式ではあるものの至って普通に走り出し、2.4メートルにも満たない短いホイールベースではあるものの、高速巡行での不安定さも感じなければ、段差を突破する瞬間のピッチングも最小限である。1時間ほど高速を走ったが、まったく不安を感じなかった。
面白いのは、カーブを曲がる感覚で、まるでゴーカートを運転しているかのごとく、言葉でいうと「クルっ」と回ってしまう感じ。普通の乗用車のような感覚で曲がろうとすると、ハンドルが切り足りなかったり、早めに切る過ぎると、曲がり過ぎたり、多少の慣れが必要だが、この一般感覚と違うところが、ネガではなく逆にジープに乗っている感じが実感できて面白い。で、いざとなれば戦場で鍛えられた本物のオフロードの性能をも味わえる。正直、現代の乗用車と比較すれば、それこそ良いところなど何もない! と言えるくらい旧式の部分が多い。だが、このうえなく快適で安楽で便利で簡単で重いSUVにない魅力をジープはたくさん持っている。いわゆる「原点」という魅力である。
最近では、ジープに大径ホイールを履かせ、ラグジュアリーな魅力を与えたカスタムカーも散見する。ジープの旧車っぽいデザイン的な魅力に最新の大径ホイールを履かせることで温故知新を唱っているのだ。これからは、街のファッションとして、ジープを選ぶユーザーも増えるに違いない。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
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