更新日:2011.04.12
文/編集部 写真/内藤敬仁
取材協力/FORTY EIGHT TEL 048-798-7030
初代マスタングが大ヒット、それにカマロも加わってポニーカー・ブームが巻き起こったのが60年代のアメリカ。
最初は軽いカジュアル風味が喜ばれていたが、やはり自動車超大国だけに消費者の欲求もどんどんエスカレートする。いったん上級志向に火がついてしまえば、もう誰も止められない。だからポニー(子馬)も否応なしに成長しなければならず、とうとう迎えたのが60年代末期からのマッスルカー・ブームだった。
その背景に、泥沼化したベトナム戦争の行く末を案じながら、それでもアメリカの強大さにすがり着きたい心情が横たわっており、力を誇示するクルマに安心感を見出したい世相があったことは否定できない。
そんな中で早くから高性能イメージで売ってきたクライスラーは、まずプリマス・ブランドからバラクーダを出撃させ、やがて70年代の声を聞くと同時に、真打ちとしてダッジ・チャレンジャーを世に問うた。
狙いは最強の加速王。リアタイヤから猛然と白煙をたてながらクォーターマイルを先頭で駆け抜けるクーペこそ、ファンに歓迎されるべきイメージだった。
これは真剣な話で、その数年前、クライスラーはジャガーに対し、白紙から高性能GTの開発委託を打診していたという。それがコストの問題で暗礁に乗り上げたため、バラクーダ用の通称Eボディを大改造してチャレンジャーを開発したと、デザイナーのジョン・ハーリッツは語っている。
その位置付けとしては、マスタング/カマロをライバルとするバラクーダに対し、少し上の価格帯でクーガーやシェヴェルに対抗するものだった。
同じマッスルカーでも豪華絢爛路線に走ったフォード系や、どうしてもカジュアル風味を捨てきれなかったGM系に対し、愚直なまでに真っ向から性能を謳ったクライスラーの戦略は大当たり。
今に至るも、チャレンジャーはカロリー満点だったアメ車の全盛時代を代表するクルマとして記憶されている。
ご存知アメリカでも、趣味的モデルのアメ車が人気を呼んでいる。週末ともなるとあちらこちらにV8エンジンのレトロなマッスルカーや、こちらも近年流行の復刻調ネオレトロなモデルが集合、Show-Offしあっている。レトロマッスルカーのプレミアムもうなぎ登りだ。
リーマンショック後の昨今では、さすがに鎮静化傾向にはあるものの、数年前のオークションではHEMIエンジン搭載の71年式バラクーダコンバーチブルになんと400万ドル以上の値が付いた。生産台数11台のみで、ドラマ「ナッシュ・ブリッジ」で主人公が乗っていたモデル(レプリカ)とはいえ、すさまじいヒートアップぶりだった。
本国のアメ車フリーク達は各々肝いりのモデル愛好者が集まっているが、中でもこ純正パーツの名称から「MOPAR」と総称されるクライスラー車ファンは熱く、かつ結束が非常に固いと言われている。上記の4億越えモデルも「MOPAR」の1台だ。
60年代から70年に掛けてHEMIエンジン搭載のマッスルマシンでサーキットを暴れまわったNASCARリチャード・ぺティや、ドラッグレースのチーム「ラムチャージャー」など、モータースポーツの世界にもそのアイコンは多い。
また300Cやチャージャーの登場、「HEMI」エンジンの復活でネオレトロブームの火付け役となったという要因もあるだろう。
が、ビッグ3の中ではマイノリティーであるが故に「みんなと違う」ことも大切であるらしい。
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