更新日:2017.04.24
文/椙内洋輔 写真/椙内洋輔
2006年にこの型のタホ(通称3代目)が登場した時は、まるでレンジローバーかと思うほど洗練されているスタイルだなというのが第一印象だった。それまでの丸みを帯びたスタイルから一気に生まれ変わり、見た目も性能も2段階くらい飛躍した感じである。
すべての面で大きく変化していたことに驚き、個人的には車格すら向上した感じを受けたのである。
実際、2006年に登場したタホは、その前の旧型と比べるとまるっきり別ものになった感が強い。これは米国自動車メーカーの聖域であったSUV市場に多くのライバルたちが参入してきたために開発が激しくなり、それまでのトラックシャシーを使用していたSUVの競争力に限界を感じたのかもしれない。
当時のポルシェカイエンにBMW X5etc。ライバルたちは街中や高速を猛烈なスピードで駆け抜けるSUVだった。タホが彼らとガチで戦うことはないにせよ、シャシー等の全面的な改革が必要だったことは否めない。
ということで、この型のタホのシャシーは、フロントのトーションバースプリングがコイルスプリングに変更され、前後共にコイル式サスペンションになっている。
またフロントセクションだけに使われていたハイドロフォームフレームがシャシー全体に採用されたことで、ねじれ剛性も大幅にアップしている。
ステアリングを反応の良いラックアンドピニオン方式に変更したり、ロアアームをアルミ合金にしてバネ下重量を軽減するなど、GMがシャシー性能の向上にどれだけ力を入れたかが良くわかる。今までのピックアップベースのSUVが、この型のタホから一気に乗用車へと進化したのである。
ちなみに、初代タホはオフロード4WD的なイメージが強く(K5ブレイザー時代から)、リフトアップしてワイルドに乗りこなすのが人気のスタイルだったが、モデルチェンジを繰り返すたびにマイルドな印象になったためか、カスタムの方向性も次第に変化していった。
この型の前の世代あたりから大径ホイールを履かせたタホが続々と出現しているが、この新型タホを見る限りやはりオンロード志向のカスタムが似合うだろう。
旧タホはもともと16インチタイヤを装着しているクルマだったために、大径ホイールを装着するといろいろな弊害も出てきていたが、この型のタホではエスカレードとともに22インチがオプション設定されていたので、大径でも余裕で履きこなすことができるのである。
このタホには、5.3リッターV8エンジンが搭載され、320hp/5200rpm、最大トルク47.0kg-m/4200rpmを発生させる。
この型のタホのマスクには精悍さが増し、男性的な強さを強調しているように見える。インテリアにはライバルとなる欧州SUVに匹敵する現代風のアレンジを効かせ、走りからは以前のようなトラック的な緩さや曖昧さが消えた。特にステアリングの正確さと滑らかさは特筆ものである。
ステアリングに関していえば、ギアの精密さまでもが伝わってきそうなほど洗練されている。だからといってナンパなSUV風になっていないのが嬉しい。むしろシッカリ感が増したことで、非常に骨太なアメ車的な乗り味である。
キャデラックエスカレードやユーコンデナリなどと多くのパーツを共用しているわけだから、その素地は極めて高い。ただ基本は「タホ」であるために、ラグジュアリー的な要素は控えめである。
だが、質実剛健という意味においては、旧世代と同様、かなりの耐久性が秘められている。そういう意味でもラダーフレームに大きなボディを載せ、エンジンを縦に置き、V8をドロドロいわせられる最後のタホとしてアメリカンSUV生活を送るのも悪くないと本気で思わせる1台だ。
性能的には、ポルシェカイエンやレンジローバーなどにも匹敵するクオリティレベルを持ち合わせていながらも、ライバルにはないアメリカ的なおおらかさと10年乗ってもビクともしないという耐久性がタホには付いてくる。まさに質実剛健的アメリカンSUVの代表格として、多くの方々にお勧めである。
ちなみに、2015年にタホはフルモデルチェンジを行い、現行モデルが登場しているが、価格帯が上がったことにより、日本に上陸したタマ数が非常に少ないだけに希少車だ。一方で取材した型においては、カーセンサーエッジにて調べても25台以上の個体が日本全国に存在していることから、まだまだ入手可能である(かなりイジられていたモデルが多いから個体のチェックは慎重に行いたい)。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES