2015年に登場したエスカレードは、通算4代目となるキャデラックフルサイズSUV。新世代のフレーム構造を持つ新型モデルとなり、ホイールベースは旧モデルと同様の2950ミリ。サスペンション構造もフロントが独立懸架、リアがリジッドという基本形式に大きな変更はない。
また、6.2リッターV8OHVエンジンも、旧モデルからの流用となるが、直接燃料噴射システムや気筒休止機構、可変バルブタイミング機構などが搭載され、最高出力は426hp、最大トルク63.5kg-mを発生させる。それぞれ旧モデル比で4%と10%増強されていた。
このエンジンには、デビュー当初は6速ATが組み合わされていたが、2015年後半から8速ATに進化している。が、正規輸入車は2015年以降も6速ATのままであったから、注意が必要である(最終的には10速ATにまで進化)。
で、4代目の最大のポイントがデザイン的な洗練度。インテリアも含め、キャデラックデザインの突出した迫力は圧巻である。
インテリアも、ハンドクラフトされたというだけあって、質感ともども高級車としての満足感は非常に高い。デザイン的な意匠がATSやCTS的な方向性に進んだのもこの4代目からであり、質感に関して言えば、圧巻と言って過言ではない。
こうした4代目モデルであるが、上記にプラスして格段に良くなったのが走り。特にステアリングの正確性は雲泥の差(街中を走った程度もわかる)であり、いわゆるトラックベース的な曖昧さはまったくなくなった。
くわえて、静粛性の向上。静粛性は驚くほどのレベルアップで、ロードノイズの遮音もすばらしく、一般道で勢いよくアクセルを踏みつけても、室内に侵入してくるエンジンノイズもほとんどない。以前取材した際にも某ショップスタッフが「やっと高級車としてオーディオが聞けるようになった」と言っていたが、まあそこまでは大げさにしても、たしかに圧倒的に静かになった。
この4代目エスカレードは、2014年の末から販売が開始されており、実質2015年から2020年までの6年間、キャデラックのトップモデルとして君臨していたが、2021年にフルモデルチェンジが行われ、次世代5代目モデルが登場することになっている。
さて昨年までは3代目が中古車市場のメインストリームだったが、昨年末から今年に入りこの4代目の中古車の動きが活発になってきているという。
ということで、フルサイズSUVをメインに扱うブルートにて、最新のエスカレード情報を取材した。話を聞いたのは、ブルートの岡崎氏。これまでにも各メーカーの中古車動向を取材してきたが、今回初めて4代目エスカレードについて取材してきた。狙うは、2015年と2016年といった初期型の個体である。
ちなみにブルートは、3代目エスカレードを数多く扱っており、また今も人気なハマーH2を扱っているなど、フルサイズSUVに非常に強いショップだけに、4代目の状況にも詳しい。さらにメンテナンスだけでなく、各車のウイークポイントやトラブルシューティングにも定評があるから、話を聞くにはうってつけの存在だ。
まず最初に、この4代目エスカレードの注意ポイントしては、D車と直輸入車とがかなり混在している珍しい車両ということだ。しかもそれによって、選ぶべき個体がかなり変化するということだから、注意が必要であるとも。
そのポイントがミッション。エスカレードのデビューモデルは6速AT搭載だが、本国モデルは2015年後半から8速ATに進化している。
一方で、正規輸入のD車は、2016年いっぱい6速ATのままだった。すなわち、低年式の4代目をチョイスする時点で、6速と8速の差が出てきてしまう。
「6速の完成度は非常に高いのは知っていますが、それだと3代目でもいいじゃん。どこか変わったの?ってことにもなりますよね(6速もいいんですが…)。4代目に乗るなら、8速じゃないと、という方がいてもおかしくはないと思います」と岡崎氏。
なるほど。3代目と4代目は基本、エンジン自体も同じであるから、6速の場合、熟成されたパワープラントだけに安心感は高い。が、新型に乗る醍醐味的なものがちょっと薄れる。となれば、8速となるが、そうすると直輸入車を選択するしか方法はない。
D車は、2017年から8速モデルの販売を開始しているが、その辺の中古車はまだまだ非常に高価だけに、迷う。
ちなみに、4代目エスカレードは、2018年に10速ATを搭載している。もちろん本国仕様の直輸入車は10速ATで持ち込まれているが、国内正規のD車は、8速のままであり、2019年になっても8速のままであったから、高年式の中古車を高値で購入しようとする場合も、8速か10速かで、D車と直輸入車とで迷う必要がでてくるのである。
■D車:6速:2015~2016年
■D車:8速:2017~2020年
■直輸入:6速:2015年前半
■直輸入:8速:2015年後半~2017年
■直輸入:10速:2018年~2020年
さらに、グレードが複数ある。初期で言えば、「ベース」「ラグジュアリー」「プレミアム」「プラチナム」の計4つ。それに上記のミッションの違いがあるわけだから、厳密に言えば、それこそかなりの数の中古車個体が混在しているということになり、買う側もある程度の知識を持って選ぶか、それもとも店頭に並んでいる個体を買うか、というような選択が迫られるわけである。
さらにもう一つ。これらに加え、ロングボディのESVも存在するが、ESVに関して言えば、ある程度購入者が限られるから上記ほどの心配はいらないだろう、ということである。
ここからは中古車個体として動きが活発な2015年から2016年モデルに話を絞る。まず、全体的な中古車の価格帯であるが、ここに来て600万円台の個体が登場してきているという。今回ブルートで取材した2台もその価格帯モデルだったが、コンディションは上々だった。
「やはり、D車と直輸入車とでの価格差もありますし、同じ直輸入車でも、新車並行と中古並行との違いもありますし、またグレード違いの価格差もありますから(内装カラーの人気不人気もあるという)一概には言えませんが、600万円台の中古車が出てきたことが、販売に拍車をかけていることは間違いないと思います」
この、いわゆる4代目の初期型モデルたちだが、個体差以外でのトラブルや特異な症状等はあるのだろうか?
「3代目からキャリーオーバーしているパーツが多数あるせいか、目立ったトラブル等がないのが4代目の魅力です。ミッションに関しても、6速は当然ですが、8速でも他車(カマロ、コルベット、タホ、サバーバン、シルバラード等)で数多く使われているだけあって、トラブルが起こるという話は聞きません。
ですが、この年代から使われているCUEシステムに関しては、トラブルが起こる車種があるという話は聞いています。タッチパネルが使用できなくなるトラブルですね」
ブルートでは、このCUEシステムのタッチパネルを社外品を使用して交換することが可能であり、それを使用するユーザーさんも増えているということだから素晴らしい(某ディーラーさんでは一式全交換で50万円という噂もある)。
これ以外では、さすがキャデラックと言わんばかりに頑丈なフルサイズSUVの性能を発揮してくれるということで、もう少し価格帯が落ち着けば、それこそ今後もっと多くの4代目が中古車として売れていくはずである。
「3代目にお乗りの方々も4代目への乗り換えを待ち望んでいらっしゃる方が多いと聞きます。やはりデザインの魅力でしょう。断然都会的な雰囲気がありますし、全体的に華やかですよね。たとえば、国産車ではアルファードが人気なのでしょうけど、実際に並べばエスカの圧倒的な迫力には敵いませんからね」
ブルートでも随時4代目モデルの程度良好車を探しているというから、今後も引き続き注目である。
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
6DEGREES