更新日:2012.05.31
文/石山英次 写真/ゼネラルモーターズ/フォードモーター
開放感を満喫できるのがオープンカーの特徴だが、実際にオープンカーと暮らしてみると意外なことに気がつかされる。まずは一台で二度おいしいこと。
オープンの時とクローズドの時では、違うクルマのように感じられる。もちろん人は、天候や気分によって切り替えるわけだが、オープンかクローズドかで逆に気分も変わる。そして、クルマが変化する様がそれ自体で楽しいこと。道ばたで開けたり閉めたりしていると、バスの中から子供が手を振ってくれたりすることもあるかも…。
「オープンカーはまるで生き物のよう」とは、かの有名な評論家さんのお言葉だが、環境に応じて身体を変化させ、それが心理に影響する。あるいは心理状態が変わると身体も変わる。こういう存在だからこそ、人の興味を惹き、乗る人を活き活きとさせるのだろうか。
自動車評論家の高野博善氏によると、たとえば、欧州ベースのオープンカーの場合(メルセデスやBMWなど)などは、奥様用のセカンドカー需要が圧倒的に多いという。ただ、アメ車の場合は、断然男性人気なのだそうだ。「基本形はあくまでもクーペですね。オープン買っても、実際乗り始めると9割方は屋根を閉めている状態で乗られているようです。高速で目的地付近まで飛ばし、海辺に差し掛かったらおもむろにスピードを緩めて屋根を開ける。この瞬間がたまらないと言いますね」。
余談だが高野氏は冬場にオープンにする状態が好きだという。「足元は暖房で暖かく、頭のあたりはキ〜ンと冷たい。ちょうどお腹の辺りでぬるい空気が渦巻く感覚が独特ですよね」
ちなみに、「2シーターは無理」という方も大丈夫。アメ車には、4シーターのオープンカーも豊富だから。
さて、東名高速を疾走するコルベット。スピードが上がるとさすがに風圧が強まるので、サービスエリアに入りルーフを閉める。オープンカーはクローズドボディになると、別物に生まれ変わる。いや、ドライバーの方が生まれ変わるのかもしれない。高速を降り、ワインディングへ。そして再びオープンに。
箱根のワインディングではスパルタンモードに入った。「見切りが良くて運転しやすい。ロードノイズが全く気にならない」、「ワインディングではエンジンサウンドがダイレクト」、「ハンドルが軽いし、動きも軽快」、「高速では風切り音が少し気になるが、オープンだとまったく気にならない」、「プチ人馬一体感」、「ハンドリングの感触がいい。カチッとした手ごたえ」etc。
スポーツカーベースのオープンとはいえ、常識的に考えれば、メカニカルな剛性は低下しているわけで、ハンドリングやらコーナリング性能やらは確実に劣化しているはず。だが、それをも包み込んで隠してしまうほどの魔力を、オープンスポーツカーは持っている。街を流しても楽しい、ワインディングを飛ばしても満足できる。オープンは本当に二度おいしい。
お決まりだが、西湘バイパスへ。再び屋根を開け、海に向かった。やはりオープンカーの醍醐味はこれだ。時速80キロでも十分楽しい。全身に受ける潮風がなんとも心地いい。海の匂いに顔も緩み、他のクルマに追い抜かれても気にならない。ゆったりとした気分で流したくなる。「風の巻き込みが意外に少なくていい」、「優雅な気分になる」、「風が思いっきり入ってきて爽快」。使い古された言葉だが、解放感に勝るものはない。
ここ最近のアメリカ系オープンカーは、上で紹介したスポーツ系バリエーションが数多い。一時期はPTクルーザーなどのファッション系オープンもちらほら見かけたが、現時点ではパフォーマンス系が大多数を占める。
直近の話題で言えば、フォードシェルビーGT500のコンバーチブル。なんと650馬力のオープンボディである。ボディ補強やハンドリング、ブレーキングなど、そのままサーキット走行が可能なほど強化されている。
そしてもう一台がカマロZL1のコンバーチブル。ベースとなるカマロクーぺのコンバーチブルが非常に優秀かつ魅力的だっただけに、あれをベースに最強モデルと豪語するGMの話題作が果たしてどんなものか? オープンボディにもかかわらず、超剛性を誇るボディのカマロのハイパワー版は、かなり期待できるはず! シェルビーを超える力作になるか?
新車だけにとどまらず、中古車界にもタマは豊富です。一台で二度おいしいオープンモデル。是非ご堪能ください。今の季節、かなり気持ちいいです。
12,810円
PERFORMANCE
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