名古屋駅から普通電車で2駅、距離にして約11キロ程度の位置にあるウイングオート。創業34年を超える老舗輸入車ディーラーである。
筆者のウイングオートの記憶と言えば、サリーンマスタングであり、ASDNであり、十数年前からマスタング系の様々な車両を積極的に扱っていたことを思い出す。
また、当時社長であった上窪氏(今は会長)はフォードGTに乗っており(つい最近まで所有されていたという)、とにかく昔からフォード車に関わりが強いショップという印象であった。
だからウイングオートがフォード認定サービス拠点であるというのを知った時はある種の必然、と思ったくらいである。
「2016年にフォードジャパンの撤退ニュースを聞き、我々はそれ以前からマスタングを中心にフォード車を扱っていたわけですから、『何かお手伝いできることはないだろうか』と考えました。それで名乗りを上げさせていただいたのです」と営業統括部長の中野氏。
ウイングオートは、キャデラック・シボレーの正規ディーラー(シボレー名岐)であったからディーラーネットワークビジネスを知っていたし、それ以前の自社の行動からフォード車に対する知識もある。
「実際には右から左へ、というわけにはいきませんが、それでも各フォード車に真摯に向き合うことで、また過去のバックグラウンドを生かして、迅速な整備対応やリコール対応を行ってきましたし、これからも続けて参ります」
ウイングオートのショールームと工場は100メートルくらいの距離があるのだが、そのどちらにも中野氏の言う通りフォード車に関する積極的な関わりが見て取れる。
ショールーム内には現行型マスタングの新古車があり、展示スペースには各年代の中古車がかなりの数並んでいる。またフォードフォーカスRSといったマニアックな車種が売られている等見応え十分。
一方で、各種カスタマイズパーツも展示されており、ホイール、ショック、タワーバーetcといった後付け用のアフターパーツも豊富。
また、工場では今まさにフォーカスに電子デバイスをあて整備の真っ最中というところだったが、そうした整備や故障診断、さらにはアフターパーツの装着を待つ車両でいっぱいである。
「我々の基本スタンスは『趣味のお手伝い』というものです。ですからマスタングもMT車を積極的に扱い、それをより一段と楽しく乗るためのアフターパーツのご紹介や装着も行う。当然確実な整備も行う。そうした自動車趣味を充実させるのがウイングオートの使命と考えているのです。
プラスしてマスタングを扱い、エクスプローラーを扱い、でもそれ以外のミッドサイズのSUV系が少ないなという判断から自社でレンジャーを直輸入し販売しています。今現在はコロナ禍により輸入が厳しくなっていますが、落ち着けばまた輸入を開始するつもりです。当然ですがブロンコも視野に入っております」
マスタングもそうだが、レンジャーに関しても、ウイングオートでは自社で扱うアフターパーツ等を装着して付加価値を加えることも可能である。
すなわちマスタングやレンジャー自体でも十分にレアなのだが、そこからさらにオンリーワン的な存在へと導けるのがウイングオートの強みであり、実際にその付加価値に共感するユーザーはかなり多い。マスタングのオーナーズクラブで有名なMOCJの多くの方々もウイングオートのユーザーである。
「それだけ『こだわる』ということなのでしょう。ですから、カスタマイズをしたり、カラフルなボディカラーを扱ったりして付加価値を上げることも=趣味の後押しに繋がることだと考えるのです」
さて、そんなウイングオートの強みを存分に味わっているオーナーさんがいる。スクールバスイエローのマスタングBOSS302に乗る小野拓史である。
小野さんの乗るBOSS302は2013年型。BOSS302とは、2012年と2013年の2年間限定として本国にて復刻したバリエーションモデルであり、いま現在、日本の中古車市場では滅多にお目にかかれないレア物でもある。
いわゆる旧型マスタングGTベースのメーカーチューンモデルであり、当時のGT比で446hpにパワーが上がり足回りも若干ハードになり何より6速MTモデルしかラインナップされない走り仕様であった。
しかも走らせれば、「さすがフォード」といわんばかりの濃厚なV8サウンドを響かせ、ドライバーに与えてくれる刺激度においてはダントツに素晴らしい。
そんなBOSS302に乗る小野さんは、昨年6月にウイングオートにて約6万キロ走行車を購入したという。
「その時点で『このチャンスを逃したらいつ手に入るかわからない』と思い迷わず購入しました。今、ネット検索してもBOSS302の出物はほとんどありませんから正解でしたね」
実は小野さんは、それ以前はフォーカスRSに乗っており、BOSS302の下取り車として手放したという。
というか、小野さんの車歴を聞いて驚いたが、これまでに購入された外車系はすべてMT車であり、最初のコルベットZ06(イエロー)から始まり、アバルト、BMWM3 etcもすべてMT車だそうだ。
「もともと走りが好きということで走行会に参加したりしていますが、それよりもまず自宅が山の上にあり、そこに帰るまでにワインディングロード的な道があるので、自然と楽しさを求めてしまうのかもしれません。ですが、このBOSS302は、飛ばすというよりは流すだけでも悦に浸れる、特にエンジンサウンドが素晴らしくて楽しいです」
このBOSS302を販売したウイングオートは、BOSSの登場時に多くの個体を販売した経緯を持つが、それから約9年から10年が経ち、今現在入手できる個体はほとんどない、というから小野さんが入手した個体はまさに奇跡的と言える。
「BOSSに関しては手放さない方が多いのです。そもそもBOSSに続くモデルが存在していませんから、購入された方々が次に乗り換えるべきクルマが見当たらないのです。ですから、『ずっと持っている方』が多く、市場に出回ることがほとんどありません」
ちなみに、小野さんがこれまで乗ってきた上記の購入車両はすべてウイングオートからであり、中野氏から全て購入されている。
「ウイングオートさんとの関係ももちろんですが、それよりも中野さんとの関係が一番です(笑)。彼との、様々なやり取りにおいてしっかりものを言い合いながらも付き合えていることが長く続いている秘訣かもしれません。実際、BOSS302は、中野さんからコンタクトがあり即決したくらいです」
その即決は、フォードの認定サービスディーラーであること、さらにそれ以前にフォーカスRSに乗っておりパーツや整備に関して心配することなく過ごせたこと、また過去から現在の付き合いにおいて中野氏とフレンドリーに接してこれたことetc、そうしたあらゆる要素がもたらした即決、ということだ。
プラスして小野さんのBOSS302は、ドライバーズシートのみにレカロを入れ、取材日にウイングオートが販売代理店を務めている「BCレーシング」の車高調を入れオリジナリティを高めている。まさしくウイングオートによる付加価値を体感していたのである。
「しばらく乗るつもりですので、これからは車両のリフレッシュを行っていくつもりです」
走行約6万キロ超ということで、今後のことを考えればリフレッシュは大賛成である。しかもウイングオートは認定サービス拠点であるから純正パーツの入手もピーシーアイを通じて可能であり直輸入車ベースであっても心配する必要はないのである。
ということで、愛知県、特に名古屋近隣でフォード車にお乗りの方、もしくはお困りの方、またこれからフォード車に乗ろうと考えているオーナーさん、中でもオンリーワンなフォード車に乗りたい方は、ウイングオートを知っておいて損はないと言えるだろう。
ウイングオート
■住所:愛知県清須市春日焼田67-2
■電話:052-409-5434
■営業時間:9:00~18:00
■定休日:水曜日
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
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