復活計画を施しているグランドワゴニアは、1963年に生まれた初代ワゴニアから続く一連の歴史の中の最終型。つまりワゴニアには、1963年から1991年までの約30年近い歴史があり、その中でカイザー社、AMC社、クライスラー(ジープ)社へと製造会社が変遷してきた経緯がある(だからこそ、カイザーワゴニアと名乗っているが、れっきとした祖先である)。ちなみに、今年は生誕50周年という節目の年でもあり、各地でワゴニア祭が開催されている。
このカイザーワゴニアは、かつてエイブルがフルレストアをした後にあるユーザーさんに納めた車輌である。今回、違うオーナーさんへと嫁ぐことになり、再度納車前作業が行われる合間に取材させてもらったのである。
1968年型ということで、すでに40年以上が経過しているが、ボディ等のディティールは当時の状況をかなり忠実に残したままである。ボディカラーも、リペイントされている箇所もあるが、基本的には当時のカラーを再現している。各部のモール類の輝きも今なお健在である。
一方で、メカニカル的な部分に関しては、当時のパーツを入手することが不可能なモノもあり、さらに現代の道路事情にも対応しなければないらないことを踏まえ、エンジンとミッションを1991年型のワゴニアものに換装している。また、キーシリンダーに関しても同形パーツが入手困難ということで、スターターボタン式に変更されている。その他にクーラーの形式が現代的に改められる等手が加えられているが、全体的な雰囲気は45年前のカイザーワゴニアのままである。
ちなみに、今回の納車整備に関しては、オルタネーター(あえて交換)、ウオーターポンプ(あえて交換)、点火系、ベルト類、エアクリーナー、ブレーキのライニング、ドラムも新品に交換され、キャブレターもオーバーホールされている。しかも事前にある程度の距離を走らせてトラブル出しも行っているという。
何とも言えないほど瀟酒なインテリア。ウッドで囲まれた最終型とはまた違うメカニカルな雰囲気だが、全体的にエレガントさが漂う素敵なインテリアである。これだけも所有する価値があると思わせてくれる。
基本的に当時のままの雰囲気を残しているが、バックカメラ内蔵のミニレーダーやスターターボタン等、若干現代的なアレンジを受けている。
状態の良いシートにはビニールカバーがかけられているが、これは以前のオーナーさんから引き継いでいるという。というのも、このカバーのおかげでシートのコンディションが守られ、型くずれしないからである。
ほぼオリジナル状態を保ちつつあるエクステリア。ワイルドさというよりは、ボディカラーも含めてエレガントな印象を与えてくれる。
これまで過去に1968年当時のアメ車に乗った経験といえばマスタングくらいしかないが(今思い出しても酷い経験だったなぁ〜、いまは無き某ショップの個体だったが)、このカイザーワゴニアは、そういった過去のヒストリックカーに乗った経験を一瞬にして吹き飛ばすほどシャキッとした走りだった。
なにより驚いたのが、シートに座った着座位置姿勢が1991年型のワゴニアに座った位置とほぼ同一だったこと(笑)。つまり、約30年間基本構造がほとんど変わっていないということを、カイザーに乗ることで知ることができたわけである。
言葉が出ないほど瀟酒なインテリアは、誰が見ても「往年のアメ車」と答えるほど素敵な印象だ。ウッドで囲まれた最終型とはまた違うメカニカルな雰囲気。だが、これこそ紛れもない旧車特有の味だろう。ベンチシートにコラムシフト、そしてエアコンスイッチにスピードメーターは、どれも華奢な作りではあるが、見事に動作する。
大きなステアリングは当時のものだが、これがまた秀逸で、非常に運転しやすい。ステアリング操作が格段にしやすく、きちっと感触を残しながらも驚くほど簡単にクルマが向きを変える(スカスカのクルマではまったくない)。ショックは、前回交換してから2000キロ程度しか走行していないということで、今回はそのままの状態を保っているが、しっかりダンピングの処理を行っており、調整されたブレーキと相まって45年前のクルマということをあまり気にすることなく街中を走ることが可能である。
坂道を下り、細い道に入り、その後国道246にも出てみたが、馴れてしまえばほんと鼻歌混じりにドライブすることが可能であり(何より視界良好で運転しやすい)、エンジンとミッション関連の機械的な動作にも不安はまったく感じない。
搭載されるエンジンは、1991年型に搭載されている5.9リッターV8。過去にレストアした際に現代の道路事情を考慮して、同じ血を引く最終モデルのエンジンに換装していたのである。ちなみにミッションも同様に最終モデルのものを装着している。
ステアリングコラム横に小さなタコメーターを装備。ここら辺も前オーナーさんからの仕様となっている。
左に見えるスターターボタンや追加メーター等も、オリジナルのインテリアに上手く溶け込めるよう配慮されている。
試乗後エイブルでの交換パーツを見せてもらったが、まだ使えるオルタネーターやウオーターポンプ等をあえて交換することでゼロリセットし、いきなり起こるであろうトラブルを出来うる限り回避する策を事前に施していたことも確認済みである(古いアメ車に乗るオーナーさんにとっては心強い味方だ)。
あとはオーナーさん自身に、何かトラブルが起こったときに「どう対応するか」といった事前の心構えさえあれば(万が一の時)、決して臆することなく乗れるはずである。聞けば、新しいオーナーさんは1968年型のダッジチャージャーも所有しているということで、ちょっとしたことには動じない、旧車好きの熱いハートをお持ちのご様子という。
ジープ系の血を引く旧車と聞けばワイルドな面持ちを想像するかもしれないがさにあらず。抑揚のついたフロントフード、華奢なピラーにコンパクトなグラスエリア、そしてホワイトリボンのタイヤ…etc、それらすべてが一体となって表現する姿はクラシカルかつエレガントな佇まい。これこそが、誰もが憧れるオールドアメリカンの姿であろう。そんなアメ車に毎日乗れる楽しさをこれからも存分に味わって欲しいと思う。
ちなみに余談ですが、オーナーさんは納車後すぐに120キロドライブを敢行したそうです。お声をお聞きください。
>> オーナーさんの声です
納車整備に関しては、オルタネーター、ウオーターポンプ、点火系、ベルト類、エアクリーナー、ブレーキのライニング、ドラムも新品に交換され、キャブレターもオーバーホールされている。しかも事前にある程度の距離を走らせてトラブル出しも行っている
旧車の不安要素の一部となるブレーキであるが、調整後に試乗したのだが、まったく普通に乗れてしまうから逆に驚いた。
1991年型の最終エンジンに換装されているとはいえ、キャブレターエンジンのため、キッチリオーバーホールされ調整されていた。エンジン始動時にちょっとしたクセが必要となるが、それもまた旧車の醍醐味の一つである。
最初はおっかなびっくりの運転だったが、慣れてくればまったく普通にドライブできるから楽しい。旧車乗りには事前の心構えとシッカリ対応してくれるクルマ屋がさんが必要であるが、両者があればそれこそ楽しい旧車ライフが味わえる。
戦後、ジープCJシリーズのヒットから、そのホイールベースを伸ばし、リアに居住空間をもたらしたステーションワゴン版を作った。それがジープウイリスステーションワゴンである。つまり、ワゴニアの起源となるモデルである。
その後、このステーションワゴンをベースによりワゴンライクなワゴニアが作られる。デビューは1963年。当時のミリタリーテイストの強いジープとは一線を画したモダンなデザインでデビューしたワゴニアは、快適な乗り味とともに、一気にブレイクする。つまりワゴニアの開発とは、いわゆるジープのラグジュアリー化によってもたらさせれたものだった。
だからこそ、その作りにもコダワリが貫かれている。当時主流だった2ドアベースの派生モデル(荷台にキャノピーを装着した)としてではなく、最初から4ドアベースのステーションワゴンとしてデザインされている。Dピラーを見ればわかるが、まさにワゴンである。
ワゴニアの愛すべきスタイルとは、「ステーションワゴン+4WD」というそれまでにないジープの新しいコンセプトであり、それによって生まれたエレガントなスタイルは、まさに奇跡の産物だったと言っていい(このコンセプトは、1991年まで続くことになる)。
ここで紹介しているカイザーワゴニアは、その1968年モデルとなるのである。
「古いアメ車はなんてオシャレだったのだろう」。そんな言葉が出てくるほど、今見ても洗練されているデザインだと思う。
CJジープとは戦後民間用に作られた最初のジープであり、CJとは、シビリアンジープの略である。ちなみに86年に角目のYJにモデルチェンジしている。
CJジープのホイールベースを伸ばし、リアに居住空間をもたらしたステーションワゴン版を作った。これがワゴニアの起源となる。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES