取材車両は1991年型。すなわちワゴニアの最終型となる。この車両は、エイブルの展示在庫であり機関系の整備と足回りのリフレッシュを行い現在に至る。
だからパッと見「ボロッ」っと思うかもしれないが、だが実は、見る人見ればわかる仕様。そう、これ91年からのオリジナル状態のままなのだ。
だからボディのウッディ部分に入るヤレはいじっていない証拠でもあり、それを「ボロい」と取るか「味」と取るかは人それぞれ。
ライトなグレー、もしくはシルバーにも見える珍しいボディカラーもオリジナル。各部を見てもサビの部分が非常に少なく、ウッディパネルの取り付けにも歪みがなく、そういう意味でのコンディションは非常に良い。
なお、ウッディパネルに関して言えば、社外品の張り替えパーツが存在しているから新しくすることは可能。
だがこの張り替え、ドアの下地の板金塗装をしっかりやらないと張り替え後に下地がペコペコ浮いてくるから気をつけたい。浮いてくると、そのままウッディパネルが破れる場合もある。
ここだけの話、「レストア済み約500万円」で販売されているワゴニアでもその症状が現れている車両があるくらいだから気をつけたい。
ちなみに、取材車両を扱うエイブルではこういうクルマたちを単に「古い」といって残骸にしてしまうのではなく、リニューアルやリフレッシュさせて新たに命を吹き込む作業を適価にて行っている。
もちろん、適価であるからすべて完璧という状態ではないのだが、機関重視というショップのコンセプト通り普通に走ってくれる状態が維持されるし、取材したワゴニアもまさにそのコンセプト通りの車両である。
要するに、クルマとして重要なことは「まずはしっかり走ること」。外装や内装に関しては、走りながら気になる部分をゆっくり再構築及びリフレッシュさせればいいという判断である。
ということで、早速試乗。「基本的な部分は仕上げてあるから普通に乗れるよ」の言葉通り、エンジン始動からして違う。まるで現代のインジェクション車のように軽く一発始動。
シート合わせ、ギアを入れ、走り出すも全く違和感なく走れる。ブレーキに関しては若干固い感じがするも、90年代のアストロくらいのレベルであるから、ちょっと古いアメ車を知っていれば全くの許容範囲。
搭載されるエンジンは5.9リッターV8。キャブレター仕様で144hp、最大トルク36.7kg-mを発生させる。組み合わされるミッションは3速ATとなり、サスペンションはフロントリア共にリーフリジッド。
この取材車は、すでに足回りのリンケージ系のリフレッシュが行われているから、ステアリングの反応が非常によく、狭い道での切り返しや交差点での右左折が非常に楽。
しかもワゴニアは元はSUVではなくワゴンボディの乗用車をリフトアップしたようなボディ形態であるから視界もいい。プラスしてボディもミッドサイズだから、現代の交通事情に際しても大きさで困ることは全くない。
それでいてボディは、スクエアなデザインにウッドパネルとメッキグリル、それに細いピラーやホワイトリボンタイヤと、われわれが思い描くノスタルジックなアメリカを象徴しているかのようなデザインや装備なのだから未だファンが多い。
というかワゴニア、かなり古い旧車のような佇まいだが、実際にはジャスト20年前の車両である(笑)だから普通に考えても「このくらい走れて当然である」とも言えるのだ。
一般道から国道246を含め小一時間乗っていたが、とにかくキャデブレターのV8エンジンは素晴らしい。決してパワフルではないが、低回転から力を発揮するV8パワーとサウンド、そしてそれらを含めた全体の味わいは、現代の最新V8をもってしても太刀打ちできない代物。
ワゴニアは、何度もいうが、デザインを含めたすべての味わいが素晴らしい。特にこの車両はオリジナルの風合いが残されている部分がよく、なんとなくだが「良い歳の取り方」みたいなヤレに個人的には感じられたから、それでいて全く普通に走れたから、「ヤレ」が「味」に感じられたのだと思う。
最後に。このワゴニアは販売車両であるから、最終的には「エイブル仕上げ」にて納車されるという。その仕上げだが、例えば機関系ではタイミングチェーンやウォーターポンプ交換、点火系パーツ交換、ブレーキパーツ一新、マフラーのパイプ新品、ホワイトリボンタイヤ新品等を含めた最終整備が行われる。
これは現段階でダメということではなく(実際に筆者が乗り回したし)、あえて予防的効果をもって事前に交換作業を行い納車するという意味。
それすなわち、数多くのワゴニアを扱っている専門ショップだからこそ、ワゴニアの整備における注意ポイントを把握しているから、その部分に事前に手を入れて気兼ねなく走れるようにして納車するという意味である。
ということで、ワゴニアに興味があるなら、ピカピカに飾られたレストア風なワゴニアもいいが、ヤレはあるが重点整備でしっかり走れるようになっているワゴニアにも注目すべきであり、一度実車を見てみると良いだろう。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES