TEST RIDE

[試乗記]

ヤレはあるが重点整備でかなりシッカリ走る

1991 ジープ グランドワゴニア

オリジナルの風合いがたまらなく魅力的

オリジナル状態を維持する91年型ワゴニア ファイナルエディションに試乗した。

更新日:2021.09.22

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 044-857-1836 [ホームページ] [詳細情報]

91年型ファイナルエディション

 取材車両は1991年型。すなわちワゴニアの最終型となる。この車両は、エイブルの展示在庫であり機関系の整備と足回りのリフレッシュを行い現在に至る。

 だからパッと見「ボロッ」っと思うかもしれないが、だが実は、見る人見ればわかる仕様。そう、これ91年からのオリジナル状態のままなのだ。

 だからボディのウッディ部分に入るヤレはいじっていない証拠でもあり、それを「ボロい」と取るか「味」と取るかは人それぞれ。

 ライトなグレー、もしくはシルバーにも見える珍しいボディカラーもオリジナル。各部を見てもサビの部分が非常に少なく、ウッディパネルの取り付けにも歪みがなく、そういう意味でのコンディションは非常に良い。

 なお、ウッディパネルに関して言えば、社外品の張り替えパーツが存在しているから新しくすることは可能。

ワゴニアのスタイルは、「ステーションワゴン+4WD」という当時それまでにないジープの新しいコンセプトによって生まれたエレガントなスタイル。

ジープベースでありながらも、高級ワゴンのようなスタイル。こんなコンセプトの車両はもう二度と生まれない。

「ヤレ」と取るか「味」と取るか

 だがこの張り替え、ドアの下地の板金塗装をしっかりやらないと張り替え後に下地がペコペコ浮いてくるから気をつけたい。浮いてくると、そのままウッディパネルが破れる場合もある。

 ここだけの話、「レストア済み約500万円」で販売されているワゴニアでもその症状が現れている車両があるくらいだから気をつけたい。

 ちなみに、取材車両を扱うエイブルではこういうクルマたちを単に「古い」といって残骸にしてしまうのではなく、リニューアルやリフレッシュさせて新たに命を吹き込む作業を適価にて行っている。

 もちろん、適価であるからすべて完璧という状態ではないのだが、機関重視というショップのコンセプト通り普通に走ってくれる状態が維持されるし、取材したワゴニアもまさにそのコンセプト通りの車両である。

 要するに、クルマとして重要なことは「まずはしっかり走ること」。外装や内装に関しては、走りながら気になる部分をゆっくり再構築及びリフレッシュさせればいいという判断である。

ボディ全面に貼り付けられたウッドパネルはかつては高級車の証だった。この車両のウッドパネルは当時からのオリジナル品。ヤレはあるがパネル全体のコンディションは実は非常に良い。

ヤレたからといって安易にパネルを張り替えると、時間が経過するごとにパネルが浮いたり、パネル内のウッド部分が浮いたり凹んだり破れたりすることがある。

パネル自体がヨレたりしている車両が多くあるが、この個体はパネルのウッド面にヤレがあるが、パネル自体はボディにシッカリ密着されている。まさしくオリジナルだからこその状態。

現状でも街中を十分に楽しく走ることが可能である。しかも足回りがリフレッシュされているから余計に面白い。

まるでインジェクション車のように一発始動

 ということで、早速試乗。「基本的な部分は仕上げてあるから普通に乗れるよ」の言葉通り、エンジン始動からして違う。まるで現代のインジェクション車のように軽く一発始動。

 シート合わせ、ギアを入れ、走り出すも全く違和感なく走れる。ブレーキに関しては若干固い感じがするも、90年代のアストロくらいのレベルであるから、ちょっと古いアメ車を知っていれば全くの許容範囲。

 搭載されるエンジンは5.9リッターV8。キャブレター仕様で144hp、最大トルク36.7kg-mを発生させる。組み合わされるミッションは3速ATとなり、サスペンションはフロントリア共にリーフリジッド。

 この取材車は、すでに足回りのリンケージ系のリフレッシュが行われているから、ステアリングの反応が非常によく、狭い道での切り返しや交差点での右左折が非常に楽。

現段階で普通に走れるくらいの重点整備が行なわれている。だが、納車時には、エイブル仕上げと称して予防整備までを含めた新たな整備が行われる予定である。

各所にあしらわれたウッドパネルが高級路線のモデルであったことを示す。全体的に使用感はあるものの、91年型の中古車としては想像以上にレベルは高い。

ステアリングポストに設置されたシフトインジケーターなど、特異なデザインもワゴニアの魅力となっている。

決してパワフルではないが、低回転から力を発揮するV8パワーとサウンドが気持ちいい。しかも大きさ的にも困らないから街中でも十分に使える。

ノスタルジックなアメリカを象徴

 しかもワゴニアは元はSUVではなくワゴンボディの乗用車をリフトアップしたようなボディ形態であるから視界もいい。プラスしてボディもミッドサイズだから、現代の交通事情に際しても大きさで困ることは全くない。

 それでいてボディは、スクエアなデザインにウッドパネルとメッキグリル、それに細いピラーやホワイトリボンタイヤと、われわれが思い描くノスタルジックなアメリカを象徴しているかのようなデザインや装備なのだから未だファンが多い。

 というかワゴニア、かなり古い旧車のような佇まいだが、実際にはジャスト20年前の車両である(笑)だから普通に考えても「このくらい走れて当然である」とも言えるのだ。

 一般道から国道246を含め小一時間乗っていたが、とにかくキャデブレターのV8エンジンは素晴らしい。決してパワフルではないが、低回転から力を発揮するV8パワーとサウンド、そしてそれらを含めた全体の味わいは、現代の最新V8をもってしても太刀打ちできない代物。

高級感と優雅さが絶妙にマッチしたワゴニアのスタイルには独特の雰囲気がある。さらに純正のスタイルが素晴らしい。

レザー貼りのシート。その座り心地はソファーのような、いかにもひと昔前のアメ車らしくフワフワとしたもの。状態もまずまずだから張り替えせずにこの状態を維持したい。

今の時代の車両ではほとんど見られないリアドアのウインドーの上下動。フロントインドーの三角窓といい、旧車ならではの魅力的なポイント

現代の交通事情にも適応する性能が維持されているから、旧車とはいえ比較的安心して乗れるはずである。

予防的処置を加えた「エイブル仕上げ」

 ワゴニアは、何度もいうが、デザインを含めたすべての味わいが素晴らしい。特にこの車両はオリジナルの風合いが残されている部分がよく、なんとなくだが「良い歳の取り方」みたいなヤレに個人的には感じられたから、それでいて全く普通に走れたから、「ヤレ」が「味」に感じられたのだと思う。

 最後に。このワゴニアは販売車両であるから、最終的には「エイブル仕上げ」にて納車されるという。その仕上げだが、例えば機関系ではタイミングチェーンやウォーターポンプ交換、点火系パーツ交換、ブレーキパーツ一新、マフラーのパイプ新品、ホワイトリボンタイヤ新品等を含めた最終整備が行われる。

 これは現段階でダメということではなく(実際に筆者が乗り回したし)、あえて予防的効果をもって事前に交換作業を行い納車するという意味。

 それすなわち、数多くのワゴニアを扱っている専門ショップだからこそ、ワゴニアの整備における注意ポイントを把握しているから、その部分に事前に手を入れて気兼ねなく走れるようにして納車するという意味である。

 ということで、ワゴニアに興味があるなら、ピカピカに飾られたレストア風なワゴニアもいいが、ヤレはあるが重点整備でしっかり走れるようになっているワゴニアにも注目すべきであり、一度実車を見てみると良いだろう。

各部に使われる鉄の感触が素敵。

ファイナルエディションのプレート付き。

リアシートの状態はかなりのもの。

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