TEST RIDE

[試乗記]

ジープブランドの最高級フルサイズSUV

2022 グランドワゴニア

エスカレード&ナビゲーターを凌ぐアメリカンラグジュアリー

ワゴニアの復活情報から1年。ついに最新のグランドワゴニアがスペースYOKOHAMAに入荷。早速取材した。

更新日:2022.06.01

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/スペース YOKOHAMA TEL 0455300139 [ホームページ] [詳細情報]

ジープならではの走破性を備えたラグジュアリーフルサイズSUV

 これまでにワゴニア関連の何百通りものメーカー公式フォトを見てきたが、実物を見て驚いた。「全然違うわ!」

 「アメリカンラグジュアリーの再構築」とジープは謳っていたものの、正直、これまでのジープブランドの車両を全て見てきた者からすれば、「想定の範囲内のレベルで収まるだろう」と勝手に予測していたから、「マジ凄げー」と思った時点で言葉が全く出なかった。感動的だった。まさしく百聞は一見に如かず。

 グランドワゴニア、素晴らしいほどのオーラと高級感を備え、キャデラックエスカレードすら超えているのではないかと思わずにはいられない。

 デビュー当初は、「ワゴニア」と聞いて旧時代のワゴニアを想像していたし、「往年のワゴニアが復刻するのではないか」と再び復刻モデルの登場に心躍らせたものだが、実際には否。

 デビューしたワゴニア&グランドワゴニアは、最高級のフルサイズSUVではあるが、過去のデザインの復刻には及ばず、全く新しい存在としてデビュー。新時代のアメリカンフルサイズラグジュアリーSUVとして、予想を遥かに超える質感を味わわせてくれる。

 ちなみに、ワゴニアとグランドワゴニアが復活しているが、まずワゴニアがあり、その上級モデルがグランドワゴニアという立ち位置。

 ともにボディサイズは同一で、全長×全幅×全高=5453×2124×1921ミリ、ホイールベースが3124ミリで、最低地上高は211ミリ以上を確保しているというサイズ感。いわゆるジープブランド発のフルサイズSUVである。

▲ジープブランドの最高級SUVとして登場したワゴニア&グランドワゴニア。取材車はグランドワゴニアでその「SERIES Ⅲ」という最上級グレード。ナイトビジョンも装備される。

▲ジープブランドならではのデザインにボディ各部がクロームパーツで縁取られ、それがまた非常に良い雰囲気をもたらしている。

ワゴニアとグランドワゴニアで搭載エンジンが異なる

 で、そんなワゴニアとグランドワゴニアの最大の違いは搭載エンジン。

 ワゴニアには392hp、最大トルク404lb-ftを発生させる5.7リッターV型8気筒HEMIエンジンに48Vシステムを組み合わせる「eトルクハイブリッド」が搭載され、グランドワゴニアには471hp、最大トルク455lb-ftを発生させる6.4リッターV8エンジン。トランスミッションはいずれも8速ATが採用される。

 よって、現状の法規ではハイブリッドエンンジを日本にて登録することが不可能だから、日本で乗るには自動的にグランドワゴニア一択という選択肢になる。なお、グランドワゴニアの中に「SERIES I」、「SERIES Ⅱ」、「OBSIDIAN」、「SERIES Ⅲ」と四つのグレードが存在する。

 一目見てジープブランドと認識できるフロントマスクに高張力鋼を用いたラダーフレームボディであるが、ボディ剛性を高め、ハンドリングや質の高いライドフィールが得られるグランドワゴニア。

 アメリカンラグジュアリーの再構築として生まれているが、ジープブランドとしての悪路走破性も見逃せない。フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式の4輪独立式サスペンションには車高調整機能付きのエアスプリング仕様も設定される。

 ジープの得意とするオフロード性能では、4×4システムに「クアドラトラックⅠ/Ⅱ」と「クアドラドライブⅡ」、電子制御式リミテッドスリップデフを採用して高次元の悪路走破性が与えられている。

▲搭載されるエンジンは、6.4リッターV8で471hp、最大トルク455lb-ftを発生させる。

▲エンジンルーム内に貼られるプレートにアメリカを感じる。

▲ジープブランドならではのフロントマスクもフルサイズになると、また違ったオーラを発している。

インテリアの素材感&質感は最高級

 キャビンは、2-3-3名レイアウトの8人乗りが標準仕様で、2列目が左右に独立した2-2-3名の7人乗りがオプション。平たい長いルーフラインなどにより3列目の頭上空間&足元スペースはクラス最高水準にあるという。

 そして最大の肝となるインテリアは既存のSUVではこれまた最高レベル。ステアリング、インパネ、センターコンソール、そしてドア、ドアノブ、シート、ルーフetc、それぞれに使用されているマテリアルの質感とフィールが最高に心地よい。

 ちなみに取材車は、最高グレードの「SERIES Ⅲ」であり、その専用インテリアの「Tupelo/Black」という内装色がチョイスされているのだが、それがまた実に素晴らしい。

 ダイヤモンドブラックのボディカラーとタンカラーの組み合わせのセンスが、まるでフェラーリのような質感をもたらしているのだ(ステランティスの中にジープがありフィアットもあり、フェラーリはそのフィアットグループの一員だから当たらずも遠からずといったところか)。

 こうした高級感というかセンスは近年稀に見る完成度を見せており、ここ最近露出が増えてきたEV車では決して味わえない、内燃機関搭載のアメリカ車ならではの高級感及び質感の最高峰と言えるだろう。

 また眼前に広がるメーターディスプレイには12インチ、センターコンソールには10インチ、さらに後席にも複数のディスプレイが設置され、合計で70インチ以上のデジタル画面で覆われている。ちなみにオーディオはマッキントッシュ製で出力950W/19スピーカーと1375W/23スピーカーのシステムが用意されているという。

▲インテリアのデザイン云々というよりは、各部に使用されている素材の質感が非常に素晴らしく、所有する満足感を高めてくれる。

▲インパネの水平ラインには明るいカラーのウッドが使われており、その質感&デザイン共に高級車に相応しい。

▲組み合わされる8速ATはダイヤル式であり、その左右には足回りのモード(左)、エアサスの車高調整(右)を行うレバーが備わっている。

▲様々な情報が集約された各種メーター類はグランドワゴニアの質感によく似合う。

日本国内では扱えるショップが限られる

 さて、スペースYOKOHAMAに入荷したグランドワゴニアは2022年型の「SERIES Ⅲ」。ボディカラーは「DiamondBlackCrystalPearl」で内装色が「Tupelo/Black」という「SERIES Ⅲ」専用の内装色。

 見た目から違和感を感じさせるほどデカイ(ジープブランドとしては)フルサイズボディには、各部にクロームパーツが縁取られそれが非常にクラシカルな雰囲気を醸し出している。また各種バッジ類のセンスも良く、ブラックのボディカラーとのマッチングも非常に良い。

 搭載されるエンジンは、6.4リッターV8であり471hpを発生させるから、例えば6.2リッターV8エンジンを搭載するエスカレードよりも、また3.5リッターV6ツインターボを搭載するリンカーンナビゲーターといったライバル車たちよりもパワフルである。

 プラスしてライバルたちを上回るほどの高級感を備え、ジープブランドらしい悪路走破性をも兼ね備えているということだから、新たなる陸の王者に君臨する可能性は非常に高い。

 というか、エスカレード、ナビゲーターに本格的に迫る、いや人によっては確実に超えていると評価するであろうフルサイズラグジュアリーSUVの誕生である。

 なお、こうした新型車を扱うには最新の電子デバイス(MDP)が必要になり、それらを導入し使いこなせなければ車両を日本仕様に改善することすら不可能になる。

 すなわちグランドワゴニアを扱うことができないということだ。今現在日本で所有されているショップは日本全国で5軒程度。

 当然スペースYOKOHAMAにはそれらが導入されており、実際の作業にも使用されているからグランドワゴニアへの作業も可能になり、納車前には各種項目がチェックされ最新の状態で乗れることになる。

 ということで、グランドワゴニア自体が非常にレアな存在であり、日本で乗るには、スペースYOKOHAMAのような技術力&整備力を伴ったショップでしか扱えないという前提があるということを忘れてはならない。

▲「SERIES Ⅲ」専用の内装色「Tupelo/Black」を含めシートの出来も最高レベル。24wayのパワーシートはヘッドレストまでフルオート調整。

▲2列目シートはキャプテンタイプの7人乗車。眼前には10インチ以上のスクリーンが装備され、センターコンソールには空調等をコントロールするためのディスプレイも装備される。

▲平たいルーフ形状により3列目シートの頭上スペースや足元スペースが広大。よって大人がある程度余裕を持って座れる3列目シートとなっている。

▲広大なスペースの開閉を可能にするサンルーフを装備。

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