1993年車だから27年前の車両。しかも10万キロオーバーともなれば、さぞボロいだろうという想像が付く。が、実際に乗ってみるとかなりシャキっとしていることが分かるし、しっかりメンテナンスしてきたのだろうという実感が伝わってくる。
聞けば、これまでにミッションをオーバーホールし、その時点でエンジンを降ろしガスケット類を交換、さらに足回りパーツやタイヤ等の消耗品を適宜チェック&交換してきたという。当然定期点検や油脂類の交換も行ってきた。
今回、エアコンコンプレッサーが寿命を迎えたらしく、その整備を済ませたということだが、要するに27年前の車両であれば当然起こりうると想定されるメンテナンスのみで生きながらえてきた車両ということである。
だが、今乗ってもアメリカンフルサイズセダンの魅力を存分に味わえる1台だった。
「こういった何気ないセダンを普通に乗るってカッコイイ。それにミッション以外はほぼ定期点検の延長のみで維持してきた車両です。大切に乗れば、こうやって長く乗れるのがアメ車の魅力の一つです」と高橋氏。
取材当日のレーストラックの工場内には、90年代のタホやC4コルベットが車検整備や定期点検を受けていたが、まさしくそういった年代のアメ車たちがゴロゴロいた。言い換えれば、そうしたちょっと古いアメ車が集まる工場=適切な整備が行われているからこその人気ぶり、ということだ。
さて、取材したビュイックパークアビューだが、モデルとしては1990年から1996年までの型。1997年からは再びモデルチェンジした新型が登場しているが、当時からこの96までの型の人気が非常に高かった。
全長5メーター全幅2メーター近い(1925ミリ)フルサイズセダンであり、それ以前の角張ったデザインから若干丸みを帯びたスタイルに品格を備えたデザインが人気。今見ても優雅さが伝わってくる。
搭載エンジンは3.8リッターV6で170psを発生させる「ベース」と3.8リッターV6スーパーチャージャーで225psを発生させる「ウルトラ」の2グレードが存在。組み合わされるミッションはコラムの4速ATである。なお取材車はベースモデルであったが、パワー不足は感じさせず、普通に乗る分にはまったく影響を感じさせなかった。
ということで、かなり久々のフルサイズセダンの試乗だったが、こういった整備の行き届いた車両は今なを現役で足として使えるということを実感した次第。
1台のアメ車に長く乗るには、こうした適切なメンテナンスが必要であるが、実践すればちゃんと応えてくれるのがアメ車である。一方で時に飽きが来たら、カスタマイズパーツでイメージチェンジできるのもアメ車である。
そうして長く乗ってきたアメ車は、ある一定の時期を過ぎるとまた別の輝きを放ちワン&オンリーな魅力を与えてくれるのである。
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