例えば国産車であれば、付属のマニュアルにある程度の指定が書いてあり、それに従う整備をすることでトラブルを回避することが可能になるだろう。
一方、アメ車の場合にも純正の整備書的な付属マニュアルがあるのだが、基本英語であり、もしくはそれが付属してなかったりして、メーカー純正の指定値というものがわからなくなっている場合が多い。
それはショップの方々に聞いても同様で、しっかりと純正マニュアルに沿った整備をしているところもあれば、逆に自動車整備士的な勘を頼りにしたある種アバウトな整備をしている方も実際にいたりして。
後者の自動車整備士的な勘に頼った整備では、「それはアメリカの道を走るためのマニュアルだから。日本を走る場合は、またちょっと違うのだよ」と付け加える場合が多いのだが、そう言われてしまえば「確かにそうかな」とも思わなくはない。
だが。個人的にはその自動車メーカーが推奨するマニュアル通りの整備の方が良いに決まっていると思っているし、一つの目安として理にかなっていると考えている。
でないと、何もかもがあやふやになってしまうから。
くわえて昔からいろいろ取材しているが、例えば何かをする場合にはメーカーが指定する「規定値」というものが存在するし、それを遵守しているショップが今もなお生き残っているわけだから、恐らくそれがベストなのだろうと考える。
ちなみにシボレーやジープといった正規輸入車だって、基本アメリカの付属マニュアルを日本語訳しているわけだから、それに従うのがベストだろう。
で、BCDにおいては当然そのメーカー推奨の純正品や規定値を遵守しており、常にベストな状態が維持されるようアドバイスしてくれる。
ダッジ系に関して言えば、テックオーソリティと呼ばれる技術整備書を閲覧するためのメーカー有料サイトがあるのだが、それを契約すれば上記した純正の整備マニュアルが閲覧でき、規定値関連の情報が手に入る(ちなみに全て英語表記であるから、メーカーの指示に基づいた整備をするには、当然英語の読解力が必要になる)。
もちろんBCDも契約しており、ワイテック2.0を含め、そうした電子デバイス関連の作業も行なっているし、そうした純正仕様を維持することで、販売した多くのチャレンジャーの均一を図っているのである。
ということで、オーナー取材した白土さんのチャレンジャーのオイル交換も同時に取材させていただいた。作業開始。
まず使用オイルはMOPAR純正のオイル。粘度指数は0w−40。オイルキャップに指定されている粘度指数を遵守。
そして車両をリフトに載せリフトを上げる。リフトを上げれば車両の下回りがはっきり確認できる。その作業を見ていたオーナーの白土さんも「初めてなので見たい」と愛車の下回りを確認。
さすがBCD車両。下回りを見たが、まるで何もない。もちろん走行による汚れはあるが、キズや下回りを打ったような跡や凹みも皆無。ちなみに、そうしたチェックはすでにアメリカ本国にあるBCDカリフォルニア支社で行われており、言ってみればこうした良好な車両しか入庫していないのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
オイル交換に戻ると、まずはアンダーカバーを外す。この車両、納車時に一度オイル交換を済ませており、その時点でフィルター交換もしているから、今回の交換ではオイルのみの交換となる。
エンジンオイルパンの下に使用済みオイルを入れる廃油処理のボトルを設置し、準備が整ったところでオイルパンからドレンボルトを外す。そしてオイルが抜けきるまで待つ。
その間に抜け落ちた廃油の状態を確認。思ったほど汚れているわけではないが、間違いなく汚れてはいる。
オイルが抜けたことを確認し、ドレンパッキンを新しくし、ドレンボルトを締める。トルクレンチソケットで規定値を維持する。緩すぎず締めすぎずの状態を確認。
締め終わったらドレン周りをクリーニング。その後外したアンダーカバーを取り付け、一旦リフトを下げる。
そして新しく注入する純正オイルを準備。基本、フィルター込みで6.6リッターのオイルが必要となるが、今回はフィルターを交換しないので若干少なく6リッター超のオイルを用意。そして注入する。
オイル量はもちろん規定値の範囲内。微調整を何度かしつつ適量になるまで繰り返す。そしてオイルキャップを締め基本部分は終了となる。
ここまで終えたら、一度エンジンを始動しオイルを循環させる。そしてオイル量を再度チェック。再度規定値の範囲内であることを確認し、再びリフトを上げる。
オイル漏れが起きていないかの確認である。チェックを終え、再度リフトを下げる。ここでエンジンを止め、オイル量の最終チェックを行う。問題なければ交換自体はここで終了。
で、チャレンジャーの場合ここからさらにもう一仕事。車内のメーター内に現れる「Oil life」のゲージを100%に戻し、オイル交換したことを入力してやる必要がある。
この「Oil life」は、車両側がオイルの寿命を距離数、時間、走行環境等で計測しており、走ることでオイルの性能が減り、オイルの寿命が近づいていることを知らせる警告等が点灯するようになっている。
なので、オイル交換をした場合、この「Oil life」のゲージを100%に戻してやらないといけない。
でないと、オイル交換をしているにもかかわらず、その後も距離を重ねれば警告等がいずれ点灯してしまい、ユーザーからしてみれば「オイル交換したのに警告等が!」=「車両が壊れている」と勘違いするオーナーさんもいるので要注意。
ということで、「Oil life」を100%に戻し、全作業終了となった。
日本で最大規模の販売数を誇るBCD。関東圏で言えば今回のつくばショールームを含め6店舗あり、それぞれに工場が併設されている。
そしてこうした作業は全て統一のマニュアルに沿って行なわれているから「どこの店舗で購入しても同じレベルの整備が受けられる(例えば横浜店でも埼玉店でも宇都宮店でもつくばでも)」と同時に、日本にてイコールコンディションの整備を受けることで、常に一定レベルが保たれたチャレンジャーに乗れているということである。
BCD車両は、入荷した時点で厳選されたコンディション優良車であるが、各車それぞれ遡れば本国での走行距離もオーナーも走った場所も当然違う。
だが少なくとも日本に入荷して以降、そして納車されて以降は、同内容かつ同レベルの整備を日本で受けているわけだから、整備レベルは各車イコールの状態がキープされている=BCDが純正マニュアルに沿った本国ディーラーのような整備体制を敷いている理由はそこにある。
それでも機械であるから「常に100%壊れない」と言い切れないのが自動車整備の難しいところだが、少なくともそういう状態を目指そうするBCDのポリシーはしっかりと確認することができるだろう。
よって整備における基本中の基本であるオイル交換ですら、こうしたマニュアル遵守で進められていることを多くの方に知ってもらたいと思ったのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES