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[試乗記]

5.2リッターV8スーパーチャージャー搭載は終了間近

2024 フォード F150 ラプター

450hpのV6ツインターボは継続か

一時代を築いたスーパートラック・フォードラプターの終焉が近づいている。

更新日:2024.09.04

文/石山英次 写真/フォードモーター

2017年モデルからV6ツインターボエンジンに変更

 フォードF-150ラプターは、オフロード走破性能に特化したF-150のスペシャルモデルとして2010年にデビュー。

 初代モデルはV8エンジン搭載だったが、2017年にデビューした二代目モデルでは、排気量を落としV6ツインターボエンジンとし、さらにボディの軽量化を施すことで、パフォーマンスを最大限アップさせた。

 それに当時新開発だった10速ATを組み合わせ、オンデマンド式の4WD制御にアップグレードされたFOXレーシング製ショック等、贅沢な装備を満載し、オンオフ問わず最高レベルの走りを提供したのである。

 懸案事項だった搭載エンジンは、3.5リッターV6ツインターボ。V8ではなくなったが450hpを発生させ、パフォーマンス的には初代を圧倒的に上回った。ちなみにこのエンジンはかのスーパーカー、フォードGT直系のエンジンである。

↑第二世代モデルがサーキット走行している動画です。

 このラプターの初代モデルがデビューしたのが2010年。そして2020年までの10年間はラプターの独壇場だった(ライバルを開発するのに10年かかったということ)。

 だが、2021年ついに「打倒ラプター」を名乗るマシンが登場する。それがラム1500TRX。

 このラム1500TRXは、ヘルキャットエンジンである6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載し702hpを発生させる。

 もちろん、エンジンだけでなくフレーム&サスペンションも新開発されエンジンパワーに見合うだけの進化がもたらされており、普通に考えれば、V6ツインターボの450hpとV8スーパーチャージャーの702hpとではどれだけ差がつくのか? 

 少なくとも「ラムの圧勝では」という雰囲気が一気に充満していった(ここら辺はシェルビーGT500とチャレンジャーヘルキャットの争いにも似ている)。

▲ラプターといえばコレ。必ず飛んでいるシーンを目撃する。

▲外観上のポイントの一つがパワードーム。

▲FOXレーシング製ショック等、贅沢な装備を満載。

 そこで2021年にフォードはラプターのモデルチェンジを実施。いわゆる第三世代となる新型ラプターの登場である。

 発表されたニューモデルの特徴は、37インチタイヤが装備でき、リアの5リンクサスペンションがリファインされ、いわゆるオフの性能がTRXを全て上回っているというもの。インテリア等ももちろん進化していた。

 だが。搭載エンジンはリファインされたV6ツインターボであり、パワー等の変化はなかった。

 というのも、後に「R」の登場が控えていたからである。そう、ラプターの最強モデル・ラプターRである。

 ラプターRは、シェルビーGT500の5.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載し、720hp、最大トルク640lb−ftを発生させる。

 オリジナルGT500のエンジンは760hpであるから、若干のディチューンとなるのだが、それでもノーマルラプターの450hpから一気に250hpアップということを鑑みれば十分に強力であり、ラム1500TRXにも十分に太刀打ちできる。

 というか、結局のところ、チャレンジャーヘルキャット対シェルビーGT500かよ、とも思えてしまったが、ピックアップでもパワー競争をしてしまうアメ車がなんとも微笑ましい!

▲ラプターはピックアップというよりは『マシン』という言葉がよく似合う。

▲公道のみならずオフの走りも天下一品。

▲2025年から登場するライバル・ラムRHO。ラプターはどう対応する?

 そんなハイパフォーマンストラックであるが、2023年から徐々にだが規模が縮小している。2023年いっぱいでラムTRXの生産終了が確定した。ベースとなるダッジチャレンジャーヘルキャットの生産終了に伴う処置である。

 だが、ラムは2025年にラムRHOを登場させる。ヘルキャットエンジンに変わる直6ツインターボエンジン、通称ハリケーンエンジンを搭載して再び勝負する。

 一方でラプターであるが、2024年はラプター及びラプターRは継続中である。が、2025年においてはラプターRの存在が怪しい。

 ベースエンジンとなるシェルビーGT500が生産終了しているから、チャレンジャー同様の措置となる可能性が非常に高い。ただし、ノーマルラプターにおいてはまだ継続の可能性があるから今後の入手も可能だろう。

 もしくはラムRHOに対抗するマシンを再び登場させるのか?

 いずれにせよ、一時代を築いたスーパートラックもついに終焉の時を迎える。

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