マフラー交換やヘダース交換といったカスタマイズはアメ車の醍醐味の一つであるが、現時点でそういったカスタマイズを施せば車検に通らないという問題が発生する。
だが、2010年3月31日までの生産車にはそれが当てはまらない。
我々がレーストラックにてよく取材している個体、例えばダッジバンやシボレータホ、初代デュランゴetc といった車両たちの多くにワンオフマフラーやヘダースが装着されているのは、それが理由である。
「そういった年代のアメ車はもはや旧車の域に達しているかもしれません。ですが、ヘダースやマフラーを交換することで、V8サウンドが変わり、エンジンのフィーリングも別物になります。
現代の最新車両は余裕で250キロ/hとか出ちゃいますけど、そんなスピードを出せる場所が一般道ではありませんよね。ですが、前述した年式のアメ車であれば、公道を速度域内で走るだけでも『アメ車に乗っている感』を十分に味わうことが可能なのです」
確かにレーストラックで整備を受けていたC4コルベットは凄まじいほどカッコよく、リアルV8サウンドと言えそうな重低音を響かせ船堀街道を走っていたし、同じく初代デュランゴも50キロから80キロあたりで流せば「まるでレーシングマシン?」と思わせるほど猛々しいV8サウンドが響いていた。
両者に言えるのは、絶対速度を高めなくてもまるでハーレーのようにV8サウンドが響き、楽しいということだ。
で、こうしたヘダースやマフラー交換を行おうと思った場合、上記の2010年3月31日以前の車両であれば車検に引っかからないのだが、もう一つ、注意点がある。
それがアクセルペダルの「ワイヤー式」と「電子制御スロットル式」の違いである。
アクセルの開度に応じてスロットル弁のコントロールをワイヤーで行なうワイヤー式が旧時代の一般的な方法だったが、これをコンピューターが行なう方式のことを「電子制御スロットル」と呼び、アクセルの踏み込み量を電気的な信号に変え、それによってスロットルをコントロールするシステムが採用されるようになっている。
アメ車の場合、2004年、2005年あたりから採用された車輌が多い=「電子制御スロットル」を採用した車両の場合はさらにひと工夫が必要になる。
というのも、通常、安全面や燃費の向上などを重視したマイルドなスロットル特性となっていることが多く、仮にヘダースやマフラーを交換しても、この「電子制御スロットル」が変化を感じ取り、再びマイルドな方向性に調整してしまうことが起こるから。
よって、ヘダースやマフラーを交換しても「そんなに効果が出てない」と勘違いしてしまうことが多々あるのである=新たにスロットルコントローラーを追加装着してスロットルをコントロールするのが望ましい。
ということで2008年型ダッジマグナムSRT-8。この車輌には、ロングチューブへダースとワンオフマフラーが装着されている(コニのショック、OS技研のノンスリップデフ、強化スタビやタワーバーも)。
で、上記の通り電子制御スロットルをスロットルコントローラーにてコントロールしたことで、全く別の一面を見せてくれた。
装着後の効果はてきめん。このマグナムはアクセルひと踏みから驚きのレスポンスを見せるし、キレのあるフィーリングとパワー感を味わわせてくれた。
「スロットルコントローラーによって、アクセル開度が少ない時ほど変化の体感が味わえます。当たり前ですけど、開度が大きくなれば純正時の開度が大きい状態と同じようになるんです。ですから普段使いの速度域から変化が体感できるので、かなりの体感効果があると思います」
もはやノーマル状態でも十分に速い現代のアメ車。だが、そういった最新アメ車が進化の過程でなくしてしまった濃密なフィールを、旧時代のアメ車で味わう快感。スピードを求めることなくフィールを求める向きには、絶好のヘダース交換である。
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