更新日:2025.08.06
文/田中 享(Tanaka Susumu) 写真/ぜネラルモーターズ
ニュルとはニュルブルクリンクサーキットのことで、難攻不落の激ムズサーキット。旧時代のドイツ車はそのサーキットを車両開発の見極めとして使っていた。
その昔、スポーティな国産車はニュルのラップタイムが基準になった。そして「打倒ドイツ車」を掲げ多くのドライバーがニュルを攻める。その時のラップタイムが高性能車の証となり開発の目標にもなった。1990年代の話である。
その際の著名な車両がスカイラインGT−RとNSX。ポルシェ911ターボのタイムを目指し強化。日本車の場合、馬力自主規制で280psに規制されていたから当時のポルシェに勝つにはボディ剛性を高めサスペンションを改良するしか手がなかった。
当時の基準タイムが8分台。スカイラインGT−Rが先にポルシェを追い越し、その翌年にNSXがGT−Rを追い越す。その後NSXにタイプRが登場し国産車最高ラップを記録。パフォーマンスカーにニュルの洗礼は当たり前になった。
それからしばらくしてアメ車にニュルの洗礼が起こる。2010年頃だった。キャデラックCTSが先陣を切り、その後GM車が続々とニュルの洗礼を受ける。
そしてコルベットC6Z06がデビューした頃、バイパーとコルベットの熾烈なラップタイム争いが起こる。コルベットはそれ以降も常にニュルの洗礼を受け、質感とともに速さも確実に上がっていった。

▲2024年に登場したマスタングGTD。800hp超を発生させるスーパーマスタング。ほぼレーシングカーと言えるが、市販車である。

▲コルベットZR1は6分50秒76を記録。

▲コルベットZRX1は6分49秒275を記録した。
そんな流れの中、2024年にマスタングGTDがアメ車最速ラップを記録する。6分52秒072という最速ラップを刻む。
1990年代の日本車の8分台を知る者からすれば、圧倒的に速くなったというのが正直なところ。ちなみにマスタングGTDとは、800hp超を発生させるスーパーマスタング。
ただし、本国価格35万ドルを超えるレーシングマスタングとも言えるから、市販車というのはちょっと気が引けるかも・・・。
そんな状況の中、コルベットC8が最速ラップに挑戦した。参加した車両は、Z06、ZR1、ZR1Xの三台である。そして叩き台した記録が以下の通り。
コルベットZRX1:6分49秒275、コルベットZR1:6分50秒763、コルベットZ06:7分11秒826。すなわち、ZRX1、ZRXが上記マスタングGTDのラップタイムを更新し、アメ車最速ラップを記録したのである。
ちなみに今回のタイムは「アメ車最速」を記録しているが、ニュル最速はメルセデスで、コルベットZR1Xの上にはポルシェ911GT2がいる。それらを超えるためには、今後、パワーだけでなく軽量化が必要になるのかもしれない。


<ニュルブルクリンク市販車最速タイムレコード>
1.メルセデス AMG ONE :6分29秒090
2.ポルシェ911GT2 RS MR :6分44秒749
3.メルセデスAMG ブラックシリーズ :6分48秒047
4.シボレーコルベット ZRX1 :6分49秒275
5.ポルシェ911 GT3 RS :6分49秒328
6.シボレーコルベット ZR1 :6分50秒763
7.フォードマスタングGTD :6分52秒072
138,000円
PERFORMANCE
GDファクトリー千葉店
18,900円
EXTERIOR
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132,000円
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