更新日:2010.12.10
文/石山英次 写真/編集部
2010年的中古車選び、SUV編。私見を含んだ非常に偏ったセレクトになるかもしれないが、ひとつ最期までおつきあいを。いきなりだがアメリカンSUVに何を求めるか? たとえば200km/h巡航でも安定する鉄壁の直進安定性を備え、鋼のような強いボディを持ち、凄まじいまでのパワーを放つ…。そんなSUVが欲しいのなら他にも選択肢はたくさんあるワケで…。そこにあえてアメ車を選ぶ理由はないと思う。
逆に街中での走行においてさえも、感動や優越感に浸れて、なおかつ乗っているが人が少なく威張りが利き(意外性ともいう)、素直にカッコいいと思えるクルマ。そしてメカ的にも優れたものがあればなお可(カスタムする楽しさもあれば)。
最近よく感じるのだが、500psのパワーに200km/hでの超高速安定性よりも、信号一つ分でも楽しめるフィーリング、音、振動、そして操っている感覚の方が重要ではないだろうか。だからといっていい加減なダラダラふわふわなマシンでいいとは言わないが、アメ車はむしろそちらの世界で勝負した方がより個性が際立つのではないかと思っている。
で、選んだのが、新旧キャデラックエスカレード、トレイルブレイザー、旧ダッジデュランゴにタホ、サバーバンに、ハマーH3、そして旧型インフィニティFXの8台だ。クルマとしては断然素晴らしく、アメ車の概念を二段も三段も引き上げたグランドチェロキー系も候補にあがったのだが、彼らからはどうしても上記の200km/h系マシンになりたい感じがひしひしと伝わってきて、完成度は抜群に高いのだが、「らしさ」に欠ける感じが前からずっとあったので、あえてランクインさせなかった(もちろん異論反論あるとは思いますが)。
で、その8台の中でも個人的にイチオシなのがトレイブレイザーである。
トレイルブレイザーは、トラックをベースに上屋を乗せ変える、という従来の発想から脱却し、最初からSUVありきで開発/設計されたGM渾身のモデルだった。
ジープ各車に匹敵するほどの本格的なオフローダーとしての悪路走破性能を得るために古典的なラダーフレーム式を採用するも、ハイドロフォーミング成形と呼ばれる特種な製造手法を用いることによって、モノコック並みの高いボディ剛性感を誇った。
トラックやバンにありがちな、土台はガッチリしてるが上屋がガタがタ揺れる、といった苦情を大幅に解消することに成功し、国際的な基準に照らしても高いレベルにあるモデルと評価された経緯があり、アメ車の「曲がる/止まる」に不安を抱き躊躇しているような人に対しても強くオススメすることができる高性能SUVに仕上がっていたのだ。
この部分は中古車になった場合にも効き、ボディのヘタリが俄然少ないことで有名である。それでいて乗り味や雰囲気にアメ車臭さを適度に残しているところが泣かせるポイント。
21世紀の新世代SUVと唱いながらも、世界的には絶滅寸前の形式である直列6気筒エンジンをこのクルマのためにわざわざ新開発した、なんていうズレた感覚にもアメ車らしさを感じずにはいられない。
だが実は、この6気筒エンジンがアダとなり、カスタム業界からは全くというほどパーツが出てこず、カスタムする楽しみが非常に少なかったアメ車でもあった。もちろんワンオフパーツなどで対応可能だったが、人気がダッジデュランゴなどに及ばなかった大きな原因と言われている。
しかしこれも中古車となれば話は別で、エンジン本体や吸排気系に主だったカスタムを受けている個体が少なく、せいぜい車高とホイール程度といった正規ディーラー車系が抜群に多いのだ。
だからこそ、中古車選びとしては俄然優位に立つと言えるのである。購入後にカスタムする楽しみはあまりないが、今は亡きアメリカンSUVの神髄には触れることができるのだ!
その点ダッジデュランゴの場合は、人気車だっために手を加えられたタマが多いこと、そして初期モデルにおいてはトラブルなどで熱対策が行われているかなど、予備知識も必要になる。もちろん走行距離も多いだろう。
だが人気なだけにメンテナンスやカスタム等に対応できるプロショップが多いから、今あえて選ぶという選択肢ももちろんアリである。デュランゴもベースの剛性や耐久性が抜群に高いから、まだまだ現役で通用するという事実があるのだ。
ということで、2010年私的中古車選びSUV編のオススメはトレイルブレイザーである。タマ数は非常に豊富であり、5万キロ走行程度の範囲においてはディーラー車でさえ100万円台前半の物件もある。2万キロ走行以内であれば200万円を越えるが、それでも十分にお買い得といって良いだろう。
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