新型CTSは、インテリアの質感が大きく向上しました。インテリアのクオリティについては、先代のCTSも決して悪くはなかったのですが、今度のCTSの内装の質感は、ベースモデルの『ラグジュアリー』、上位モデルの『エレガンス』ともに、先代とは比較にならないほど上質になっています。
とくにここで紹介しているブラックダイヤモンドカラーのエレガンスの場合、ジェットブラック&モレロレッドの通常レザーと、バックスキン(スエード)、カーボンファイバートリムの織りなす素材とカラーのコントラストが非常に美しく、グレード名の通りのエレガントでスポーティな雰囲気を味わえます。
また、新型CTSのインテリアは、デザインや質感だけでなく機能や装備も進化しています。キャデラック独自のインフォメーションシステムである『CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンスの略)』は、スマートフォンやタブレットの様に直感的な操作が可能となっており、8インチのタッチスクリーンは視認性も反応も良好です。
このCUEとリンクされた日本専用ナビゲーション(パナソニック製)の使い勝手の良さも含め、新型CTSのインターフェイスの機能性と完成度の高さは、現在日本で正規販売されている全ての輸入車の中でもトップクラスと言っても過言ではないでしょう。
オーディオの良さは歴代キャデラックの全てのモデルに共通する隠れたセールスポイントですが、新型CTSでもこのサウンドの良さは継承されています。
キャデラックは、1983年のセビルとエルドラド以降『Bose純正サウンドシステム』を導入していますが、新型CTSにも13個のスピーカー&10チャンネルのデジタルアンプで構成される専用設計の『Boseセンターポイント・サラウンド・サウンドシステム』を標準搭載。さらにはGMがBose社と共同開発した『アクティブ・ノイズ・キャンセレーション(ANC)』という「エンジンノイズ音など、パワートレーンから生じる不快な車室内音を逆位相の制御音で打ち消し軽減する装置」を搭載する事で、これまでのキャデラック以上のハイエンドなサラウンドサウンドを実現しています。
また、新型CTSのセールスポイントに、『軽量で強靭なボディ構造』と『吸音材や遮音材を効果的に使った騒音対策』がありますが、この二つの要素から生じる高剛性ボディと高い静寂性も、当然ながらオーディオの音質の良さに一役買っています。
オーディオや音質といった部分に関しては、聞く人それぞれの好みも違いますし、またクルマというのは静かであればそれでいいというものではありません。しかし、オーディオの音質だけでなく、風切り音やエンジン音といった様々なノイズに到るまで、乗員が感じる『音』というファクターに対して、これだけこだわって設計されたモデルは、キャデラックとしては初めてでしょう。
新型CTSには様々な安全システムやドライバーの補助アイテムが満載です。代表的な装備は下記の通りです。
・オートマチック・パーキングアシスト(縦列駐車)
・セーフティ・アラート・ドライバーシート(警告振動機能付)
・フォワード・コリジョン・アラート(前方衝突事前警告機能)
・レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告機能)
・リアビューカメラ
・ブレーキアシスト
・インテリビーム(ハイビーム自動切替機能)
・左右フロント席ニーエアバッグを含む10個のエアバッグ
・速度感応式可変アシスト量制御電動パワーステアリング
・スタビリトラック(車両安定性制御システム)
・4チャンネルABS
・マグネティック・ライドコントロール
(磁性流体減衰力制御システム)
イマドキの高級車らしく、まさしく「至れり尽くせり」という言葉がピッタリの充実装備になっています。筆者のような古いタイプのアメ車ファンからすると、「そこまで面倒みてくれなくても…」という気がしないでもありませんが、現代のキャデラックがターゲットとしているユーザー層には、こういった分かり易い先進装備は大きなセールスポイントになるのでしょう。
しかし、新型CTSの場合、前記した様なコンポーネントは補助的なオマケと思えるくらい、『走る』『曲がる』『止まる』というクルマの基本性能が優れていおり、さらには『スタイル』『安全性』『乗り心地』『静寂性』といった高級車に求められる必須項目のレベルが十分に高いことこそが本当のセールスポイントであると思います。
キャデラックCTSというクルマは、この3代目にしてようやく完成したのではないか?というのが、筆者の正直な感想になります。
初代CTSは『新世代のキャデラック』を標榜してはいたけれども、中身はオペルと言われても仕方ない部分がありました。とにかくエンジンのフィーリングが安っぽく、色んな意味でクルマとしての完成度が低かったと言わざるを得ません。
2代目CTSは、高級ミッドサイズセダンとしての体裁は十分に整えていましたが、とくに不満に感じる部分がない代わりに、とくに強調すべきポイントもないという、一言で言えば個性の薄いモデルでした。おそらくそれは、2代目CTSのデビュー時にまだ現役だった、STSやDTSといった上級モデルとの差別化が上手く出来ていなかったからだと思います。
しかし、今度の3代目に関しては、初代や2代目の様な中途半端な感じは一切ありません。GMが「今出来ることを全て注ぎ込んだ」感が十分に伝わってきます。
キャデラックというクルマは、GMという世界最大の自動車メーカーの『最先端技術』と『最高級』の集約であるべきはずのモデルです。事実、歴代のキャデラックには「GM初」という装備や機能が頻繁に登場していましたが、初代と2代目のCTSに関しては必ずしもそうとは言えませんでした。しかし、今度の3代目に関しては、「キャデラックのエントリーモデル」という呪縛から放たれた効果がはっきりと分かります。
エンジンのダウンサイジングなど、時代の流れに対しての異論はあるかもしれません。しかし、そういった個々人の趣味指向の部分は別にして、新型CTSがGMの最高級ブランドである『キャデラック』という名に恥じないクルマであるのは間違いありません。
>>新型キャデラックCTS(2014 Cadillac CTS)vol.1へ
>>新型キャデラックCTS(2014 Cadillac CTS)vol.2へ
>>新型キャデラックCTS(2014 Cadillac CTS)vol.3へ
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