更新日:2015.03.12
文/マリオ高野 写真/古閑章郎
2012年後半にデビューしたキャデラックのエントリーラグジュアリーモデル。北米市場はもとより欧州、中国、そして日本といった世界各地のマーケットで新世代キャデラックの存在感をアピールすることを狙い開発されたスポーティセダン。先鋭的でエッジの利いたキャデラック独自のデザインコンセプト「アート&サイエンス」が受け継がれ、縦型ヘッドランプやリアコンビネーションランプを駆使して独自性を主張する。パワートレインは、本国には3.6リッターV6も用意されるが、日本にはダウンサイジングされた2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンのみとなる。
マリオ高野:まずはキャデラックの最小モデル、ATSです。GMグループの最新2リッター直4ターボで276馬力。ミッションは6AT、駆動はFRです。グレードは最上級のプレミアムとなります。
G.G.佐藤:走り出しが超なめらかですね。アクセルワークに忠実でキレイに連動するトルクの出方がキモティ! 動き出した瞬間から「これは良いクルマだ」とすぐに実感させてくれます。ドライビングポジションも最高。ステアリングやペダルの位置関係が良いし、視界も想像してたよりもずっと良い。そういう部分は、ベンツのCやBMWの3シリーズに全然負けてませんね。
マリオ高野:身長184cmのG.G.さんの体型でもドラポジがバッチリというのはすごいですね。さすがアメ車。そんなアメ車にもダウンサイジングの波が押し寄せまくっていますが、C5のコルベットを所有されていあG.G.さんとしては、そこは寂しかったりしませんか?
G.G.佐藤:4気筒だからダメだということは全然ないですね。踏めば十分速いし、良い意味で4気筒らしくないと思います。4気筒というより、V8の半分という感じ。すっげー洗練されてまとまりのあるV8の味がありますよ。
マリオ高野:スペック的には国際化しても、ちゃんとアメ車の感覚が残っているんですね。
G.G.佐藤:乗り心地も甘美だし、静粛性もすごくいい。400万円台で買えるDセグ車として、ハードウエア面は完璧でしょう。
マリオ高野:コスパが高いところもアメ車らしいですね。ベンツCや3シリーズではなく、積極的にコレを選ぶ理由はどのあたりにありますか?
G.G.佐藤:クルマとしては猛烈によく出来ている一方、外観デザイン以外には尖ったモノが感じられなくて、「ちょっと優等生過ぎるかも? いったい誰が乗るのかな?」とも思えたけど、これは成熟したオトナのためのサルーンですね。アメ車もドイツ車も、さんざん乗り尽くした人がたどり着く境地なのかも知れません。アメ車とヨーロッパ車の両方の味を知っていれば、ATSの良さが伝わりやすいんじゃないですか。エントリーモデルながら、実は意外に奥が深い。そこがマニアックで良いですね。
【G.G.佐藤氏】
埼玉西武ライオンズや千葉ロッテマリーンズなどで活躍した元プロ野球選手
若い頃、野球の武者修行で渡米した時に自身が乗るバスをブチ抜いていったC5コルベットの勇姿に衝撃を受け、西武ライオンズでレギュラー選手になるとC5コルベットを手に入れたなど、アメ車ライフを満喫した経験をもつ。フェラーリやベンツなどの高級欧州車を所有したこともあったが、本質的には「運転して楽しいクルマ」を好むG.G.佐藤氏。ナローボディのポルシェ911をレストアするなど、クラシックカーへの愛情も深い。2014年シーズン限りで現役を引退した後は、建築現場の測量・調査・設計・地盤改良工事を請け負う「株式会社トラバース」の営業マンに転身。スーツ姿で慣れない営業の仕事に悪戦苦闘中だ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:プレミアム
■全長×全幅×全高:4680×1805×1415mm
■ホイールベース:2775mm
■車両重量:1580kg
■エンジン:直4DOHCインタークーラー付きターボ
■総排気量:1998cc
■最高出力:276/5500[ps/rpm]
■最大トルク:40.8/3000-4600[kg-m/rpm]
■駆動方式:FR
■トランスミッション:6AT
■乗車定員:5名
■車両本体価格:499万円(税込)
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