われわれの仕事では、チューニングカーやカスタムカーを取材する機会が多いが、当然ながらそれらのほとんどはすでに完成した商品であって、製作段階から取材を行うことは滅多にない。
というのも、読者が求めているのは商品としての完成度であり、ほとんどの読者にとって、商品が完成するまでの過程はそれほど興味がないはずだからである。
とはいえ、見た目重視のカスタムカーならいざ知らず、アフターマーケットで発売されているスーパーチャージャーキットを装着しパワーアップした車両となると、さすがにノーマルの車両のように気軽に試乗することはできない。
信頼性の部分も含め、ある程度の不安も当然ながらあるからである。
しかし、試乗前に自分の目で製作過程を確認できるのであれば安心感が全然違う。今回ASDNが現行マスタングにスーパーチャージャーを装着するということで、その作業工程をすべて追いかけたが、その取り付け過程を見れたことは非常に有意義だった。
実際、まる二日をかけ全作業工程をつぶさに取材した結果、ある確証が得られたのである。「後付けスーパーチャージャーとはいえ、あらゆる工程に確実な作業と確認が求められ、そのすべてにきっとりと応えるメカニックたちに、さすがは日本のプロショップたちの集まりだな」と。
聞けば、ASDNでは本年度から現行マスタングおよびコルベットを対象に、オプションとして「オリジナルスーパーチャージャーキット」をラインナップすることになり、今回の装着作業においては、ASDN各社工場長クラスのメカニックが集い、装着研修が同時に行われていたのである。
すなわち、全国にまたがるASDN加盟店のどのショップにおいても、同じレベルの作業が行われ、同様の確実な作業と結果が得られるということである。
ということで、実作業を見てみよう。
まず、装着車両は2015年型マスタングGT。5リッターV8エンジンを搭載し最高出力435hp、最大トルク400lb-ftを発生させる。そこにフォードレーシング製のスーパーチャージャー「2015-2017 MUSTANG GT SUPERCHARGER KIT 670HP 」を装着する。
アフターマーケットのスーパーチャージャーキットには、各社からさまざまな商品が展開されているが、フォード車へのフィッティングの良さや耐久性等を考慮し、あえてフォード車御用達のブランド・フォードレーシングをチョイス。
くわえて、ボルトオンタイプの後付けスーパーチャージャーとはいえ、当たり前のように部分加工の指示がなされており(もちろん英語指示)、そういった部分の作業共有をもかねており、念入りな作業のもと二日間掛け取り付け作業が行われた。
ちなみに、当たり前だが取り付け後はノーマルエンジンではなくなるため、ノーマルコンピューター(ECU)のプログラム変更を行う必要があり、その他の調整も適宜必要になる。当然その場合にはフォード専用のテスターが必要になり、そうしたテスターの操作性を知らないショップでは作業は不可能である。
今回、作業前後でマスタングのパワーチェックを行っている。いわゆるシャシーダイナモメーターに載せて行っているが、そういったシャシダイは基本的に10%程度のロスが出ることが一般的である。それを考慮した結果が以下である。
ノーマル時の結果が370.39ps、最大トルク49.262kg-mという数値だったが、装着後が603.03ps、最大トルク69.8kg-m。実質232.64ps、20.538kg-mのアップという恐るべき結果が出されてのである。
ちなみに、同条件で2014年型シェルビーGT500を計測したが、その際の記録が595.86ps、最大トルク79.727kg-mということだったので、パワー数値においては、5リッターV8改が5.8リッターV8を上回ったということになる。
今現在、現行マスタングにスーパーチャージャーを装着した市販車両は存在しないが、2018年以降には現行マスタングのシェルビーGT500が登場すると噂されている。=スーパーチャージャー装着で750hp以上のモンスターマシンという触れ込みだが、果たしてどうか?
ただし、それでも日本に持ち込めば1200万円程度はくだらないだろうから(もっと高いかも)、現行マスタングGTを入手し、そいつにスーパーチャージャーを装着した方が、断然安価であるというのは間違いないのである。
ASDNで作業されたガレージダイバンのマスタング改は、この後テストを繰り返し作業完成とともに一般道での走行テストを行っている。次回ではその走りを体感してみたいと考えている。
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