更新日:2013.04.10
文/石山英次 写真/神村 聖 (KAMIMURA SATOSHI)
キャデラックATSには2モデルあり、ひとつが「ラグジュアリー」でもうひとつが「プレミアム」。「ラグジュアリー」はすでに発売が開始されているからご存知の方も多いとは思うが、そこに今回「プレミアム」が加わるということで、試乗会が開催されたのだ。
この試乗会の大きな目的は、「プレミアム」に装備されている主な装備の実体験。「プレミアム」には、最新のセーフティデバイスが装備されるほか、タイヤが17インチから18インチにアップし、足回りにマグネティック・ライドコントロールを装備するなど、走りの質も上がっている。
ということで、まずは最新のセーフティデバイスを体験することになった。
まず前提として、ATSの車輌前部にはカメラ1基と中長距離レーダーと短距離レーダー×2基と超音波センサー×4基が設置されており、後部にはカメラ1基と短距離レーダー×3基、超音波センサー×4基が搭載されていることを把握しておく。
この、まるで探知バリアのように車輌前後に張り巡らされた各種センサーが、路上の危険に対するドライバー認知をサポートしてくれ、事故を未然に防ぐ、あるいはその被害を最小限に抑えてくれる役割を果たすというのである。
<セーフティ・アラート・ドライバーシート>(全車種)
事故発生の危険を察知した場合、シートクッションの左右に内蔵されたバイブレーターが振動し、ドライバーに危険を知らせる。このバイブレーターは左右独立しており、左からの危険には左側が、右からの危険には右側が、そして前後からの危険には左右同時に振動するのである。
<リア・クロストラフィック・ アラート>(全車種)
自車の後方を横切る車両や人の存在を警告するシステム。例えば、駐車スペースから後退する際に、後ろを横切る車両が近づいてきた場合、レーダーがそれを検知し、ドライバーズシートの左右どちらかが振動し注意を促すシステム。左右30mまで検知可能という。
<サイド・ブラインドゾーン・アラート>(全車種)
車両の両サイドに備わるレーダーセンサーを利用し、いわゆる死角に他の車両が走行中であることを知らせるシステム。ドアミラーにサインが表示され、必要に応じて警告灯が点滅する。
<アダプティブ・クルーズコントロール>(プレミアム)
アダプティブ・クルーズコントロールは、簡単に言うと、これまでのクルーズコントロールの進化版。ステアリングのコントロールスイッチで速度や車間距離(近い/中間/遠い)を選択する。全速度域でレーダーとカメラで前走車をモニターし、適切な車間距離をキープする(車間があけば加速し、詰まればブレーキをかけて車間をあける)。
<フォワード・コリジョンアラート>(プレミアム)
レーダーとカメラが前方衝突の可能性を検知し、ドライバーに警告するシステム。40km以上のスピードで作動し、インパネでのマーク表示とシート振動でドライバーに警告する。
<レーン・ディパーチャーウォーニング>(プレミアム)
カメラが検知した走行車線情報に基づき、ドライバーがウィンカーを作動させずにレーンを外れると警告するシステム。およそ60km/h以上で作動。左または右のシート振動で警告する(オフにもできる)。ちなみにウインカーを出している場合は、警告しない。
<フロント&リア・オートマチックブレーキ(前進/後退)>(プレミアム)
短距離レーダーと超音波センサーを利用し、低速での衝突の危険を感知するとまず警報を発し、必要な場合には自動的にブレーキをかけてくれるシステム。その警報は音だけでなく、シート振動でも注意を促す。この機能が万が一作動した場合、そのままオートマチックサイドブレーキがかかるようになっている。
上記の他にもたくさんのハイテク装備を搭載しているのだが、今回の試乗会では、プレミアムに搭載されている4つのセーフティデバイスを体験した。
正直、これまでの愛車生活の中で、こうした安全装備のお世話になったことはないし、そもそも必要性を感じたことすらないために、あまり気乗りがしなかったのだが…。
だが実際に体験してみると、あくまでドライバーのサポートに徹している機能ということで、「万一の危険」時の保険として多いに役立つことが確認できた。
とくにオートマチックブレーキは、前進だけならスバルのCMでやっていることとほぼ同じだが、キャデラックの場合は、後退バック時にも対応しているのが特徴で、逆にいえばバック時ほど死角ができるわけだから装備自体にも納得できるし安心できる。
さらにオートマチックブレーキがかかった場合には、電子制御パーキングブレーキが同時に作動するのだが、キャデラックの場合はそのままパーキングブレーキが作動し続けたままになるので、トラブル後動揺してブレーキペダルを離してしまって起きる二次的トラブルを避けることにも留意されているのである。
ひとりで運転しているときは、意外に集中しているもんだが、友人知人家族等を乗せているときほど、話に集中してしまって「ついうっかり」なんてことが多いと聞くから、こういったキャデラックのセーフティデバイスは、かなり役立つはず(今や世界中のクルマが装備し始めているし)。しかも運転の邪魔をすることがまったくないだけに、ドライバーの安心を高める保険としても是非にと、お勧めしたい。
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