つい先日、あるショップでちょうど話に出ていたところだった。「2010年以降くらいのタホ、サバーを仕入れたら今、百発百中で売れますよ」と。
この2010年以降のタホ、サバーとは、2007年から2014年まで存在したモデルであり、それまでのモデルとは一線を画す洗練されたSUVになりかけている発展途上の存在であった。アメリカンSUVフィールと乗用車フィールとがうまく混ざり合い、個人的には非常に好きなモデルだった。
だがしかし。その当時のタホ、サバーは、現地の販売価格が一気に上昇してしまい、じつに可哀想なことに、日本での直接のライバルがキャデラックエスカレードということになってしまったのである。「タホで800万?、だったらあと100万プラスしてエスカ買うわ」
そんなこんなで、当時のタホ、サバーが日本に持ち込まれることは非常に少なかった。と同時にキャデラックエスカレードがその分も含め、一気に増幅したのである。
だからか、この年代のタホ、サバーが日本の中古車市場で見られる数は極めて少なく、欲しい場合は本国から直輸入するしかなく、直輸入する場合にも現地価格や為替の状況からある程度の費用が予見されるわけである=諦める。
もしくは諦めなくても、基本的にオーダーありきでの直輸入ということになるから、店頭に並ぶことはまずないのである。さらに、タホよりちょっとデカいサバーバンはなおのことレアな個体である。
だからこの撮影車を見たときに驚いた。これだけの状態のサバーバンが日本で見られるなんて。
2012年型シボレー サバーバンLT 4WD。走行距離4万6000キロ弱の実走行。ホイールが20インチアルミに交換されているが、それ以外はフルノーマル。
この年代のサバーバンは、オプションで22インチタイヤを履くだけに、20インチのホイールに交換されていても大きな障害とはならないし、嫌なら純正ホイールに変えてしまえばいいのだから、しかも実走行5万キロ以内というのが非常に嬉しい。筆者が知っているユーザーは、先日約10万キロ走行の2009年型タホを購入したばかりだし。
搭載されるエンジンは、5.3リッターV8エンジン。最高出力320hp/5400rpm、最大トルク335lb-ft/4000rpmを発生させ、6速ATと組み合わされる。いまさらながら圧倒的なパワーではないが、耐久性とアメ車らしいドロドロ感をもたらすフィーリングは健在であり、乗るとわかるがイマドキの最新SUVにはないアメリカンなフィールがまだ味わえる。
この型のサバーバンのマスクには精悍さが増し、男性的な強さを強調しているように見える。インテリアにはそれまでの質素な雰囲気を廃し現代風のアレンジを効かせ、走りからは以前のようなトラック的な緩さや曖昧さが完全に消えている。特にステアリングの正確さと滑らかさは特筆ものである。
ステアリングに関していえば、ギアの精密さまでもが伝わってきそうなほど洗練されている。だからといってナンパなSUV風になっていないのが嬉しい。むしろシッカリ感が増したことで、非常に骨太なアメ車的な乗り味である。
キャデラックエスカレードやユーコンデナリなどと多くのパーツを共用しているわけだから、その素地は極めて高い。ただし基本は「サバーバン」であるために、ラグジュアリー的な要素は控えめである。
だが、質実剛健という意味においては、旧世代と同様、かなりの耐久性が秘められているはずだ。そういう意味でもラダーフレームに大きなボディを載せ、エンジンを縦に置き、V8をドロドロいわせられる「最後の本物」として、アメリカンSUV生活を送るのも悪くないと本気で思わせる。
とくにタホじゃなくサバーバンであるというところに、アメリカンSUVの本質を見るのである(個人的にはアメリカのシークレットサービスが大統領警護に使ってるシーンが一番好き)。
まったくの余談だが、最近高速道路上での痛ましい事故のニュースをたびたび見るが、こうした事故における安全性という部分においても、フレームボディの強さは折り紙つきだろう。いまや世界中において「コンパティビリティ」という概念がまかり通っているが、実際にはまずは自分の命や家族の命が優先だろう。
だからフレームボディのSUVに乗れ、というわけではないが、好きであるならこうしたタホ、サバーバンのような存在は大いなる味方となるはずである。
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
6DEGREES