タフや悪路走破性を謳い文句にしているピックアップトラックやSUVは数多いが、その中でどのモデルが最強か、と聞けば多くのアメ車ファンはハマーH1と答えるのではないだろうか。
かのアーノルドシュワルツネッガーの要望などもあり、ハンヴィーの基本構成部品を共有化して民生仕様として生産されたと言われるハマーH1だが、AMゼネラル社によってH1の販売が開始されたのは1992年。あの湾岸戦争の翌年である。
当時、中東で大活躍したハンヴィーの過酷な戦場をものともしないタフなヤツというイメージが、ハマーH1のバックボーンになっているのは間違いないところだ。
頑強さや機能優先で見た目などはほとんど考慮されていない軍用車をルーツとするだけに、ハマーH1のスタイルは無骨そのもの。また、全長に対して全幅が異様に長いデザインや、ボディサイズにわりに狭い室内空間などは一般的な乗用車とは一線を画すもので、設計時に取り回しや乗員の快適性、スペース効率といった乗用車てきな観点が二の次だったことが伺える。
このあたりは同じハマーという名を謳ってはいても、乗用車をベースに軍用車的なデザインを取り入れたH2やH3とは明らかに異なる部分である。
エンジンやミッション、足回りといった動力性能部分については基本構成がハンヴィーと同じだけに、その頑強さや走破性の高さは一般的な乗用車の比ではない。砂漠やガレキの山と化した市街地など、戦場さえ走れるレベルだととはいえ、それはあくまでも悪路走破性という部分に限った話であり、市街地での乗り心地や高速道路での巡航性能などは他のハマー兄弟には遠く及ばない。
すなわち、好きな人にとっては何ものにも代え難い唯一無二の存在。逆に興味のない人にとってはデカくてゴツくて使い勝手が悪い無用の長物。何から何まで極端というか突き抜けたクルマ、それがH1である。
基本的能力は戦場さえ走破可能な高いレベルを維持し、車体の剛性は軍用車よろしく超ハード。だが、彼の地アメリカではそんなH1を身近におき日常的な足として使用することが一部のセレブたちの遊びとなっているというからタチが悪い(笑)。
実際、本国アメリカでもH1を入手することが数の問題でどんどん難しくなり、同時に値もつり上がっているから一層入手が困難になっている。だからこの車両のように40800マイル走行の出物は即売が基本らしい。
この車両は日本のハッピーアンドドリームが直輸入した車両であり、消耗品の交換が行われ、カスタムインテリアやXD22インチホイールで飾られたまさにセレブ仕様のごとき華やかな車両であり、われわれ編集部はこの車両が日本にやって来て富山のショップに運ばれる時点から密着の取材を行っていたのである。
道中では試乗もさせてもらい、コンディションについてもかなりの部分で把握することができ、H1の魅力をあますとこなく把握することができたわけである。
99年型ということで搭載されるエンジンは、GM製の6.5リッターV8OHVターボディーゼルエンジン。195hpを発生させ、低速から猛烈なトルクをともなって超高剛性の重量車体をもともせずがガンガン走らせる。
ちなみに、V8OHVターボディーゼルエンジンは、06年モデルからGM製の6.5リッターではなくなり、いすゞ製の6.6リッターにチェンジしたが、それにより約1.5倍ものパワーアップを果たしているというが、GM製を求めるユーザーが多いというのが実情であるという。
このH1はいわゆるオープントップのコンバーチブルのような存在だが、車体の弱さを感じさせることは微塵もなく、かつステアリングの反応も鋭く、緩さをまったく感じさせない。
そういう意味では、まるでスポーツカーのような感じさえ与えてくれるから走り好きには結構評判がいいかもしれない。もっとわかりやすく言えば、乗り心地のあたりが若干ハードになったラングラーをオープンにして、そのボディが大きくなったやつと言えるかも。
しかもステアリングの切れ角が非常に大きく、異常に小回りが利くのには何度も驚かされる。
だが。街中を走っているレベルから、若干スピードを上げると全てが一変する。その最たるものが音の類である。スピードが上がれば当然ながら風の巻き込みや騒音が増し、それとともにハマー自らのエンジンサウンドや風きり音やタイヤの走行音もどんどん舞い込んでくる。最初は「お、面白いかも」と好評だったが、この音や振動がずっと続くとなあ、高速では辛いかもなあ…。正直な感想である(笑)。
とはいえ、車体が人を守ってくれそうな安心感は極めて高い。感覚的に感じる硬さというか強さみたいなものが全域からにじみ出ている。
そういう意味では、たとえば同じ値段を出せば買える高級SUVとはまったく違う感覚であり、逆にH1には、そういった同額帯の高級SUVが持つ当たりの柔らかさや乗り心地の良さや静粛性等はまったく持っておらず、ユーザーさんが「求めるものが何か」によって、評価が真っ二つに割れる極端な存在と言い切ることができるのである。
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