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アメ車ユーザーをパーツの面から全面バックアップ

ACデルコパーツセンターに潜入取材

倉庫に眠る約9万点のパーツ群に賞賛

アメ車ユーザーなら誰でも一度は耳にしたことがあるACデルコ。日本のアメ車ユーザーをパーツの面からバックアップするACデルコパーツセンターを取材した。

更新日:2017.03.13

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/阿部商会 TEL 0332332671 [ホームページ] [詳細情報]

昔からアメ車のパーツはACデルコ

 アメ車に携わる者なら誰もが一度は耳にしたことのあるネーミング・ACデルコ。筆者がこの業界に入った96年は、アストロ全盛の時代であって、アストロと言えばメンテナンス、メンテナンスといえばACデルコ、ACデルコといえば阿部商会という時代だった。

 阿部商会とは、BILSTEIN(ショックアブソーバー)、THULE(キャリア)、FUCHS(潤滑油)、ATS(ホイール)などヨーロッパの一流自動車用品ブランドを輸入&販売している商社であり、じつは1961年にGM第二純正部品ACデルコの販売権を獲得しており、それ以降日本のアメ車ユーザーの下支えを継続している会社でもある。

 ちなみにACデルコ=GM車、またはバッテリーというイメージが強いかもしれないが、実際にはフォード、クライスラー、そしてそれ以外の車両メーカーのパーツをも数多く供給しており、その数37製品群で9万点以上というから凄まじい。

 ここ数年はアメ車のクオリティ上昇に伴い、「DIYメンテナンス」という言葉が死語のように伝えられている。正直、我々編集部もメンテナンスに対する意識が減っていた部分があったゆえにパーツへの興味が薄れていた事実は否めない。

月に1~2回程度、コンテナを積んだ大型トレーラーがセンターにやってくる。その都度警察署にて手前の道路通行許可を取らなければならないほど大掛かりな一日になる。

本国にて封がなされ、それ以降誰も開けていない証拠という。それを開封。アメリカの空気が含まれたコンテナ内が見えてくる。

隙間なく積み込まれたダンボール。パッと見はきっちりと積まれているようにも見えるが、降ろすことを考えていないようにも見える(笑)。アメリカ的合理性は、時にいい加減にも見える。

パーツセンター倉庫内は一階に重量物が、二階に細かいパーツが棚分けされる。その数約9万点というが、実物はを見ればその数の多さにただただ驚く。

コンテナ1本丸々パーツで埋まる

 だが聞けば「全国的にパーツの発注自体は増えていますね」ということで、急遽ACデルコのパーツ群が眠るパーツセンターおよび倉庫を見せてもらうことにしたのである。

 ということで、2月24日金曜日。朝8時過ぎ。阿部商会パーツセンター駐車場に一台の大型トレーラーがやって来た。船便によるACデルコの荷物が詰められたコンテナ1本を届けにである。

 日本で唯一のACデルコWD(Wholesale Distributor) である阿部商会には、月に1~2回のパーツの入荷が行われる。これら入荷パーツは、倉庫にて不足しつつあるパーツや欠品パーツの補充、日本の各デルコディーラーからのオーダー品等であり、阿部商会のパーツセンターが本国に発注をかけた商品たちである。

 それら注文パーツは、アメリカ、オハイオ州、ウエストチェスターにあるACデルコの倉庫で取りまとめられ、荷造りされたパーツは陸送で港まで運ばれる。そしてそこから船便で約1ヶ月半。まさに取材日当日がそのコンテナの到着日だった。

隙間なく積まれているダンボールを熟練したスタッフが手際よく降ろし始める。

荷下ろし部隊と下ろされた商品との検品部隊とに分かれ、一気に作業が行われる。

中身を確認したら1月2日発送とあった。すなわち、本国ウエストチェスター発1月2日で、到着が2月24日。およそ一ヶ月半の輸送時間であった。ちなみに、その前の発注時点で欠品だったパーツが今回の便に積まれているものもあり、そういった検品作業が果てしなく続くわけである。

数の検品と仕分けを手際よく行っている。

船積みで約一ヶ月半

 コンテナ開封前に必ず行われる儀式、封の開錠である。荷造りされた時点で付けられたロックの封は、それ以降「だれも手を触れていない」という証であり、このピンを開錠することでアメリカの空気を感じる(笑)とともに荷下ろしの作業が開始される。

 作業日には、スタッフ総出の作業が必要とされ、コンテナから大量の荷を下ろすスタッフと下ろされた荷物の梱包開封とともに検品や数の確認を行うスタッフとが、理路整然とした働きによって、短時間で事を終える(丸一日以上かかる日もある)。

 オーダーした数量と差異がなく、また検品により商品の状態に問題がなければ(アメリカ的荷造りによる弊害がたまにあるらしい)、倉庫の商品棚にならび、日本のアメ車ユーザーのために使用される日まで倉庫内でスタンバイとなるが、検品された商品たちが収められる過程とその各商品棚を見て驚いた。

本国で積まれる時に無理やり押し込まれたのか、ダンボールが破けている。たまにこういうこともあるというが、きっちりとクレーム処理される。

上記のダンボールに入っていたフィルター。もちろんクレーム処理される。

コンテナから下ろされたダンボールを開封したのち、梱包されている各商品のチェックと数のチェックをきっちり行っている。

注文が入ったパーツは宅急便で各デルコディーラーへと配送される。このACデルコパーツセンターは、日本のアメ車ユーザーの聖地ともいえる場所だ。

倉庫内の物量感は圧巻のひと言

 阿部商会のパーツセンターは、1階と2階に各パーツの商品棚が並べられる。1階は主に重量品、たとえばオルタネーターやブレーキローター等が集められ、2階にはエアフィルターから細かいビス1本に至るまでのパーツがきっちり収められている。

 聞けば、ボディパーツやフレーム系、エンジン等を除いたパーツ以外のほとんどすべてのパーツが在庫されているという。「10年で1回あるかないか」というパーツまでも在庫されているというからさすがはACデルコWD。きっちりと責任を果たしているわけである。

 それにしても、とんでもない数である。この雰囲気を写真でどのくらいお伝えできるかは若干不安であるが、この光景は驚きを超え、賞賛しか覚えない。鳥肌もんの光景である。まさしくアメ車1台が出来てしまうだけのすべてのパーツが集まっている。さすが9万点は伊達ではない。

 しかも収められているパーツは、ACデルコだけでなく、GM純正パーツやmoparパーツ、モータークラフトパーツもあり、MOOG等も扱われている。これらは、パーツ商社としてのこれまで培われてきた経験則により日本のユーザーに必要なパーツを、時代背景に即した価格帯からも選定するなどして集められているものという。

阿部商会内でACデルコ等の北米部品関係のまとめ役を務める相蘇氏。年間を通じた本国へのパーツ発注も相蘇氏の部署内で行われている。

オルタネーターやブレーキキャリパーといった定番パーツからビス1本に至るまで、徹底した管理が行われている。その物量感は圧巻のひと言。

エアコンのOリングゴムのようなパーツは、純正品にこだわらず、日本のユーザーの使い方に合わせたパーツを独自で調達し、利便性を高めるなどの企業努力も行っている。

検品を終え、仕分けされたパーツは各棚に素早く並べられる。

アメ車に乗る者をパーツの面で下支えする存在

 そういう意味ではまさに日本のアメ車ユーザーの下支えであり、逆にいえば、これだけのパーツを持つ阿部商会がありさえすれば、アメ車の未来も怖くないとも言えるだろう。(日本のアメ車ユーザーをパーツの面から全面的に支えている存在と言える)

 「われわれはパーツ中心の存在ですが、出て行く(売れていく)パーツの量によって『今、何の修理が多いとか、何のアメ車が流行っている』とかがわかりますし、『なんだかんだ言ってもフォードエクスプローラーの数は多いんだな』とか、業界の事情も結構わかります。そういう意味でもそれぞれの状況に応じたパーツの欠品がないよう年間を通じて全商品に気を配っております。

 また使用したパーツにクレームが発生した場合には、クレームの原因を調査してゼネラルモーターズジャパンへ報告、商品の改善を依頼する等をしておりますので、安定したクオリティのACデルコのパーツを安心して使用して欲しいと思います」と相蘇氏。

 なお、これらACデルコのパーツはアメ車ショップ(デルコディーラー)を通じての販売であり、個人への直接販売は行っていないので注意が必要である。

 アメ車業界のについていろいろ調べていくと、クルマを売る者、クルマを治す者、クルマをカスタムする者etc といろいろあるが、その中でもACデルコはクルマを治す者にとって必要不可欠なパーツの安定した供給により、多くのアメ車ユーザーの一助になっているのである。

 アメ車に乗る者、阿部商会忘るべからず、である。

ACデルコでもまかなえるが、あえて純正品を望むオーナーも多いということでクライスラー系のmoparパーツもストックしている。

同様にモータークラフトパーツもストック。

時代背景に即した価格帯のパーツもストック。MOOGは旧車オーナーたちの使用頻度が高いとか。

■ACデルコに精通した全国のショップ
>>ACDelco Authorized Dealer全国認定ショップ一覧

コンテナを積んだトレーラーが到着。

開封して荷下ろし開始。

スタッフ総出で作業開始、

同時に検品開始。

ベテランスタッフによる早業。

各パーツの棚に並べる。

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