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[試乗記]

5万ドル以下のベスト スポーツセダン オブ ザワールド

2015 ダッジチャージャー SRT392 (DODGE CHARGER SRT 392)

大排気量NAエンジンには往年の息吹が感じられる

707hpのヘルキャット登場で湧いている全米マッスルカーファンをよそに、現地特派員に聞いた2015年型ダッジチャージャーのベストバイはいかに? 

更新日:2014.11.05

文/Sean Murray (訳) 椙内洋輔 写真/クライスラー

パワー重視の超アンバランスマシン

 今全米で一番熱いクルマがダッジチャレンジャーとチャージャーだ。中でもヘルキャットは707hpを発生させ、あのバイパーさえも超えてしまったことで、クライスラー社内のヒエラルキーが完全に崩壊してしまっていると聞いている。実際にバイパーは一時生産調整を強いられる等、今や1万5000ドルの大幅プライスダウンをすることで、とりあえず難を逃れた状況である。

 そんな中でのヘルキャット登場。一気に707hpマシンの登場は、全米に衝撃を与え、これから登場するであろう新型車にも少なからず影響を与えている。

 噂話を少しリークすれば、フォードマスタングのハイパフォーマンスモデルと言われるGT350は、550hp程度と言われているが、それでも相当なパフォーマンスだが、「衝撃度が少ない」とフォード首脳陣は頭を抱えているとかいないとか。まあ身内のバイパーにすらダメージを与えているのだから、ヘルキャット自体の副次的効果はかなりのものだ。

 だが、2015年のチャージャー各種モデルの試乗をすると、思いがけないひとつの結果が得られた。驚くなかれ、乗っていて一番バランスがいいのは、実はSRT392である。

 先に結論を言えば、ヘルキャットは超刺激的マシンだが、超アンバランスマシンでもある。明らかにパワーがシャシーを超えている(ボディの剛性に不安が残る)。だから腕に覚えのある方なら、ワインディングロードでは全域ドリフト状態で駆け抜けることが可能だ。

 ただ、そんな走りをすればタイヤがもたないし、ブレーキも恐らくもたないのではないか。それにATの耐久性にも一抹の不安が残る。チャレンジャーにはMTの設定があるが、チャージャーにはATの設定しかないからだ。ちなみに8速ATは6速直結のギアレシオ。制御もかなり良さそうだったが。

ヘルキャットの登場により、その他のモデルが霞んでしまっているような気がするが、さにあらず。乗って一番バランスが良く、またマッスルカー的な凄みを醸し出しているマシンは、ズバリSRT392であるからだ。

バランスという言葉を使ったが、それはおとなしくまとまっているという意味ではない。SRT392であっても485hpである。パワーだけで言えばC7コルベットよりも上を行くのである。

2015年モデルと言えどもボディ&シャシーは旧型からの流用である。それを考えれば、ある種の限界も見えてくる。SRT392のバランスの良さというのは、そういった総合的な意味のバランスの良さであり、持ち前の体躯にあったパワーこそSRT392だと筆者は考えている。

2005年にデビューした現行型初期モデル。そのデイトナ仕様といった各種バリエーションが度々登場していたのが特徴である。チャージャーは、この初期型が一番の人気であり、中古車市場ではいまだ動きがかなりいいと言われている。

世界的なライバル車と比べても遜色ない性能

 だが、そういったネガを全部飲み込みつつ、あえてヘルキャットを選ぶというなら、恐らくそうした太っ腹なオーナーこそがヘルキャットのオーナーに相応しいのだろうが、これほど刺激的なスポーツセダンは他にないだろう(唯一のライバルはBMW M3だ。コイツはヘルキャットを越える超バランスマシンだが、刺激度ではヘルキャットが一歩上だ)。

 ちなみに、707hpといった馬鹿力を真面目に作るメーカーはそうはないだろう。あってもAMGくらいか。だが彼らが700hpを真剣に作れば、それこそ出来たマシンは25万ドルは下らないはずだ。

 ただ、シャシーやボディ、ブレーキやサスやATがエンジンパワーと総合的にマッチし、ひとつの機械としてまともなアメリカンマッスルカーとして存在しているのは、どう考えてもSRT392である。5万ドル以下の世界的なライバル車と比べても圧倒的洗練されているのが分かるほどだ。

 これから説明するが、このSRT392には、6.4リッターV8エンジンが搭載され485hpを発生させるが、このエンジン、大排気量NAエンジンとして懐かしい息吹が感じられ、まるで往年のマッスルカーのような咆哮がステキである。それにあるコーナーで多少のオーバースピードで進入しても、リアのグリップが抜けずに(抜けてもNAエンジンの緻密なアクセルコントロールで切り抜けられる)バランスの良さが感じられる。

 SRT392の前後重量配分は54対46で、ヘルキャットの56対44よりもフロントヘビー感が弱く、フロントの向きの変わりようが素早く感じられることもあり、ハンドリングの軽快感はかなりのもの。それにプラスして500hp近いエンジンパワーがあるわけだから、十分にスポーティだろう。実際にハンドリングのキビキビ感はSRT392の方が断然上であり十分に楽しい。

デザイン的部分に関しては特に触れていないが、これまもう好き嫌いは好みの問題であって、ディメンションがほとんど変わらないために、お色直し的変化と考えれば良いと思う。

ただ、次回以降のよりベーシックなモデルで触れようと思っているが、2015年型のインテリアは格段に変わっている。質感もデザインも非常に良くなっている。このデザインを「2013年型時にやってもらいたかった」というのが本音である。

SPEC:SRT392
全長:5100mm
全幅:1905mm
全高:1480mm
ホイールベース:3054mm
車両重量:2000kg
エンジン:6.4L V8HEMI OHV
排気量:6400cc
最高出力:485hp/6000rpm
最大トルク:475lb-ft/4200rpm
トランスミッション:8AT

1968年型ダッジチャージャーと言われても、何の関連性も見いだせない方が多くいるのかもしれない。なんせ2ドアクーペでしたから、昔は。現行型しか知らないオーナーさんも多くいる中では、致し方ないかも。

格段に高まったスポーティな雰囲気

 ただし、これに関しては裏があって、ヘルキャットがSRT392に比べて鈍く感じるのは、707hpを解き放った時にベストバランスが来るようセッティングされているからであって、だからこそ通常走行時にはおとなしく感じる状況にあるだけということだ。すなわち、低スピード時からSRT392のようなキビキビセティングを出してしまうと、707hpは危なくて仕方ないということだ。

 乗り心地の設定もSRT392の方が路面からの当たりは弱く、快適であることも見逃せない。ヘルキャットは、そういった部分を切り捨てたことで707hpを実現していることを考えれば致し方ないのだろうが、もしチャージャーとはいえ、実益をも求めるならば、そういったバランスの良さをもったSRT392こそがベストバイとなるだろう。

 ちなみにこのバランスの良さにプラス200hp以上のパワーと硬めたシャシーをもたらしたのがヘルキャットと考えれば、ヘルキャットがいかに凄くてアンバランスかはお分かりいただけるはずだ。

 普通に考えれば当たり前なのだが、もしヘルキャットがなければ、チャージャーのトップグレードはSRT392だったはずである。昨年からの継続モデルであり、熟成されていればこその当たり前の出来の良さである。すなわち太っ腹で刹那的なパワーが欲しければヘルキャット。普通に楽しみたければSRT392と考えていただいて結構だ。

 なお価格だが、V6搭載のベーシックなSEが2万7995ドルから、SXTが2万9995ドルから、そしてスタンダードV8のR/Tが3万2995ドルからとなり、SRT392は4万7385ドルと一気に跳ね上がり、ヘルキャットは6万3995ドルからとなっている。

 次回はV8R/Tのレポートをお楽しみに。

2013年にモデルチェンジしたダッジチャージャー。筆者的にはこの型が一番馴染み深いが、アメ車的な話で言うと一番の不人気モデルだったらしい。

恐らく、その前の型の人気が高く、モデルチェンジ以降もあえて旧型を探している方が多くいらしたという。それも当然の話であって、中古車が動くということは旧型動くということだし。

この型の中古を日本で探す場合は、選択肢がかなり狭まることを予測しておかないといけないと思う。

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>> 2015 ダッジチャージャー SRT Hellcat【動画】 を見る
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