更新日:2020.03.26
文/椙内洋輔 写真/ゼネラルモーターズ
2002年に生産を終了した4代目カマロは、その後7年間の空白期間を経て2009年に再び登場する。5代目モデルのデビューである。
この5代目は、GMのゼータプラットフォームを使用しており、シボレーSSやポンティアックG8にも使用される高剛性のベースプラットフォームとなるが、今回再びモデルチェンジしデビューした2016年型6代目カマロには、アルファプラットフォームと呼ばれる一層進化したベースが使用されているのである。
ちなみに、このプラットフォームはすでにキャデラックATSに用いられており、その効果のほどはご存知のことと思う。
が、ちょっとその前に。カマロについて語るなら、まずはデザインについて考察しなければならないだろう。5代目カマロがデビューした当時の衝撃は凄まじいものだった。いや、賛否両論と言ったほうがいいかもしれない。「マッスルカーの復活」ともてはやされたかと思えば「漫画なみたいなデザインだな」と揶揄されることもしばしばだった。
だが、筆者的には前者の方で、圧倒的な支持派だったし、じつはこの6代目がデビューしても個人的な好みは5代目初期型のデザインだったりする。正直、フロントフェイスをリファインした5代目後期型デザインからカマロとしての迫力を失ったと感じているのだが…。
さて、6代目カマロである。このクルマのトピックスとしては、1・プラットフォームの変更による高剛性ボディと軽量化の実現、2・デザイン的なリファインによるシャープなボディ、3・サスペンションリファイン+軽量化による走行性能の圧倒的向上、4・直列4気筒エンジン搭載車のラインナップ、ということになるのだろう。
まずボディだが、圧倒的にシャープになり、見た目からその鋭さがはっきりと伝わってくる。その印象は、無駄な脂肪が一切ない、鍛え上げられた格闘家ボディのようだ。真横から見るボディラインの抑揚は見事であり、非常にグラマラスだ。
対して旧5代目ボディは引退したボクサーのような感じと言えばわかりやすいか。筋肉ボディを感じさせつつも、薄っすらと身にまとわりついた贅肉によりふくよかに見えるボディ。それでも十分にマッスルなのはさすがアメリカンだが、見栄えだけで言えば6代目のシャープさには叶うまい。
デザインに関して言えば、キープコンセプトというのは誰も目にも明らかであり、逆に5代目カマロのデザインが受け入れられていたことの証明でもある。だからこそ、大幅に変えることをせず、カマロであることを主張し続けているのだろう。
さらに全体的に一回り小さくなったボディサイズは(特に41ミリ短くなったホイールベースによって)、見た目以上にドライブ時の印象を変えてくれる。
<旧5代目カマロ>
■全長×全幅×全高:4841×1917×1376ミリ
■ホイールベース:2852ミリ
<新6代目カマロ>
■全長×全幅×全高:4784×1897×1348mミリ
■ホイールベース:2811ミリ
そのボディを支えるシャシーに関していえば、前記したとおり新たなプラットフォームを手に入れたことでおよそ90kg(前モデル比)の軽量化を果たし、定評のあった足回りの熟成によりグリップ量が増し、それが速さと安定感につながっている。具体的には、フロントのグリップが増し、また限界域でのバランスが良く、素晴らしくコントローラブルであり、マグネティックライドサスの有無にかかわらず、どのかなり領域でもかなり安定しているのである。
くわえて、コルベット譲りの6.2リッターV8LT1エンジンのサウンドやトルク感が非常にマッチし気持ち良く、トレメック TR6060マニュアルトランスミッションおよび8L90オートマチックトランスミッションとのマッチングも良く、455hpという大パワーをいとも簡単に操れるような、まるでレーサーになったかのような錯覚を起こしてしまうほど速く、かつ安定しているのである。
参考までに、試乗したMTモデルはシフトフィールが秀逸でありクラッチのコントロール性も良好。またシフトダウン時に自動的に回転数を合わせてくれるブリッピング機能付きなため、MT好きにはたまらない洗練度をもたらしてくれるからこそ、積極的にMTをチョイスしても後悔はしないだろう。
シートを合わせると、ダッシュボード位置が高く、またサイドのベルトラインも高く、低い位置でドライブするバスタブ感覚は5代目そのものだ。またチョップトップのルーフも同様の感覚を助長するために、リアの視界が悪いのも旧モデル同様なのは、このデザインのなせる技なのだろう(笑)。
とはいえ、走りの質感が大幅に向上しているのは、旧モデル好きでも認めざるを得ず、この点においては同年代のマスタングを確実に越えていると言っていいだろう。
<6代目カマロ/エンジンスペック>
■2リッター直4ターボ 275hp 最大トルク295lb-ft
■3.6リッターV6 335hp 最大トルク284lb-ft
■6.2リッターV8 455hp 最大トルク450lb-ft
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