更新日:2020.11.20
文/石山英次 写真/FCA
ここ数十年のラングラーの概念を根底から覆す1台。まさにハードなラングラー。デビューのきっかけはブロンコ復活に間違いないが、それでも多くの人々が待ち望んでいたラングラーといっても過言ではないだろう。
そう、V8搭載のラングラーである。その昔、1981年に幕を閉じた「CJ」以来の待望の1台。正式名称は2021年型ラングラー ルビコン392。392とはそう、6.4リッターV8エンジンである。
FCAノースアメリカブランド責任者・ジムモリソンは「ジープ愛好家はV8搭載を待ち望んでいた」ということであり、「遂に実現した」と語る。
搭載されるV8エンジンは6.4リッターで470hp、最大トルク470lb-ftを発生させ、0-60mph加速を4.5秒、1/4マイルを13秒でこなす。なんとピークトルクの75%近くがアイドリング付近の回転数から得られるという。
同時に「トルクフライト8HP75」の8速トランスミッションを組み合わせて、オンロードとオフロードでのパフォーマンスの向上を実現している。ステアリングにはラングラー初となるアルミ製のパドルシフトが装備される。
この392エンジンには気筒休止が採用され、エンジン負荷の少ない時点で4気筒を休止する。その一方で、悪路走破時にも燃料供給が滞らないよう高性能燃料ポンプが使用されている。
このエンジンに組み合わされる排気系にはアクティブデュアルモードエキゾーストを採用し、排気システムのバルブを自動で開閉し排圧のコントロールを行うという。
足回りも当然強化され、頑丈なワイドトラックのDana 44アクスル、3.73のファイナルドライブ比、トランスミッショントルクコンバーターのロックアップコントロール、2リンチのリフトアップに新開発のアルミ製モノチューブのFOX製ダンパーを使用し、37インチのマッドテレンタイヤを装備することで、パワーアップしたエンジンに対応し、同時にアプローチアングル、ブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルもそれぞれ向上しているから、悪路における走破性能も大幅にアップしているのである。
今回ベースとなっているルビコンのルーフには、スカイワンタッチパワートップを採用したモデルも登場するのか、オープンエアの楽しさが簡単に得られるようにもなっている。
ラングラールビコンには、各部にブロンズカラーのバッジ類やアクセサリーが装備され、それが最強ラングラーの証明という。
アメリカ本国では「念願のV8ラングラー」ということだが、果たして日本仕様として導入されるかはまだまだ未定。正規輸入がなくともグラディエーターのように当然直輸入されるだろうから、日本でも来年の春くらいには上陸するのではないかと考えている。
最近では、ラングラーは外車好きやラングラーファンに支えられているとよく言われている。たしかに日本の正規ディーラーにはそうしたユーザーが多い可能性は高い。だからこそ4気筒ターボモデルもよく売れているのだろう。
だが、今年発売されたグラディエーターなどは確実にアメ車ファンからの支持を得ているし、来年登場のこのルビコン392も当然アメ車ファンからの支持を得ること間違いないだろう。
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