シボレーインパラと聞けば、様々な反応が出ると思う。人によっては60年代を指し、例えば64年型インパラコンバーチブルを思い浮かべる人もいれば、67年型のクーペとかインパラSSとか、走り系のインパラももちろんあるだろう。
一方で90年代のインパラもあるし、とにかく幅広いファンがいるのがインパラである。
で、今回取材したモデルが69年型。人気の67年型からフロントマスクがより個性的になっているモデル。翌70年モデルがあっさり系のフロントマスクに変わっているから、ディープなインパラのデザインが味わいたければ69年型までと言われている。
が、正直、筆者的には初めて見たモデルであり、「デザインにアクの強さを感じるなぁ」というのが第一印象。プラスして「やっぱりアメ車だなぁ」とも思った次第。とにかくボディラインが素晴らしく素敵なのだ。

▲69年型インパラ。車高が落ちホイールが交換されている以外ほぼノーマル状態が維持されている。

▲日常的に使用されているということで、それなりのヤレがあるが、それがいい味わいとなって現れている。
取材個体は、車高が若干下がり、アメリカンレーシングのホイールが装備されている以外、外観はノーマル状態を維持している。くわえて所々に見えるボディのヤレやサビ等が使い込まれた年季を感じさせるし、実際に足として使われているというからお見事である。
インテリアも、サブメーターが追加されている以外ノーマル状態を維持しており、使われているオーディオも当時のものというから、オーナーさんのこだわりが随所に感じられる。
ここ数年様々な旧車を取材してきたが、この個体はとにかく運転席周りの雰囲気が素晴らしく良いのである。
さて、この個体であるが、もともとは327キュービックインチV8エンジンが搭載され、3速ATと組み合わされていたという。が、現在は350キュービックインチのV8が積まれている。

▲エンジンは350TBIに換装されている。

▲ご覧のようにエンジームに対してエンジンのサイズが小さいからスペースに余裕がある。

▲キャブレターはエーデルブロックの550cfmに交換されている。このキャブレターは4バルブ2ステージのキャブレターであり、一つのスロットルボディの中に2バレルのスロットルバルブが前後に二組入っている。
この個体を整備しているレーストラックの高橋氏によれば、「入庫した時点ですでにこのエンジンが積まれていた」ということであり、「いつ換装されたかは不明」ということだが(現オーナーさんが入手した時点でこのエンジンだった)、「各部はしっかり組まれている」ということで、機械的な不備は全くないという。
だが。キャブレター等は使い古されたもので、調子に悪さを抱えていたため、交換&整備。同時にマニフォールドも交換し、水回り等の整備も行うことで、真夏の走行も可能になった。もちろん、エアコンも稼働する。
「もともと装着されていたホーリー製のキャブレターのヤレを解消するために新たにエーデルブロックのキャブレーター550cfmに交換しました。そして室内にチョークワイヤーを新設して始動時のアイドリング調整を行うことで、年中安定した始動が可能になっています」

▲当時の面影を色濃く残すインテリア。これだけでも価値が十分にありそうだ。

▲エアコンのスイッチも現役。もちろんエアコンから冷風が出る。

▲オーディオ関連も当時のものをそのまま利用。

▲各種メーター類ゲージ類も稼働し、その雰囲気がたまらなく魅力的。
夏でもエアコンから冷風が出て、オーバーヒート気味になることも全くないといういうから素晴らしい。くわえて撮影時にも驚いたが、とにかく始動が軽やかで常に安定しているし、何ならインジェクション車よりもかかりが良い印象だった。そして不安定さが微塵もない。
続けて聞けば、「頻繁に乗っていることと、プロによる調整が効いている」ということだ。
今も都心、特に渋谷とか表参道とかで結構な数の旧車を見かける。ネットでも旧車系の記事や動画がたくさん流れている。と同時に有名人関連の方も愛車として乗っているのだろう。
そうした経緯もあってか、各方面で旧車系の問い合わせが多いということだから非常に良い傾向だと思う一方で、どうせ乗るなら機関系くらいはまともなコンディションで乗って欲しいと思う。
「キャブレター車は怖い」という印象をお持ちの方も多いと聞くが、こうしてきっちり調整された個体なら一発始動で難なく足として使えるわけで。それでいてデザイン的にも素晴らしく、独特なフィールが感じられ、人ともあまり被らず個性が発揮できるのだから。

▲シートはリペアものが使用されていたが、それでもヘッドレスト部分にはヤレが見られる。

▲日常的に使うにあたりサブメ−ターにて各種管理されている。

▲ホイールはアメリカンレーシング。これがまたよく似合っている。
「57年前のクルマですからね、日本車みたいな感じで乗れるわけではないということは理解されていると思います(笑)。ですが、アメリカにはこうしたクルマたちを生かすためのパーツがごまんとあるわけですから、それを使って正しい管理をすれば、想像している以上に『普通』に乗れるんです。ですから、やみくもに怖がらず、でも軽く考えずで接して欲しいと思います」と高橋氏。
現代の車両はコンピューターで埋め尽くされた、ある意味電子機器に近い存在だが、こうした旧車は、旧時代のメカニズムで覆われているから、エンジンを支える「点火」、「電気」、「燃料」供給といった部分をしっかり整備することで、もう少し枠を広げれば「水回り」を加えることで、普通に乗れることが多い。しかもそれらのどこかにトラブルが起これば原因究明がしやすい。
そのためには、旧時代のメカニズムに精通したプロの存在が必要になるのは言うまでもない。

▲旧車ならではのデザイン的魅力が満載のインパラ。ラウンドしたリアウインドーが素敵だ。

▲デザインチックなリアテールも全て稼働する。
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