コルベットというアメリカ初の量産スポーツカーが、MGやジャガーといったブリティッシュ・スポーツカーに対抗して誕生したように、コンパクトカーのマーケットもまた、VWビートルなどの台頭をきっかけにして、シボレー・コルベア、フォード・ファルコン、プリマス・バリアントといったアメリカ製の小型車が誕生した。なかでもシボレー・コルベアは、スペシャルバージョンのコルベア・モンザが好調な売れ行きとなり、小型スポーティカーの主役として一躍マーケットに躍り出た。このモンザのヒットに注目したのが、マスタングの生みの親であるアイアコッカだった。1964年にデビューしたマスタングは、たったの4か月で10万台を販売するという驚異的な売れ行きで、「ポニーカー」というスポーティカーの市場を確立してしまった。
マスタングの成功を目の当たりにしてGMの首脳陣もついに動き出した。マスタングが開拓したポニーカーのマーケットに打って出るため、打倒マスタングを目標にしたカマロの開発が進められたのである。ちなみにこの「CAMARO」というネーミングは、シボレー車はすべて「C」で始まる言葉でなくてはならないという不文律があったために決まったそうだ。確かに当時のクルマはコルベット、コルベア、シェベルなど、すべて「C」から始まる名前が付けられていた。
1966年の9月、67年モデルとしてデビューしたカマロだが、思ったほどの販売成績は上げられなかった。注目はされたのだが、実際に買われたのはマスタングの方だったのである。そこでシボレーは、様々な特別仕様車を作り出すことで話題性を高めようと画策した。トランザムレース用のハイパフォーマンスモデルである「Z28」や、ロードレーサーであるドン・イエンコが開発したスペシャルモデルの「イエンコ・カマロ」などはその代表例だ。ほかにもインディ500マイルレースのペースカーにカマロが選ばれるなどして、ニュース性の高まりとともにカマロの販売台数も徐々に伸びていったのである。
今回取材した車両は69年型のカマロ・RSパッケージであるが、この69年型と、その翌年にデビューする2世代目のカマロは、66年にカマロがデビューした直後から開発が進められていた。カマロには、その当初からオプショナルパッケージとしてRSとSSというパッケージが用意されており、SSはRSパッケージと合わせて装備することも可能だった(Z28でもRSパッケージを選択することが可能)。
このRSパッケージの最大の特徴は、何といっても電動式のヘッドライトカバーだろう。ヘッドライトを点ける時にライトを隠しているリッドがセンターにスライドしてグリルの中に収納されるというもので、69年型ではこのリッドに3分割の明かり窓が付いたため、リッドが閉じたままでも明かりがもれるような仕組みになっている。その他、エクステリア上の特徴といえば、フェンダーに採用されたブリスタースタイルが挙げられる。ホイールアーチの前側からボディサイドへと続くラインのことで、メルセデスベンツ・300SLに採用されていたこのブリスターが69年型カマロから取り入れられたのである。
搭載されるエンジンは、V6OHVとV8OHVとがあり、V8のベースユニットは307ci。69年型から新たに350ciも追加された。トランスミッションは、これまでの2段変速に代わってすべてのモデルに3速ATが採用された。MTはオプションだが、Z28はMTのみの設定になっている。
初代カマロは、否定的な言い方をすれば、あくまでマスタングに対抗するための商業主義的な考えで生み出されたモデルであった。しかしその反省から、70年型から始まる2代目のセカンドカマロは、ベビー・コルベットをコンセプトとする、よりスポーティなクルマに進化することとなったのである。
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