更新日:2012.01.07
文/田中享(Tanaka Susumu) 写真/佐藤安孝(Sato Yasutaka/バーナーイメージズ)
取材協力/HOT STYLE CUSTOMS TEL 075-671-3005 [ホームページ]
2009年のセマショーで1台のベビカマが話題となった。
実はセマショーの会場では初代カマロは決して珍しい車種ではない。さすがに最新モデルほどの出展はないが、毎年数台は新作のモディファイドカマロを見かけるし、カスタムの本場アメリカだけに、中にはとんでもなくハイレベルなプツーリングやハイテックも散見できる。そんなセマショーにおいて、どうしてそのカマロが来場者の注目を集めたのか?
答えは簡単、そのカマロが日本在住の日本人オーナーの愛車だったからだ。
日本人として初めて愛車をセマショーに出展することに成功したオーナーの名はAkiraさんという。尼崎生まれ、京都在住の40歳(2009年当時)。彼は別に大金持ちのボンボンでもなければ、ネット長者でもない。普通のサラリーマンよりは稼ぎがあるが、だからといってお金を湯水のように使えるわけでもない、くごく普通の青年?である。
そんな彼が、一体どうしてセマショーに愛車を出展しようなどと思い立ったのか? その辺を中心にインタビューしてみた。
アメ車ワールド(以下AW):今回はセマショー出展おめでとうございます!
Akira:ありがとうございます。
AW:まず最初に、Akiraさんが愛車をセマに出展しようと思ったきっかけを教えてください。
Akira:3年前に、生まれて初めてセマショー見学に来たんです。ちょうどその年はニューカマロのコンセプトカーが発表された年だったんで、新旧のカマロがメッチャ出展されていたんです。もちろん俺の愛車と同じ初代カマロもたくさん出展されていて、なんか触発されたというか…、無性に俺も出したいって思っちゃったんですよね(笑)。で、一緒に来ていたホットスタイルカスタムズの岡社長に、「社長、俺もカマロをセマに出したいねんけど」と相談したんです。
AW:その時の岡社長のリアクションはどうでした?
Akira:「えっ? 何言ってんのー。お金も半端なくかかるし、大変なことやでぇー」って(笑)
AW:なるほど(笑)そりゃもっともな意見ですねー。
Akira:はい(笑)でも、俺はマジだったんで「もし出れるんやったらお金は何とかするー」言って。そしたら、「よっしゃ、分かった。いっちょやったるかー!」って感じで(笑)
AW:んー…凄いというか、関西系のノリと言うか(笑)でも、そうは言ってもいざ実行するとなると、色々と大変だったでしょう?
Akira:そうですね。たぶん、ただ出展するだけだったらそれほどでもなかったと思うんですが、出るからにはこっちのカマロにも負けないクルマに仕上げたかったので。結局、外装、内装、足回りと全部一からやり直すことになって、当初の予定よりも時間がかかりましたね。
AW:そうでしょうねぇ。でも、これでその苦労も報われましたね。
Akira:はい! 通りすがりのアメリカ人から質問攻めにあって嬉しいやら大変やら。「通訳さんを雇っておいて良かったー!」って感じです(笑)。正直言って、俺のカマロがアメリカ人にウケるのか、不安もありましたから。
AW:わざわざ日本から持ってきた、ってこともあるんでしょうけど、ホント注目を浴びてますよね。こっちのハイテックやプロツーリング系のカマロと比べて、何か特別なことをやってるってわけでもないのに…
Akira:たぶん、日本人ならではの繊細な仕上がりがウケてるんじゃないですかね?こっちのカスタムカーって、内容は凄いけど、結構ラフなとこがありますからね。
AW:なるほど、そうれは言えるかもしれませんね。ところで、セマショーが終わったら、このカマロはどうするんですか?
Akira:もちろん日本に持って帰ります。とりあえず目標を達成できましたからね。これからはガンガン乗り回しますよ!
実はAkiraさんがカマロをセマショーに出展するという話は、プロジェクトの開始当初から知っていた。Akiraさんが最初にセマショーを見学した2006年のセマショーは筆者も取材で行っていたし、その際に彼ら一行とも会っていたからだ。また、その後もホットスタイルカスタムズの岡社長から「Akira君のカマロを仕上げ直してセマショーに出そうと思ってる」といった話を聞いていた。しかし、その話を聞いた時の筆者の正直な感想は「ホントに出来たら凄いけど、ちょっと難しいんじゃないかなぁ…」といったものだった。
しかし、インタビュー中にもある通り、Akiraさんは様々な困難を乗り越えて初志貫徹してしまった。2009年のセマショー会場で最初にAkiraさんと目が合った際の彼の嬉しそうな顔を、筆者は今でも鮮明に思い出すことができる。
12,810円
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