更新日:2012.11.19
文/石山英次 写真/ゼネラルモーターズ
先代のサバーバンは2000年にデビューした。その前年(1999年)、ベースとなるピックアップのシルバラードが久々にモデルチェンジしたことを受け、新たに生まれ変わったのだ。
変更点はいろいろとある。エクステリアのデザインは全体的に丸味を帯び、厳つい感じは薄れた。ボディパネルがすべて新しくなったことで新鮮味を持ったとも言える。またエンジンやシャシーにも手が入り、ひと言で言えば、先々代のトラック的な雰囲気が薄れ、SUVとして、乗用車として進化したのである。
見慣れた先々代ボディは92年から99年までのリリースだったので、実質8年間生産されていたことになるが、この先代型は2000年から2006年までの7年間となる。
ハードウェアは、エンジンがメインとなる5.7リッターV8エンジンが5.3リッターへとスイッチしている。同じボルテックと呼ばれる吸気系のレイアウトを持つが、ブロックから見直されている。補記類と合わせ、ボンネットを開けたときの印象は大きく変わった。そして、パワーは排気量を落としながらもちゃんと上がっている。先代の後期が255hpに対し、285hpという数値を絞り出す。
ただ、この馬力アップはドーンという加速に直接つながるものではない。どちかというと吹け上がりがスムーズで軽快さが増したといった印象だ。
ちなみに、このエンジンは旧型からヘッド部分が異なり、さらにアルミ化、小型化(ロッカーアーム、プッシュロッド等)されたことで車輌の前後重量バランスに長けただけでなく、搭載位置を下方にずらすことで重心位置が低くなり、フロントの旋回性能向上へと寄与しているのである。
リアサスもまた改良された。ピックアップ系の王道ともいえるリーフリジッド式は、5リンクのコイルリジッドにスイッチした。これはそのまま乗り心地に反映している。リーフリジッドにもそれなりの利点はあるが、乗車時のフィーリングはコイル式に軍配が上がる。具体的にはリアに荷重がかかっていないときの上下方向の突き上げ感が納まった。これで、サードシートで乗り物酔いする人は減るだろう(笑)。なお、シルバラードは、リーフリジッドのままである。
日本に入ってきているサバーバンのサスペンションはほとんどスタンダードだが、本国には用途に合わせたいろんなチューニングサスがあったという。プレミアムライド、ファームライド、オートライド、Z71オフロードパッケージ(コレ、意外にシブイ選択)がそれだ。要するに、オンロードでの硬めと柔らかめ、オフロード用、といったような分け方がなされていたのである。
エンジンは5.7リッターV8から5.3リッターV8へと変わり、小型&軽量化が施されたことで、先代型とはまったく違うエンジンに生まれ変わっている。体感的にも静かになり、しかもフラットトルク。出足から高回転までの加速感がかわらず、効率の良さでも定評がある。一方、先代型と比較すると、出足のパンチ力と中間加速までのトルク感が目立たなくなっているが、全体のバランスから考えると、決して悪いエンジンではない。
それ以前のインテリアからすると、俄然質感が上がっている室内空間。質素であることは変わりないのだが、そこに使われている各部のマテリアルは確実に上質になり、車格に見合った雰囲気を醸し出している。そう言う意味では、トラックと決別した進化が伺えるのである。ちなみにこうしたインテリアの造形は、タホと同様である。
本国でのサバーバンの使われ方だが、調べてみるとじつに多方面で重宝に扱われていることが分かる。ホテルやレストランの送迎から、工事現場、修理やメンテのサービスカーまでじつに様々だ。もちろん、プライベートカーとしても選択される。奥行きはあっても縦方向に制限のあるアメリカンガレージだが、そこにすっぽり納まるから問題はない。
こうしたあらゆる用途に対応できるのがサバーバンの魅力であり、このクルマを選ぶメリットだろう。マックス9名乗車ができるキャパシティと、シートを外したときのユーティリティが、あらゆるニーズをカバーするのだ。
日本でも、このユーティリティは魅力である。日本車の場合だと、サバーバンほどのユーティリティを得ようと思えば、基本的にはミニバンとなる。もしくはハイエースといった商用的なバンか。だがサバーバンには、ミニバン並みの居住性と積載性を持ちながらも乗用車的なドライブフィールを持ったファントゥドライブなハンドリングが付いて来る。さらに大排気量NAエンジンがもたらす精神的な「ゆとり」がある。
そしてアメ車好きのなかには、コイツをカスタマイズする者も多かった。シェビーというメジャーブランドだけに社外品も多く、アフターパーツには困らなかたのである。一時ハマーH2やエスカレードに譲ってはいたが、それでもカリフォルニアあたりではいまだにド派手なサバーバンを目にすることがある。けた外れのビッグフットともなれば、口を開いて眺めるしかないが…。というように、利便性を持ちながらおもちゃにもなるのがサバーバンだ。
先々代ボディと比較して、クルマ全体が大きくなり、室内も広くなり、さらに車格にあった乗り心地と静粛性を持ち合わせている。メカニズムにおいても確実に進化し、高性能化されている。そういう意味では、確実に乗用車化したのである。
ミニバン並みの居住性と積載性を持ちながらも乗用車的なドライブフィールを与えてくれるのが、サバーバンの真骨頂。
<SPEC>全長×全幅×全高:5570×2002×1862mm、ホイールベース:3302mm、エンジン:V8OHV、排気量:5328cc、最高出力:285hp/5200rpm、最大トルク:44.9kg-m/4000rpm、トランスミッション:4速AT、乗車定員:8名、車両重量:2323kg、ブレーキ:4輪ディスク、サスペンション形式:フロント トーションバー/リア 5リンクコイル
全長で約50センチ長さが異なるタホもまた、アメリカではもちろん、日本でも人気モデルの筆頭に挙がる。95年にブレイザーからタホに改名するものの、依然として確固たる地位を築いている。タホとは、カリフォルニア州にあるレイクタホ、つまりタホ湖の名前。ジープのテストコース、ルビコントレイルからも近いここは、4WDの聖地ともいえるエリアだ。シボレーはこの名を付けことで、新たなマーケットへの訴求を試みたのである。
こうした流れのなか、90年代後半には起源ともいえるショートボディの3ドア版は消え、すべて5ドアとなった。この辺は市場のニーズによるところが強い。さらに先代型では、それまでサバーバンの特権とも思えたサードシートまでオプションで用意されていた。こうなればもう、その違いは名前しかないとも考えられなくもない。
ということで、サバーバンとの違いはやはり50センチのボディ全長と車重の違いに集約される。ホイールベースとリアのオーバーハングにより生み出されたこの数字が各車の個性となる。この違い以外では、先々代のエントリーでも紹介したように、サバーバンとしての「歴史と伝統」が最大の違いとなるのである。
ここで、ひと目で両者を見極めるコツをひとつ。知ってる人は当然と思うが、リアドアのカタチがそれぞれ異なる。サバーバンはフロント同様四角いが、タホはリアのホイールハウスにかかる分、そこがえぐれるカタチとなる(だから当然ウインドーの下がり具合も異なる)。つまり、乗降性でもサバーバンの方がリアシートを重視しているというわけだ。
そのほかの違いは、快適装備を中心とした標準装備とオプション類となる。だが、日本に入ってきた車両はオプション設定などがマチマチなので、これは何ともいえない。
エンジンを含んだハードウェアもこの2台でさして違いはない。ラインナップは、サバーバンが5.3リッターと6リッターが標準で、オプションに8.1リッターが用意された。
これに対し、タホはエントリーモデルのLSの4.8リッター(275hp)を標準とするが、オプションかつ上級のLTの標準は5.3リッターだった。サバーバンの方がデカイ分、大きなエンジンも選べたということになる。このほかでは、2003年モデルからキャデラックのパッセンジャーカー系で知られる「スタビリトラック」がオプション設定される。ABSとトラクションコントロールを同時にコンピューターで作動させることで、低ミュー路でクルマの挙動を安定させる装置だ。
日本では、この先代型までであればサバーバンとタホの市場における差はほとんどない。タマ数も豊富にあるし。だが、現行型になるとサバーバンの存在が急激に希薄になり(時代的な問題もあった)、タホ一辺倒になっていることを考えると、サバーバンを手に入れるなら、この先代型こそが、メインターゲットとなるのである。
こちらがサバーバン、下の写真がタホとなる。見れば分かるが、本当に瓜二つ。基本的にホイールベースとリアのオーバーハングと車重の違いしかない。誤解している方がいるかもしれないが、サバーバンとタホの全長と全幅は同じである。だから、基本タホが運転できれば、サバーバンも運転できるはずである。サバーバンが唯一苦手とするのは、駐車スペース探しとその場に止める時の立ち振る舞いだけである。
クルマとしての機動力はタホの方が上である。だが、高速道路での直進安定性や歴史と伝統はサバーバンに軍配が上がる。中古車ならサバーバンの魅力も堪能しやすいだろう。
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