装着したスーパーチャージャーは、ウイップル製のインタークーラー付きスーパーチャージャー。ベースとなるタホのV8は285hpというスペックだが、装着によりざっと400hpオーバー。調整次第では450hpも可能という。
くわえて、すでに装着されているへダースとのマッチングにより、出だしの勢いというか吹け上がりの鋭さが一段と増し、街中、いわゆるストリートでの楽しさを倍増させるという。
さらに22インチホイールにウイルウッドの大径ブレーキを組み合わせ、ストッピングパワーの強化も抜かしなし。
コルサのマフラーチップが輝くタホ。エンジン始動時には驚くほど野太いサウンドとともに一発始動。走り出しは非常に穏やかなるも、流れの良い一般道でアクセルを踏み込めば激変の片鱗が一瞬で伺える。まさしく後ろから蹴飛ばされたようなダッシュ力。
ちょっと大袈裟に言えば、あの「ヘルキャット」よりも断然荒々しいし、瞬発力では互角のような気すらさせる。
「まるで蹴飛ばされたような加速力」とは、かのポルシェターボの加速ダッシュを例えた名文句だが、今回のタホも獰猛な唸りをあげた暴力的加速感が、蹴飛ばされたような激しさを物語る。
「これだけ重い車重のフルサイズSUVをこれだけ軽々走らせるとは」、「アメリカ製アフターマーケットのスーパーチャージャーは侮れん」、「凄い、凄すぎ」。
それでも制作者の高橋氏いわく、「意図されたウイップルの指示よりも抑え気味に調整したんですよ」という。
もう少し詳しく聞くと、スーパーチャージャー装着後は、付属の機器によりコンピューターの調整が必要になるが、あえてガソリン量を減らすなど、日本独自のアレンジを利かせたという。指示通りの数値でセッティングすれば、それこそ450hpオーバーも可能だったというが、日本には四季があり、季節ごとの変化を考えるとアメリカの道をベースにセティングされた指示ではかぶりが起きたり、始動性が悪くなったり、またそれ以外の微妙な変化が出てしまう可能性があると。
だからこそ、年中同じような調子を維持するためにも、あえて「抑え気味+日本の道路事情」を加味したセッティングを施したという。まさに見識。さすがである。
とはいえ、抑え気味とは言われても、今回のような激しい加速ダッシュを味わえば「450hp」といわれてもついつい信じてしまうようなほどの威力である。
再び聞けば、「そこがアフターマーケットの400hpの面白さです。たとえばトヨタの400hpマシンだとすると、万人が扱いやすい400hpでなきゃいけない。
だから「ホントに400hp出てるの?」とか「慣れちゃった」というような反応が出やすいと思いますが、アフターのパーツであれば、同じ400hpでもこれだけの爆発力が示せます。
もしかしたら、実際に加速競争をすればトヨタの400hpの方が速いかもしれませんが、街中や高速道路といった普段われわれが使用するステージでの楽しさや変化の体感は圧倒的にアフターの方が上です。
そもそもアメ車の醍醐味って、大きやさスタイルやV8といった特殊性にあると思いますので、その一部分に手を加え伸ばしてやることで、アメ車でしか体感できない「味」がよりディープに楽しめることになると思うのです。
考えても見てください、あれだけの巨体がこれだけの加速をする。それって欧州車の世界には存在しませんよね」
なるほど。最近のワールドワイドなアメ車にはなくなってしまった、もしくは薄まってしまった個性。そこをちょっと引き伸ばしてやった特別仕様。まさしくそれが今回のタホであった。
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