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遂に組み上がった新エンジン

ダッジ ダコタ (DODGE DAKOTA) リフレッシュ vol.2

調整&慣らしを兼ねて試乗インプレッション

20万キロを走行したダッジダコタのエンジンオーバーホールと共にカムを換え、その他エンジン内部構造に手を加えたV6エンジンに再び火が入る。重厚感溢れるV6エンジンに一同感動!

更新日:2013.04.26

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

エンジンオーバーホールと共にポーと研磨も

 前回紹介したリフレッシュvol.1にてお伝えしたとおり、エンジンオーバーホールとカムの交換を行ったダッジダコタ。このエンジンは3.9リッターV6エンジンで、ノーマルスペックでは一応175hpということになっている。

 今回のオーバーホールにおいては、パワーに関して不満があるということではなく、乗って楽しいエンジンに仕上げたいとの意向で始まった。あくまでフィーリングを重視し、この先再び長く乗って行くためのチューニングである。そのためにいたずらにパワーを追い求めることなく仕上げることになったのである。

 で、約1ヶ月半が経ちその間にも取材を進め、エンジン内部のホーニング作業のレポを掲載し、その後吸気、排気のポート研磨も行われていた。

 ノーマルエンジンをバラしたところを見せてもらったが、う〜ん、あまり適切な言葉がでないが、内部は結構雑だった(笑)。「ちょっと昔のアメ車のエンジンってだいたいこんなもんよ」と高橋氏は言っていたいが…。

 たとえばポート部分。ひとつひとつ見て行くと、中心がずれていたり、ひとつひとつ状態が異なっていたり…。けど、それでもある程度の馬力とトルクを排出しているわけだから、そういった部分をひとつひとつ調整しなおしてやることで、エンジンが生き返るとも言えるのだが…。

 「たしかにそうで、ボクなんかはこういった部分を含めて、アメ車のエンジンは余力をたくさん残しているって逆に考えているんですよ」

 かつて某アメ車の巨匠も語っていたが、「国産車のエンジンは、それこそカローラやシビックなんかでもそうなのだが、出来上がった瞬間の精度が高過ぎて、『これ以上何もできない、もしいじるならレーシングエンジンにでもしないとね(笑)』。一方でアメ車の場合は、とくにちょっと古めの車輌なんかのエンジンは、それこそ精度という言葉とは無縁なんで、バランスを取り直し、精度を高めてやることだけでも、ぜんぜん変わるんだよ」と言っていたことを思い出した。

 恐らく、高橋氏の言っていることも同じことなんだろう。そういう意味では、今回のオーバーホールは非常に楽しみである。

ご覧の通り、エンジンを降ろしオーバーホールを行っていた時の写真。ここまでバラして下記のようにまた元に戻せるのだから、メカニックってやっぱり凄い(撮影:石山)。

完成後に撮影したエンジンルーム。オーバーホールと共にカムシャフトを換え、ホーニング作業やポート研磨、その他調整作業を行った。ノーマル時175hpを発生させていた3.9リッターV6エンジンは、馬力向上と共にまるで生き物のようなフィーリングと鳴き声を発する。たまらなく気持ちいいエンジンだ。

ポート研磨を行う前(上)と行った後(下)の写真。写真にはないが、吸気、排気ともに行っている。このポート研磨とは、吸気排気から流れるエアの流れを流体力学的観点から改良し改善を図るもの。やはり職人的な技術的経験値が必要となる。

ダコタのボディサイズは意外にも小さく(今となっては余計に小さく感じる)、シングルキャブなので、まるで2シータースポーツカーのような雰囲気である。エンジンの感触は、すでにトラックのそれを越え、ホンダのスポーツエンジンのようでもある(笑)。

まるでひと昔前のVTECエンジンのような…

 今回ダコタに応じてオーダーされたカムは、ダコタ本来の持ち味である中低速トルクを一段とアップさせることを目的としたカム。マックストルク1500〜3000rpm、最大回転数4500rpm程度を想定したもので、その他へダースやマフラー等で味付けされる。さらに上記のポート研磨などが加わって、全体を調律したダコタV6エンジンは果たして一体どうなったのか?

 約1ヶ月後に連絡をもらい遂に完成取材となった。実車を前にしてエンジンルームを眺めながら改めて思うが、よくもまあ、あそこまでバラバラにして、ここまで普通に組み上がるものだな〜と、メカニックなら当たり前にできる作業に感心しつつ、早速エンジンをかけてみた。

 分かっていたが、「ボー」っと奏でる野太い排気サウンドとちょっとラフなアイドリングに感動する。まだ組み上がってほんのちょっとしか走っていないから、慣らしも兼ねた試乗ということで、一般道を普通に走ってきたが、それだけでもかなりの衝撃だった。

 低速から「ギュイーンギュイーン」とメカニカルなサウンドを発するエンジンは、ちょっとアクセルを踏み増せば、その分ちょっとでも即応してくれる素晴らしいフィーリング、そして軽々吹け上がる!

 信号でストップした後の発進時に、ある程度強くアクセルを踏むと、1500rpmくらいから5000rpm前後のレッドゾーンまで一気に回転上昇し、その際のフィーリングは何とも言えない心地良さ。「こんだけ息の長い加速ってアメ車じゃ珍しいな。う〜ん、なんだろ? この感じ? 10年くらい前にシビックタイプRに乗ったときに感じたあの気持ち良さと同じような回転感覚か」

すでに装着されていたへダースは、ある意味料理で言うところの調味料的存在。だが今回は、ベースとなる素材自体に手を加えることで、また違った味わいが出てくるはずである。

ダコタ用にオーダーしたカムは、事前の打ち合わせで想定したエンジンに合うようレーストラックがワンオフで本国発注したもの。逆にいえば、事前の想定時に希望するチューニングレベルによっては、いろいろなエンジンに仕上げることも可能という。今回は中低速を一段と強化するレベルで依頼した。

素材自体に手を加えて出した旨味

 ちょうどこの2週間くらい前に取材したV6ダッジチャージャー改ともまた違った雰囲気。正直、体感の速さとしてはチャージャーV6の方が速い気もするが、エンジン自体のフィーリングや回転感覚および吹け上がりの質みたいなものは、個人的にはこのダコタの方が好みである。みっちり中身の詰まったものが正確に動いている感覚とでも言おうか。そこら辺を含めて高橋氏に聞いてみた。

 「この前取材したブラックのV6チャージャーは、V6エンジンはそのままに、それにまつわる周りのパーツでフィーリングを改良したもの。言ってみれば素材はそのままに調味料やかけるソースで味付けを変えた肉料理みたいなものです。一方このダコタは、素材となる肉自体にも手を加えてその他調味料やソースと複合して出来た料理なので、当然こちらの方が素材の良さ旨味を引き出すことが可能になるでしょう」

 たしかにおっしゃる通り! の違いを筆者も確認した。ダコタのエンジンはまるで生き物みたいな感じに変わっていたのである。

 最近、どの取材をしても、良い良いと吼えているので説得力がないかもしれないが、このV6はほんとに面白い。ちょっと適切な言葉が見当たらないが、非常に機械っぽくて重みがある感じでしかも心地良い。重みがあるというのは、重量が重いってやつじゃなく、なんというか。

 あんまり上手い表現じゃないかもしれないが、機械式時計と同じような重厚なフィーリング。今の時代、携帯電話でも時計としての機能が十分果たせるのに、あえて40、50万も出して購入する機械式時計と一緒の感覚。もっと安いクォーツ時計でもいいのに、あえて自動巻の時計を選ぶ感覚のひとつに、あの重厚なフィーリングを好む人がいるのと同じ感覚。一度あの感覚を知ってしまうと、二度と軽い時計ははめられない…。

 そんな魅力に満ちた感覚がこのV6にも宿っている。デジタルじゃないアナログ的な質感。そして重くはないんだけど、感じる重厚感と突き抜けるような軽快感。世界に1台のダコタが誕生したわけである。

 追記。それにしてもアメ車って面白い。たしかに国産車ほどの精度はないかもしれないが、アメ車にはクルマとともに成長できる余地余力がずいぶんと残されている。この面白さ、知るとなかなか抜けられない。

スポーツトラックらしさ溢れる仕様となっている98年型ダッジダコタ。今回、エンジン作業の他にリアガラスやリアテールをブラックアウトして雰囲気を高めている。

このダコタ、こんなにも素晴らしく心地良いエンジンになったにもかかわらず、コラムシフト(笑)。アメ車らしいけど。ある程度の重みがあるものが回転しているという重厚感と突き抜けるような吹け上がりの軽快感の両立によって街中をゆっくり走っているだけでも当分の間は悦に浸れる。オーナーさんにとっても世界に1台しかないダコタに、きっと興奮するに違いない。

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