TEST RIDE

[試乗記]

BUBUのBCDに展示されるオイルショック後の光る原石的マシン

1973 ダッジチャージャー SE

洗練されたデザインとコンディションの良さ

チャージャーの代表的年代とはちょっと異なるが、それでも今見れば驚くほど感動できるコンディションの73年型SE。素晴らしく洗練された大人のクーペといった感じであった。

更新日:2019.10.24

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

オイルショック後の光る原石的なマシン

 往年のダッジチャージャーと聞いてパっと思い付くのが68年や69年の超男臭いマシン。映画等で主人公に対する悪役、もしくはダークサイドなヒーローの愛車として取り上げられることが多いクルマである。

 だから、日本でもこの年代周辺のチャージャー人気は高く、当然アメリカでの評価も高く、しかも旧車価格がどんどん高騰していることも影響し、おいそれと手が出せるクルマではなくなった。

 だが、こうしたマッスルカーとしての評価軸を持たない人間にとっては、あくまでチャージャーはチャージャーであって、旧車としての価値よりもそのデザインや歴史的な背景に興味を持つ。個人的には、ちょっと落ちぶれた時代のクルマにこそ、ものすごい興味を抱いたりする。

 アメ車で言えば、オイルショック前後で車両の評価が180度変わってしまうのだろうが、そこまでアホみたいにパワーにこだわる必要はないと思っている。なんせアメ車には素晴らしいデザインがあるわけだから。

 だから超メジャーな年式のマッスルカーはもちろん素晴らしいとは思うが、なんかこれみよがし感が強すぎて、ちょっと笑えちゃう。それよりも落ちぶれた年代の中から光る原石的なマシンを見つけ、知る人ぞ知る的な乗り方をしている人の方に断然惹かれたりする。

 服でも、「今年は赤が流行る」から赤を着ていたり、フリースなんか好きじゃないのに流行に乗って着ていたりするのが大嫌いで、「もっと自分を出せよ」と思ってしまう…。

 だから旧車の醍醐味とは、他人の評価ではなく、己の評価こそが大切であり、当然ながら「いかに楽しむか」の方が断然大切だと思うのである。

71年から始まったチャージャー第三世代のモデル。この年代はオイルショック後の厳しい規制によりパワーダウンを強いられたが、それを補って余りあるほどのデザイン的センスの良さが特徴である。

今だからこそ分かるこの年代の洗練されたデザインの良さ。伸びやかな2ドアクーペとはこういう物のことを言うのだろう。

かつては賛否両論あったと言われるフロントマスクだが、個人的な意見としては全然悪くない。

コンディション重視のあえての73年型

 なので華やかかつハイパワーなマシンが揃うBCDにてこの73年型チャージャーSEを見た瞬間、一瞬頭の中に「???」が。その二分後にはすべて理解したのだが、こうした柔軟性こそがBCDの人気の理由なのだろうと感心したのである。

 73年型チャージャーSEといえば、チャージャー凋落の時代の産物であって、日本ではほとんど名を聞かないはずだ。メインは上記の68、69といった年代のマシンであって、売る側もその方が売れるだろうから、モノはそこに集中するわけである。

 だから73チャージャーと聞いた時の「なぜ?」とはそういう理由であったのだが、個体をしばらく眺めているとその驚くべきコンディションとデザイン的な魅力に、あえてこのチャージャーを輸入した理由がわかったのである。

 ミリタリーグリーンとも言えそうな絶妙なカラーリングのボディに、濃いグリーンのバイナルトップとのツートーンボディ。インテリアも同様にグリーン系カラーとウッドを使用したシンプル形状。

搭載されるエンジンは、318cuin=5.2リッターV8。当時のカタログスペックでは150hp、最大トルク255lb-ftを発生させ、3速ATと組み合わされる。

グリーンを基調としたインテリアが非常に素敵だった。センターに後付けメーター類が設置されているが、それ以外はフルノーマル。状態良し。

一瞥した瞬間、「現代のチャージャーにも受け継がれている」と感じたATシフト周辺のデザイン。とにかく全てにセンスを感じる。

こういう、知る人ぞ知る的な古いアメ車にカッコ良く乗っているアメ車オーナーさんが増えることを期待したい!

パワー不足を補って余りあるほどの洗練されたデザイン

 豪華さとは無縁の内装だが、カラーリングを含めたセンスの良さはアメ車ならではであり、何より全体を通してグリーン基調のアーミーテイスト満載な雰囲気に、瞬時に魅力を感じたのである。

 しかもどの部分においてもコンディションの良さが保たれており、これほどの状態の73年型SEが日本において見られるのは、BCDにおいてしかないだろう。

 このマシンに搭載されるエンジンは、318cuin=5.2リッターV8。当時のカタログスペックでは150hp、最大トルク255lb-ftを発生させ、3速ATと組み合わされる。

 ボディデザインは、1971年から1974年までの第三世代に共通するものであり、4連ヘッドライトとスプリットグリルが特徴の2ドアハードトップ。フロントマスクのデザインや横から見た時のスタイルにアメリカ的デザインの大いなる魅力を感じるのである。

 パっと見どころか、ジックリ見ても驚くべきコンディションのチャージャーSE。

 こうしたグリーンを基調とするカラーコンビネーションがとにかく素敵だし、もちろん歴史的にはオイルショック後のマシンだけにマッスルカーと呼べるだけのパワーはないが、それを補って余りあるほどの洗練されたデザインとコンディションの良さが、この車両に興味を持った方々のほとんどを虜にすると思うのである。

車両全体がグリーンを基調としており、部分部分で緑のトーンを変えながら上手くコーディネートしている。緑好きにはたまらないセンスの良さ。

張りのある状態良好のシート。

15インチホイール装着。

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