更新日:2013.12.10
文/椙内洋輔 写真/フォード
2015年型オールニューマスタングの特徴は何といってもデザイン。現行型の特徴を残しながら、ファストバックスタイルを復活させ、マスタングとしての個性と新しさを上手く調和させている。
そして新たなデザインをもってこのモデルからアメリカ市場だけでなく、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアに販売市場を拡大していく。そのひとつの武器がエコブースト。中国では3リッター以上のモデルに過大な税金がかけられることから、2.3リッター直4エコブーストターボは主力機として販売戦略の要になるだろうと言われている。
こうした新しい試み以外に、われわれが気になるポイントがサスペンションの変更である。足回りはフロント、リアともに新開発のサスペンションシステムが採用され、フロントはマクファーソンストラット式で、リアにはマスタング初のインテグラルリンク式4輪独立サスペンションが採用される。
これまでのリアリジッドは、タイヤのキャンバー変化が起こらないために、前後方向のトラクションの安定感が抜群であり直進性に優れているという利点はあったものの、リジッド=左右輪が繋がっているために、乗り心地があまり良くなく、またバネ下重量が重く路面への追従性があまりよくないというデメリットがあった。
だが、これをベースに改良を重ね熟成させてきた現行マスタングのリジッドサスは見事なレベルにまで達しているが(個のレベルで悦に浸れる)、同時にタイムトライアル的な速さを求めると限界があったのも事実である。
たとえばシボレーカマロとサーキットトライアルをすると、パワーウエイトレシオでは互角だったとしても、コーナリングスピードで明らかに負けてしまっていた。ちなみにこれは、あくまでタイムトライアルの話であって、個人レベルでスポーツ走行を楽しむ上ではなんら問題ないレベルの話である。
2015年型では、こうしたリアサスペンションに手が加わったことで、優れた走行性能と快適性を高次元で両立させることが可能になるだろう。さらにゲトラーグ製の6MTはシフトフィーリングが見直され、6ATではステアリングにパドルシフトが付く等一層スポーティな味付けに進化している。そういった複合的な進化をもって新時代のマスタングとなっていることに期待したい。
一方で、非常に気になる2つポイントでいまだ情報が明かされない部分がある。そのひとつが5リッターV8のエンジンについて。
いま明かされている5リッターV8は、420hp、最大トルク390lb-ftという数字のみで、2014年型の現行エンジンとスペック上はまったくの同じ。排気量、ボア×ストローク、エンジンブロック、圧縮比も同じであり、正直「エンジンはそのままかよ」って思っているショップの方々も多い(当然読者の方々もそう感じているはず)(実際にはかなりの手が加わっているというが…)。
個人的には現行の5リッターのフィーリングは嫌いじゃなので、このままでも十分なんですが、買い替えを考える方達にはデザインと足だけではアピール度が低い?
加えてボディの大きさもじつはあまり変わっていない。
旧型/ホイールベース:2720ミリ
全長×全幅×全高:4788×1878×1417ミリ
新型/ホイールベース:2720ミリ
全長×全幅×全高:4783×1915×1384ミリ
全長が5ミリ短くなって全幅が37ミリ幅広になって33ミリ低くなっているが、これを「変わった」と取るか、「あんまり変わってない」と取るかによって、状況が変わって来るだろう。
個人的には「あまり大きくならなくて良かった」と思う反面、旧型の箱形ボディが流麗なスポーティカーに変わってしまったことで、アメリカ的マッスルカーな雰囲気が無くなってしまっていることにちょっと失望しつつあるが。
一部では2014年からカタログ落ちしてしまった「BOSS」の存在が、この新型ですでに取り沙汰され、「このボディにこのアシにBOSSのエンジンが最高の組み合わせかも」といった話までが出ているというから、そちらにも期待したい。
まぁいろいろ言いましたが、何はともあれ実物を見てからってことになるでしょうね。早ければ2014年のゴールデンウイークあたりには、この新型の取材車輌をお見せできるかもしれないのでご期待ください。
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