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車体を支え路面との唯一の接点だからこそ注意が必要

タイヤトラブル基礎講座 vol.1

予想外のトラブルが起こらないためにも知っておこう

アメ車だろうが日本車だろうがドイツ車だろうが…、タイヤはクルマにおける最重要パーツ。エアロをつけたりショックを換えて車高を落としたりしても、タイヤがダメならそれらの効果は半減してしまう。というか、タイヤは命に直結するパーツだけに、定期的に気にかけることが必要である。まずは最低限の基礎知識を把握しておこう。

更新日:2016.09.15

文/編集部 写真/編集部 / クワッドドライブ

取材協力/ワールドタイヤサービス TEL 048-285-2733 [ホームページ]
     クワッドドライブ TEL 048-281-5853 [ホームページ] [詳細情報]

タイヤについて知っておくべきこと

 タイヤはクルマと路面を結ぶ唯一の接点。だからタイヤは車体を支えるのはもちろん、走る、曲がる、止まるといった基本的動作をつかさどる重要なパーツである。だが、アメ車オーナーの場合、タイヤの性能に目を向けるというよりは見た目の性能にこだわる方が多かったり、タイヤのことを気にしなかったり知らなかったり…。

 たとえば、タイヤワックス。見た目の艶を出すには必需品となるかもしれないが、厳密なことをいえば、タイヤワックスはタイヤにとってあまり良いものではない。だが、ショーに出展したりイベントに参加すれば展示した自分の愛車のタイヤに艶を出したいと思うのは自然の成り行き…。

 とはいえ、タイヤについて多少なりとも知識があれば、油性のワックスは良くないが水性ならまだ多少はいいかもとか、でも塗りすぎは良くないと、塗っていながらも気にかけていなきゃいけないはずである。それ以外にもタイヤについてはいろいろあるのだが…。

 ということで、タイヤについての基礎知識を取材してみた。あくまで基礎知識であり、当然知っていて当たり前のことばかりである。だが、もし知らないことがあったなら、参考にして欲しい。もし、知っていることばかりだったらスルーしてもらえればいい。まさにそういった超基礎レベルの話である。

 話を聞いたのはワールドタイヤサービス。難題修理のスペシャリスト・クワッドドライブに隣接するタイヤ、足回りのスペシャル部門である。

極端な一例であるが、タイヤ側面についている大きなキズ。なぜこういったキズがはいったのか不明ということだが、日頃から定期的にチェックをしていたからこそ、走行中のバースト等のトラブルを避けることも可能である。

知らないうちに摩耗が進んでいることもあるから、チェックは欠かせない。

空気圧チェックは必須事項

 タイヤは、加速や減速、停止や曲がりといったドライバーからの指示を的確に路面に伝え、同時に乗り心地を保持するための快適性に作用する働きがある。すなわち、「荷重を支える機能」「駆動、制動を支える機能」「進路保持を支える機能」「路面からの緩衝機能」ということになる。

 これらの機能はクルマの走りの根幹部分にあたり、そこにタイヤが密接にかかわっているからこそ、タイヤは重要なパーツとなり、タイヤの性能を維持するための点検&メンテナンスもしくは交換が必要になるのである。

 で、われわれオーナーレベルで可能なタイヤのチェックポイントしては、空気圧のチェック、タイヤの溝のチェック、偏摩耗のチェック、タイヤの製造年月日の確認(タイヤの寿命)という4項目があげられるという。

 以下、その4つのポイントを紹介しよう。

 まずは空気圧。免許証取得時にも学ぶ基本的な要素である。一般的にそのクルマごとに適切な指定タイヤ空気圧が明示されており、ノーマルサイズのタイヤを装着されている場合、その指定の空気圧を守りさえすれば問題ない。

 ただし、厳密にいえば空気は微妙な割合で抜けていくので、定期的なチェック&補充が必要になるのは、これまた誰もが知っていることだろう。たとえば、2000ccクラスの車両でタイヤの空気圧が50kPa不足した場合、市街地で2%程度、郊外で4%程度、燃費が悪化するといわれている。また燃費のみならず、過度の低下はバースト等の危険性もはらんでいるのである。

 一方で、入れすぎもまた良くない。空気圧が高すぎることでタイヤのセンター部分が偏摩耗を起こすことも厳密にいえばあり得るのである。

 ちなみに現在では、こういった空気圧の変動をなるべく起こさないために、同社は窒素の導入を勧めているのである。

 窒素ガスのメリットとしては、窒素は酸素に比べてゴム分子の隙間を通り抜けにくいという性質があり、その性質を利用して窒素のみを充填することにより空気圧の自然低下が起こりづらくなる。そういった利点から今や安全性を追求する航空機やレーシングカーにも窒素ガスが充填されているのである。
<窒素ガス充填のメリット>
・窒素は酸素よりゴムを通りにくいので空気圧が低下しにくい
・水分を含まないので温度が上昇しても空気圧の変化が少ない
・酸素や水分を含まない不活性ガスのため、タイヤとホイールが痛みにくい
・空気圧が低下しにくく適正な空気圧が長持ちする
・よって摩耗・偏摩耗が減少する
・燃費の低下を抑制
・操縦安定性の向上
・空気圧不足によるタイヤ損傷の発生を低減
etc

空気圧が変化する理由の一つとして、エアバルブの劣化が挙げられる。エアバルブもタイヤ同様ゴムであるから厳密にいえばひび割れ等の劣化が起きる。だからこそ、タイヤ交換時には一緒に交換すべきパーツであるが、タイヤ交換サイクルが長くなれば必然的に交換しなくなるため注意が必要である。

みなさんご存知のように車体には推奨の空気圧が添付されている。定期的なチェックが必要である。

今や航空機やレーシングカーのタイヤにも使用されている窒素ガス。本文中にあるようにメリットが多数。唯一のネガは、窒素充填ができるショップが限られるということだが、筆者的にはメリットが断然上回ると考えている。タイヤ自体のバーストやエアバルブの劣化がない限り、今や窒素の優位性は揺るがない。

タイヤプレッシャーセンサーの確認

 一方で窒素ガス充填のデメリットとしては、一般的なスタンド等で窒素ガスの充填が行えないので、充填できるショップが限られているということのみである。

 たかがタイヤの空気圧と軽視される面があるのも事実だが、実際には安全面にも直結するだけに気をつけるべき最重要項目なのである。

 また、空気圧といえばアメ車の場合、TPMS…Tire Pressure Monitoring System(タイヤ空気圧監視センサー)の件も認識しておくべきである。タイヤプレッシャーセンサーとは、タイヤの空気圧や温度を送信機内のセンサーで直接測定し、その情報を無線で車体の受信機に送りドライバーに知らせるシステム。

 2000年に起きたタイヤエア圧低下に起因する重大事故、タイヤリコール問題を受けて、米国で自動車の安全性に関する規制「TREAD法」成立後、2007年9月から米国で販売される新車の100%にタイヤプレッシャーセンサーの装着が義務化された。その後2012年には欧州、2013年には韓国で法規化が決定されており、日本でも近いうちに法規化される可能性が高い。

 このタイヤプレッシャーセンサーは、センサー個々にIDを持ち、そのIDを車両に登録することで車両がセンサーを識別し空気圧のをモニタリングを行っている。

 シーズンタイヤに履き変えた時や社外ホイールに交換した時など、新しくセンサーを取り付けた際には再セットアップが必要になる(当然セットアップ用のメーカー別機器が必要になる)。

 また、そもそもセンサー自体の消耗や交換も長い目で見れば必要になるので、注意が必要ということである。

2007年以降の車輌には義務化されているタイヤプレッシャーセンサー。センサー個々にIDを持ち、そのIDを車両に登録することで車両がセンサーを識別し空気圧のをモニタリングを行っているのである。

たとえば、社外ホイールが装着されており、年式的にタイヤプレッシャーセンサーが必要にもかかわらず装着されていない場合には、メーターパネル内の警告灯が点きっぱなしという車輌も多いというから確認するといいだろう。

タイヤからのSOSサインを見逃すな

 タイヤは、タイヤがすり減ると溝がなくなり、スリップサインと呼ばれるサインが出るようになっている。スリップサインとは溝の深さが1.6ミリを示す目安である。

 基本的に、溝の深さ1.6ミリ未満のタイヤは使用してはいけないと、そもそも法律で定められているわけだから、本来はその前の状態で交換するのが望ましいのだが、意外にもこのスリップサインが出ているのを見逃しているユーザーが多くいるという。

 たとえばアライメント不良による偏摩耗が起こっており、内側が極端に減っていてスリップサインが出ている場合とか。目視できる外側のタイヤの溝はあると判断できるのだが、タイヤの内側のみが減っている等の症状が見逃されている場合が結構あるというのである(この場合、アライメント不良等との相乗効果が原因であるから、根本を正すにはアライメント作業も行わなければならないが、今回はタイヤのみについて触れる)。

 またスリップサインの他に偏摩耗にも注意しなければならない。偏摩耗とは、文字通り偏ったタイヤの摩耗のことであり、走行性能低下やブレーキ性能低下等が起こる。これらは、上記で触れた空気圧の高低により起こることもあり、または大径等のタイヤ交換時のアライメント不良によっても起こる可能性も秘めている。

 これら摩耗のトラブルに関しては、基本、定期的な目視によるチェックと走行時の変化を直接的に感じる取ることでしか対応できないために、空気圧のチェックとともに目視のチェックを欠かさず行うことを忘れないで欲しい。

 最後にタイヤの寿命についてだが、これはゴムの特性(硬化)に伴いタイヤの性能特性も変化するということを覚えておくべきである。一般的にタイヤの寿命は5年といわれているが、正直、正確かつ明確な基準はないとも言われている。ただ、新品タイヤで適正に保管されたタイヤは3年間は同等の性能を保つことは確認されている。

 また、使用条件に関しては、環境条件、使用方法(荷重、速度、空気圧)によって左右されるので、常日頃からのタイヤの外観チェックが重要になる。主にタイヤのひび割れ度合いで判断することができるのである。

 劣化を防ぐ方法としては、適正なエア圧を保つこと、タイヤワックスを使用する際は水溶性の物を使用すること、タイヤ保管時などは直射日光を避けるなどが挙げられる。

 タイヤの経年劣化によるひび割れは、確認困難なタイヤ内側でも起こるわけで、交換してから5年以上経過する場合は一度タイヤの点検チェックをするのがいいだろう。各メーカーによって違いがあるが、製造後10年経過したタイヤ(含むスペアタイヤ)は新しいタイヤに交換されること奨励しているのである。

 なお、タイヤには必ず製造年月日が記載さている。2000年行以降のタイヤには4桁の数字が刻印されている。それにて自車のタイヤの製造年月日を一度確認するのがいいかもしれない。

例 2000年以降では4桁の数字→「3312」=(2012年の33週目に製造された)
例 1999年以前では3桁の数字→「499」=(1999年の49週目に製造された)

 以上、タイヤに関するありがちなトラブルや注意事項をまとめてみたが、これらはタイヤに関する一般的な事象である。アメ車の場合、たとえば大径タイヤに交換することで起こるトラブルやアライメント変化による偏摩耗といった、カスタマイズすることによって引き起こされる事例については今回触れていない。次回はそういったトラブル事例についても注目していきたいと考えている。

この、タイヤの溝に隠れるポッチみたいなのがスリップサイン。スリップサインとは溝の深さが1.6ミリを示す目安であるから、このサインが見える状態でタイヤを使用していることは法律的にも許されないので、確認が必要である。

たとえば偏摩耗が起こっている場合、タイヤの内側のみ極端に摩耗が進んでいたりすれば、スリップサインに気づかず、ご覧のようにバースト、もしくはバースト寸前のような状態になっていることも考えられる。もしくは空気圧不足で内部剥離が起きている場合とか。タイヤ自体の年式による経年変化も起きるだけに定期的なチェックが必要である。

タイヤはゴムであるから、必ず劣化する。たとえ走らなくても劣化する。だからタイヤの年式も把握しておいたほうがいいだろう。タイヤには必ず製造年月日が記載さている。2000年行以降のタイヤには4桁の数字が刻印されている。それにて自車のタイヤの製造年月日を一度確認するのがいいかもしれない。

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