で、そうなると、ナビゲーターに関する最大の注意事項はやはりアレである。そう足回り。すなわちエアサスである。
ブルートでは、基本的な納車整備においてエアサスの状態を確認し、車両によってはコイルサスに変更してしまうこともあるという。取材日に車検のためピット入りしていたナビゲーターにはすでにコイルサスが装着されていたし、たとえば今回取材撮影したブラックのナビゲーターはまだエアサスの状態が良いだけに、そのままエアサスを生かして仕上げるということである。
つまり、状態によってはエアサスをそのまま生かし、またモノによってはエアサスを破棄しコイルサスに交換して仕上げる場合もという(もちろん購入者の希望に沿う)。
なお、このエアサスだが、エアバッグとそれに繋ぐホースと、エアを導入するコンプレッサーとそれにまつわる各種センサーが一体となって構成されているが、トラブルが起きる場合は、それらパーツのどの部分にトラブルが起きたかを電子デバイススキャナーで探り、その部分を交換する必要が出てくる。
もちろん、それぞれのパーツを部品単品で入手することは可能だが、どのパーツにトラブルが起きたかを探り当てる作業が必要であり、その意味でも結構大変な作業となる。もちろん、一式新品に交換してしまうという方法もあるから、エアサスを生かして乗り続けたいオーナーは、この点に留意すべきである。
それぞれの整備&交換作業に関しては、どの部分のトラブルかを見極める必要があり、また使用するパーツ(純正品 or 社外品)によって価格が変動するために、一概には金額の提示はできないが、それでもシッカリとしたプロショップなら、どの方法をチョイスするかをユーザー本位で相談に乗ってくれるはずである。
一方で、エアサスのトラブルを一度経験し、「エアサスをやめたい」、「仮にエアサスを取り外すことが可能ならトラブル(不安)が断然減るんじゃないか」と考えるオーナーもいるだろう。
その点を考慮すれば、コイルサスに変更してしまうという方法もあり、ブルートではあくまで車両別に個々の個体の状態を優先し、また購入者の希望に応じて仕上げるという。なお、エアサスからコイルサスへの交換は15万円以下で収まるという。
ちなみに、このエアサスであるが、究極の乗用車的乗り心地を実現しようとフォードが試みた結果の搭載であった。
現在でもメルセデス等の高級車には必需品となっているわけだが、このエアサスに起こるトラブルは、もちろん機械的なトラブルはあるのかもしれないが、基本的には距離に応じたパーツ各種の寿命がもたらすトラブルであるから、ナビゲーターのエアサスがとりわけ壊れやすいわけではない、ということは忘れないで欲しい。
また、仮に移動中にエアサスにトラブルが起きた場合、まず前輪のエアサスだと4輪ともに走れない。後輪のトラブルであれば多少は走れる。
で、ノーマルタイヤの場合であればそのままある程度走行することは可能だが、大径タイヤに交換されていたり、ハミタイヤになっていたりすれば、ボディとタイヤが干渉してしまい走行不能ということがあるため、定期的な各種チェックを怠らないか、もしくは保険等でのレッカーサービスの確認をしておくことが必要かもしれない(イマドキのJAFでもアメ車のレッカーができないことは多々ある)。
上記のエアサスに関する記載は第二世代を中心としたものだが、エアサスに関していえば、07年アップの第三世代にも搭載されているわけであり、聞けば、「同じくトラブルはあります。とくに第三世代はコンプレッサーのトラブルが多いですね」ということだ。
このコンプレッサーに関しては、純正品で10万円以上し、社外品のパーツも販売されているということだから、これまた事前チェックを怠らないよう注意したい。
なお、これらパーツの点検や交換には、当たり前だが電子デバイススキャナーの使用が必要になる。したがってそれら電子デバイスを持たない修理工場に相談にいっても、「直せない」と言われるか、下手にいじられて余計に壊されかねないだけに、しっかりとしたプロショップにて相談することをオススメする。
上記の基本骨格と足回りの予防策以外にナビゲーターの弱点等について聞いてみた。
「街では『よく壊れやすい』と言われてるようですが、実際にはそれほど弱い部分はありませんよ。ナビゲーターに関しては、やはり中古並行車が多いということ(距離がかさんでいる)と、すでに10数年前の車両ということで、その時点での扱われ方やメンテナンスの程度によって、差が生まれてきます。
それと10数年前のフォード車ということで、その時点でフォード系の電子デバイスを持たないショップでのメンテナンスによるトラブル解消に関しても差があって、解消できないまま流通してしまっている個体を入手してしまったオーナーさんもいるでしょうし。
そうした各種いろいろな要因で中途半端な個体がトラブルを起こし、それにて『壊れやすい』という噂が流れてしまったんだと思います。
ただ、日本の道路事情的にあわない部分はたしかにあります。たとえばサイドミラーはよく壊れますね(笑)。駐車するたびに開閉を繰り返すとその開閉に使用する内部モーターが持たない。しかも、エスカレードのように社外品のミラーはないんですね。ざっと、片側で8~9万円程度します。
ちなみに、このミラーですが、車内のスイッチが壊れている可能性もあるんです。ミラーを交換したのに治らないなんてことがあるんです。なので、この場合も電子デバイススキャナーで診断すれば、ミラーが壊れているのか、それともスイッチが壊れているのかを事前に診断できるので、ミラー不動=即交換、というではないということは知っておいていいと思います。
また、07アップの第三世代ではドア内張りのウッドが割れることがあります。本木のパネルで高価ですし、割れていると品位に欠けます。弊社では、仕上げ時は補修できるものに関しては補修しますが、そういうコンディションに差があるということは頭にいれておくべきですね」
ということでナビゲーターの中古車購入に関しては、まずは距離がかさんでいる車両であるという認識を持ち、そうした車両であるという前提のもと納車アプローチができる(もしくはそうしたノウハウがある)ショップでの購入が必要である。
また一方で、整備をするにはスキャナー等の電子デバイスを持たなければ作業できない車両でるあるからこそ、そういった電子デバイス完備のショップでの作業が必要になる。
これらの前提を踏まえ、購入および今後の整備に生かしてもらいたい。
>> リンカーンナビゲーター <2003年~2014> vol.1 を見る
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