結論から言えば、筆者がアストロを購入した一番の理由は子供が出来たためです。より詳しく言えば、昨年に第二子となる長男が誕生したのが駄目押しとなりました。なんのことはない、最大の理由は家庭の事情というやつですね(笑)。
長年に渡ってシボレーコルベットやカマロといったスポーツタイプのアメ車を愛車にしていた筆者ですが、2015年に長女が誕生してから愛車の選定基準が徐々に変わり始めました。それまでの筆者は、「速いこと」や「長距離でも疲れないこと」、あるいは「カッコイイこと」を優先して愛車を選んでいました。ところが、子供ができたことによって「安全性」や「積載力」といった要素を重要視せざるを得ない状況になってしまったわけです。「積載力」なんて書くと大層な感じですが、そもそも2シーターのスポーツクーペだと親子3人で乗れないですからね(笑)。
筆者くらいの世代だと、10代後半から20代中盤くらいまでの若い頃は、ハチロクとかS13シルビアとか70スープラとか、MTのスポーツカーに乗っていたのに、結婚して子供が出来たとたんにレガシィとかサーフとかミニバンとかに乗り換えた友人がたくさんいましたが、20年遅れで筆者もその仲間入りをしたわけです(笑)。
実は、最初の子供が出来てからも暫くの間は、「コルベットはあくまでも仕事兼趣味のクルマ。一人で乗ることが大半だし、ファミリー用には小型の下駄車や嫁の国産ミニバンがあるからノープロブレム」くらいに思っていたんですけどね。妻の育休が終わって、共働きで子育てをしてみると、クルマを使い分ける余裕などない事がすぐに分かりました。
例えば、朝に子供を保育園に送った後に、わざわざ一度帰宅してクルマを乗り換えてから出かけるのは面倒だし時間の無駄。あるいは子供が熱を出したりして、すぐに保育園などに迎えに行かないといけない状況となった時、その日乗っているのが最大乗車人員2名のコルベットだったら?。また、クルマごとにチャイルドシートを何客も用意するのも不経済だし、かといって一々付け替えるのは面倒だし、etc…。
結果、長女が生まれて一年後にはコルベットを手放していました。歴代の愛車の中で一番気に入っていたし、大切にしてたので、泣く泣くでしたが、やっぱり子供は可愛いですからね。
家庭の事情でコルベットを手放した事に後悔はありませんが、困ったのは仕事です。
筆者はコルベット以外にも国産ステーションワゴンを所有していたので、普段の移動や荷物運びに不都合はなかったのですが、アメ車&逆輸入車を専門に取り扱っている媒体の人間が、国産車にしか乗っていないというのは世間体が悪いというか(笑)。
昔から付き合いのあるクライアントに行くだけであれば、筆者がどんな車種に乗っていようとも誰も気に留めません。というのも、皆さんは筆者が根っからのアメ車好きというのをよくご存知ですから。
でも、営業などで初めてのお店に行く場合、もしかしたら「アメ車のサイトをやってても、普段は国産車に乗ってるんだ」とか思う方もいらっしゃるかもしれない。また、アメフェスみたいなイベント取材の時などでも、会場にアメ車で行くのと国産車やドイツ車で行くのとでは、集まっているオーナーさん達の視線が違います。まぁ半分くらいは被害妄想というか、プロとしての『見栄』みたいなものなんですけどね(笑)。
でまぁそういった事情もあって、ファミリーカーとしても業務用としても使えるアメ車を購入しようと思ったわけですが、ここまでは所謂プロローグというか前提問題であり、筆者に「なんでアストロ?」と問われた方々の質問の答にはなっていないのは承知してます。というのも、筆者に質問をした方々の問いには「他にも色んな選択肢があったでしょ?」という意味も含まれているだろうからです。
実際、安くて使えるアメ車はアストロ&サファリ以外にもいくらでもありますし、「安い」という条件を緩くすれば選択肢はさらに増えます。
ちょっと古めのバンで言えば、アストロの兄貴分とも言えるエクスプレスやサバナ、ラムバンなど。少し新し目のモデルであればグランドボイジャーやキャラバン、USトヨタのシエナなど。ステーションワゴンであればダッジ ・マグナムや300ツーリングワゴン、CTSワゴン。かなり古くなりますが、ビュイック・センチュリーワゴン(リーガルワゴン)なども好きな車です。小さい子供二人程度ならセダンでも問題ないし、もちろんSUVだってファミリーカーになり得ます。キャデラックの各モデル、タホ&サバーバン、エクスプローラーやグランドチェロキー、etc。ファミリーカーとしても使えそうな筆者好みのアメ車なんていくらでもあります。「それなのに何故?」という質問なんですよね。
ちょっと話がズレますが、我々のような商売(自動車関連メディアの編集者やライター)の人間には「基準車」みたいなものがあります。そしてその基準車となるのは大抵の場合は普段乗っている愛車であり、ちょっと前の筆者であればそれはC5コルベットになります。
例えば、試乗インプレッションをする際には、それがどんなタイプのクルマであっても、普段乗っているC5を基準にして、パワーは?パワーの出方は?加速感は?音は?足回りの硬さは?ステアリングの感触は?シートは?乗り心地は?音は?疲れやすさは?積載量は?ウインドーの動きは?ドアを閉めた際の音は?etc。ほとんど無意識に、様々な要素を比較するんですよね。少なくとも筆者の場合は。
基準車のそれに対して上か下かというのではなく、どれだけ離れてるか?その距離感を測るという感じ。もちろん過去に乗った同一車種の古いモデルや同タイプのライバルと比較したりもするんですが、最初の第一印象ってのは直前に乗っていたクルマの感触に影響を受けるので、そういう意味でも基準車の存在は重要になります。ま、これは筆者に限った話かもしれませんが(笑)。
で、実は私の基準車のひとつがアストロ(サファリ)なんです。
「直前に乗っていたクルマの印象の影響を受ける」という意味では、一番の基準車はもちろん普段乗りしている愛車なのですが、過去に愛車にしていたクルマも記憶として基準車となり得ます
筆者はかつて1994年型GMCサファリのハイルーフコンバージョン(エクスプローラー)を所有していましたし、20代の頃に制作していた雑誌ではアストロのハイルーフを社用車にしていました。
また、広報車や販売車両、デモカー、オーナー車両など、これまでにステアリングを握ったアストロ&サファリの台数は軽く3桁に届くし、走行距離も累計で6万kmを超えています。つまりアストロ&サファリというのは、筆者にとっては非常に馴染みの深いモデルなわけです。
ファミリーカーとしても十分な実力を持つアストロ&サファリが、ファミリーカー兼社用車を購入するにあたって筆者の基準車になったのは当然と言えば当然。具体的には、今回の筆者は、かつてのアストロの経験と記憶、そして現在の中古車市場におけるアストロの販売価格を基準にして、様々な候補車を「アストロよりも上か下か」で判断したわけです。
でまぁ結果的には、どの候補車もアストロ&サファリをトータルで超える事ができなかったということになるのですが、これはあくまでも当時の筆者の判断基準での結果。当然ながら性能的にはアストロよりも優れていた車種がほとんどだし、筆者にもうちょっと金銭的に余裕があれば選択は変わっていたと思います。
一例を出すならトヨタ・シエナ。アメリカ出張で2度ほどレンタカーとして足にした際に「よく走るし、乗り心地もいいし、サイズも手頃。アルヴェルみたいな下品さがないし、本当に良いクルマだなぁ」と思ったシエナは、逆輸入車の中ではトップクラスに好きなモデルです。トヨタ車ならではの安心感もあるし、現代の日本でファミリーカーとして使うのであれば、シエナはアストロよりも確実に上でしょう。
でも、ほとんど底値状態で、数十万円でそれなりに程度良好な車両が手に入るアストロに対し、程度良好なシエナの中古車は高値安定。購入するにはアストロよりも軽く200万円は余分にかかります。
車内で1歳児のオムツ交換をしたり、公園で泥だらけになった3歳児を乗せたり、イベント会場からの撤収時にはテントや椅子を汚れたまま積載したり、車中泊したり、汚れて当然のファミリーカーでありトランポ…。そういうクルマを買うのに、基本性能&我慢できる範囲の快適性や利便性の違いに200万円以上余分に払えるか?と考えた時、筆者的には「アストロで十分だな」となったわけです。
とまぁ、長くなりましたが、以上が筆者がアストロを購入した経緯&大まかな理由となります。
余談ですが、先に20年以上前に「子供ができたから」という理由で愛車を乗り換えた友人たちの話を書きましたが、最近になって「子供も巣立ったしハチロク買っちゃった」とか「最近、GT-R買ったんだよね」という連中もチラホラ。人間、時期は違っても、苦労の総量は大して変わらないってことですかね?(笑)
<関連記事>
>>シボレー・アストロ 長期レポート 第1回 を見る
>>シボレー・アストロ 長期レポート 第2回 を見る
>>シボレー・アストロ 長期レポート 第3回 を見る
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