下記記事は2019年3月末に取材したもの。その際、筆者が勘違いし、搭載エンジンのスーパーチャージャーの有無を間違えてしまったことで、オーナーの瀬間さんには非常に申し訳ないことをしてしまった。申し訳ありません。
ということで、記事の訂正をさせたいただき、再度掲載した次第なのだが、その際に、改めて製作後の経過報告を聞いたので、追記しておきます。
まず、搭載エンジンは5.4リッターV8スーパーチャージャーで450hpを発生させる。このエンジン、サリーンが手がけたことでも有名であり、ちょうど2005年2006年に復刻していたあのフォードGTに通じるエンジンでもある。このエンジンを搭載したF150ハーレーダビッドソンは数少なく、日本ではかなりのレア車ということ。
瀬間さん曰く「450hpといっても、ちょうど280psの自主規制があった頃の日本車のような、たとえばRX-7とか、そんな車両たちと同じようなパワーウエイトレシオです。なので、そういう感じで加速はしますが、重量級マシンゆえにブレーキ性能が…(笑)」
くわえて足回りは、「現状ショックの再調整を行っている」ということで、ラプターに純正装着されているFox製ショックをベースにカスタマイズの依頼中という。
筆者は過去の記載でプレランマシンのように、と記したが、瀬間さん的にはスタジアムトラックのマシンのように目下足回りを煮詰め中ということであり、オフだけでなく、舗装路でのコーナリングやドリフトにも対応できるスタジアムトラックのマシンをイメージしつつ対応しているということだ。
ベースはF150のハーレーダビッドソン。2008年型ということだから、エンジンは5.4リッターV8スーパーチャージャー。450hpという公式スペックだから、圧倒的に速いといわけではないが、まったくもって不足は感じない。それに、近年のV8でさえなくしてしまった濃厚なV8サウンドが健在であるから、今の時代に乗っても十分に楽しめる。
そんなF150は、昨年末からボディを含めた大幅なカスタマイズを受けている。その影響を受けたのが「ドリフト」という。
当サイトでも過去に何度も取材し動画も流しているが、ピックアップでドリフトしているのはこのレーストラックの車両(ラムにC1500にアストロに)のみだろう。
そんな車両たちに影響を受けたのか、このF150をベースにカスタマイズし、いずれはドリフトもしてみたい、ということでカスタマイズプランが決まっていった。その名も「プレラン仕様」である。
なぜプレランか。まずは全米でのブレイクである。ここ10年近いスパンで爆発的人気を博しているプレラン・カルチャー。これまでの四駆ブームとは異なるシンプルなファッション性が評価され、若者たちの閒で巨大なムーブメントが巻き起こっている。
それが証拠に現地でのラプター人気、ミディアムクラスのピックアップ人気が上昇中で、デザートレーサー風のカスタマイズも同時に人気爆発中である。
ちなみにプレランナーとは、文字どおり読めば「試走車両」ということで、デザートレース本番前にコースチェックの試走をするための車両である。コース視察は、市販車両では到底走ることが困難なものであり、試走できるレベルにカスタムした車両をあえて使い、それをプレランナーというのである。
レーサーが事前にコースチェックするために乗る車両であるから、サスペンションはレースカーほどではなくてもそれなりに洗練されていなくてはならず、上下動が起こるほど激しい場所を走るわけだから、サスがスムーズに動くようにフェンダーを広げ、インチアップしたタイヤが上下動するスペースを作る。
ただし、そんなフェンダーは正式なレースカーではないからボディとチリを合わせる必要もなく、一瞬取ってつけたような感じに見えるかもしれないが、だがそれがプレランの役割であり求められる機能なのである。
しかも実際のレースカーはスポンサーやチームデカール等でデコレーションされているから華やかな雰囲気に満ちているが、プレランは試走がメインであるから飾り付けは一切ない。逆にシンプルであるからこそのプレランになるわけである。
というわけで、派手派手なデコレーションカスタマイズとは一線を画す、飾り気のないシンプルな見栄えに本格的な作り込み、というプレランスタイルに本国の若者たちは熱狂しているのである。
そんなプレラン仕様にカスタマイズし、いずれはドリフトに参加したいと思っているF150のオーナーさんは、あえてローダウンした車高でプレランを製作依頼した。
2インチダウンのキットにノーマルショックを使用しているから、直径のデカいタイヤを装着しているが、乗り心地等の悪化はほとんどない。ステアリングの切れ角の変化もそれほど感じず、乗りにくさは微塵もない。
だが。製作者いわく「フェンダーの加工や素材に苦労しました。プレランのもともとがそれほどのパーツ精度を要していないこともあるのでしょうが、本国の数あるプレランフェンダーは日本製のパーツのような精度ではないのですね(笑)。それをそのまま付けるわけにはいかず、その部分の試行錯誤がかなり必要でした」
そんなボディメイクを終えた完成形がコチラのF150。フロントバンパーから両サイドへ繋がるブリスターフェンダーによって迫力のスタイルが完成している。その雰囲気はラプターのような見栄えでもある。
だが、マスクが旧F150ベースだからまた違った趣きがあり、さらに2インチダウンが効いているのか、より一段とロー&ワイドになったことで、これまでに見たことのないピックアップスタイルが完成したとも言えるのである。
通常プレランといえば、リフトアップし、パイプフレームでできたフロントバンパーにスキッドプレートといったスタイルが一般的であり、それはレースカーもどきのような雰囲気でいいのだが、一方で今回のような公道を走るロー&ワイドなプレラン・スタイルも実にいい。
カスタマイズ希望のオーナーさんにはまたひとつ「ジャンル」が増えたともいえるわけで、さらにこのプレランスタイルは、ピックアップのみならずSUVでも製作可能なだけに、日本でも今後ファンが拡大する可能性は大いにあるはずである。
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