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公道を走るプレラン・スタイルで見違えるアメリカンピックアップ

2008 フォードF150 ハーレーダビッドソン

本国でも爆発的人気のプレランをレーストラックが再現

F150をベースにプレランスタイルでカスタマイズされた1台。キモはあえてのローダウンである。

更新日:2020.05.20

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

一年二ヶ月ぶりにオーナーさんに聞きました

 下記記事は2019年3月末に取材したもの。その際、筆者が勘違いし、搭載エンジンのスーパーチャージャーの有無を間違えてしまったことで、オーナーの瀬間さんには非常に申し訳ないことをしてしまった。申し訳ありません。

 ということで、記事の訂正をさせたいただき、再度掲載した次第なのだが、その際に、改めて製作後の経過報告を聞いたので、追記しておきます。

 まず、搭載エンジンは5.4リッターV8スーパーチャージャーで450hpを発生させる。このエンジン、サリーンが手がけたことでも有名であり、ちょうど2005年2006年に復刻していたあのフォードGTに通じるエンジンでもある。このエンジンを搭載したF150ハーレーダビッドソンは数少なく、日本ではかなりのレア車ということ。

 瀬間さん曰く「450hpといっても、ちょうど280psの自主規制があった頃の日本車のような、たとえばRX-7とか、そんな車両たちと同じようなパワーウエイトレシオです。なので、そういう感じで加速はしますが、重量級マシンゆえにブレーキ性能が…(笑)」

 くわえて足回りは、「現状ショックの再調整を行っている」ということで、ラプターに純正装着されているFox製ショックをベースにカスタマイズの依頼中という。

 筆者は過去の記載でプレランマシンのように、と記したが、瀬間さん的にはスタジアムトラックのマシンのように目下足回りを煮詰め中ということであり、オフだけでなく、舗装路でのコーナリングやドリフトにも対応できるスタジアムトラックのマシンをイメージしつつ対応しているということだ。

こちらの写真は瀬間さんから頂いたもの。首都高等でこの大迫力のF150を見かけたら、きっと瀬間さんに違いない。またお話を伺っている最中、「オートクロス」の話が出たが、足回り等の調整が終わり、いつの日かオートクロスに参加している瀬間さんのF150ハーレーダビッドソンを見てみたいものである。

プレラン・スタイルへのカスタマイズ

 ベースはF150のハーレーダビッドソン。2008年型ということだから、エンジンは5.4リッターV8スーパーチャージャー。450hpという公式スペックだから、圧倒的に速いといわけではないが、まったくもって不足は感じない。それに、近年のV8でさえなくしてしまった濃厚なV8サウンドが健在であるから、今の時代に乗っても十分に楽しめる。

 そんなF150は、昨年末からボディを含めた大幅なカスタマイズを受けている。その影響を受けたのが「ドリフト」という。

 当サイトでも過去に何度も取材し動画も流しているが、ピックアップでドリフトしているのはこのレーストラックの車両(ラムにC1500にアストロに)のみだろう。

 そんな車両たちに影響を受けたのか、このF150をベースにカスタマイズし、いずれはドリフトもしてみたい、ということでカスタマイズプランが決まっていった。その名も「プレラン仕様」である。

 なぜプレランか。まずは全米でのブレイクである。ここ10年近いスパンで爆発的人気を博しているプレラン・カルチャー。これまでの四駆ブームとは異なるシンプルなファッション性が評価され、若者たちの閒で巨大なムーブメントが巻き起こっている。

F150とハーレーダビッドソンとのコラボマシンは過去に遡り長いスパンで継続されている人気モデル。年代によりカスタマイズの内容が異なるのが中古車購入時の注意点だ。

上記のノーマルF150からご覧のようなスタイルへと変身。フェンダーのボリュームにより過激へスタイルへ。

リアも、フロントほどではないが、ノーマルとは全く異なるスタイルへと進化している。

ローダウンしているが、巨大なタイヤサイズによって低さも感じさせない、絶妙なサイズ感である。

アメリカ本国でのプレラン人気

 それが証拠に現地でのラプター人気、ミディアムクラスのピックアップ人気が上昇中で、デザートレーサー風のカスタマイズも同時に人気爆発中である。

 ちなみにプレランナーとは、文字どおり読めば「試走車両」ということで、デザートレース本番前にコースチェックの試走をするための車両である。コース視察は、市販車両では到底走ることが困難なものであり、試走できるレベルにカスタムした車両をあえて使い、それをプレランナーというのである。

 レーサーが事前にコースチェックするために乗る車両であるから、サスペンションはレースカーほどではなくてもそれなりに洗練されていなくてはならず、上下動が起こるほど激しい場所を走るわけだから、サスがスムーズに動くようにフェンダーを広げ、インチアップしたタイヤが上下動するスペースを作る。

 ただし、そんなフェンダーは正式なレースカーではないからボディとチリを合わせる必要もなく、一瞬取ってつけたような感じに見えるかもしれないが、だがそれがプレランの役割であり求められる機能なのである。

搭載されるエンジンは、5.4リッターV8スーパーチャージャー。450hpという公式スペックだ。当時のハーレーとのコラボは、エクステリア中心のものが多かったが、このようにスーパーチャージャー装着車も存在した。日本ではレアな1台。

装着されているエアスクープ付きの社外ボンネットフードも良い雰囲気を醸し出す。

プレラン仕様のパーツは数多くあれど、それほどの精度を有していないため製作に苦労するという。

フェンダーの面の仕上げや、そもそものボディ加工等に、のべ二ヶ月以上の時間を要したという。だが、製作者としての経験値は確実に上がっている。

あえてのローダウンで仕上げた新たしいスタイル

 しかも実際のレースカーはスポンサーやチームデカール等でデコレーションされているから華やかな雰囲気に満ちているが、プレランは試走がメインであるから飾り付けは一切ない。逆にシンプルであるからこそのプレランになるわけである。

 というわけで、派手派手なデコレーションカスタマイズとは一線を画す、飾り気のないシンプルな見栄えに本格的な作り込み、というプレランスタイルに本国の若者たちは熱狂しているのである。

 そんなプレラン仕様にカスタマイズし、いずれはドリフトに参加したいと思っているF150のオーナーさんは、あえてローダウンした車高でプレランを製作依頼した。

プレラン云々関係なくても、このフェンダーの迫力はアメ車の魅力増大に繋がる。

2インチローダウンをノーマルショックを使用して仕上げた足回り。街乗りでの違和感を極力消し去って仕上げたのも製作者の見識によるもの。オフセット調整でフェンダーとの位置関係を調整している。

ステアリングの切れ角にあまり変化が出ず、さらにインナーフェンダーとの干渉も避け、しかも乗っていて乗り難さを感じさせない仕上がりに、ストリートでの面白さが倍増した感じである。

新しい「スタイル」の確立

 2インチダウンのキットにノーマルショックを使用しているから、直径のデカいタイヤを装着しているが、乗り心地等の悪化はほとんどない。ステアリングの切れ角の変化もそれほど感じず、乗りにくさは微塵もない。

 だが。製作者いわく「フェンダーの加工や素材に苦労しました。プレランのもともとがそれほどのパーツ精度を要していないこともあるのでしょうが、本国の数あるプレランフェンダーは日本製のパーツのような精度ではないのですね(笑)。それをそのまま付けるわけにはいかず、その部分の試行錯誤がかなり必要でした」

 そんなボディメイクを終えた完成形がコチラのF150。フロントバンパーから両サイドへ繋がるブリスターフェンダーによって迫力のスタイルが完成している。その雰囲気はラプターのような見栄えでもある。

 だが、マスクが旧F150ベースだからまた違った趣きがあり、さらに2インチダウンが効いているのか、より一段とロー&ワイドになったことで、これまでに見たことのないピックアップスタイルが完成したとも言えるのである。

 通常プレランといえば、リフトアップし、パイプフレームでできたフロントバンパーにスキッドプレートといったスタイルが一般的であり、それはレースカーもどきのような雰囲気でいいのだが、一方で今回のような公道を走るロー&ワイドなプレラン・スタイルも実にいい。

 カスタマイズ希望のオーナーさんにはまたひとつ「ジャンル」が増えたともいえるわけで、さらにこのプレランスタイルは、ピックアップのみならずSUVでも製作可能なだけに、日本でも今後ファンが拡大する可能性は大いにあるはずである。

取材していても思ったが、物凄い迫力のスタイルであった。カッコイイ。(写真瀬間さん提供)

ちなみに、コチラは同社が製作した91年型C1500をベースにしたデザートレーサー。前後ワイドボディやバンパー類はオリジナルパーツ。

ガワだけのカスタムカーではなく、サスペンション等もきっちり調整されている。

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